野口悠紀雄先生講演会「ICOについて」

2017.9.29に行われた早大大学院の野口悠紀雄先生の特別講義「ICOについて」を聴講して来ました。
以下は聴講内容に、管理人が調べた内容等を加味して記述しています。

1. ICOとは
ICO(Initial Coin Offering)とは、ブロックチェーン関連のプロジェクトが、将来提供するサービスで用いる仮想通貨(トークン)をサービス提供前に売り出すこと。

管理人は誤認していたのですが、主語は、あくまで「ブロックチェーン関連のプロジェクト」で、ブロックチェーンと無関係なプロジェクトがICOをおこなうことはできない(ICOとは言わない)のですね。
資金提供者が手にするのは、株式やそのプロジェクトの商品・サービス等そのものではなく、あくまで仮想通貨(トークン)。仮想通貨Ethereum等を利用し、払い込み?も仮想通貨。このあたりも恥ずかしながら、誤認しておりました。

一般的なクラウドファンディングとICOの違いは重要。

2. 資金調達とICO
ブロックチェーン関連プロジェクトに限ると、この数ヶ月ではICOによる資金調達がVCからの資金調達を上回る状況で、2017年累計12.5億ドルとのこと。

ベンチャー企業は例えば、シード→アーリー→ミドル→レイターといった成長ステージに区分できます。資金調達手段は一般的に、アーリー、ミドルあたりがベンチャーキャピタル(VC)、レイターで新規株式公開(IPO、Initial Public Offering)というイメージです。
ICOは、ホワイトペーパー(White Paper)という事業計画書か目論見書に相当するドキュメントに基づいて、シード等の早い段階でおこなわれるようです。IPOはもちろん、VC投資よりも早いイメージ。例えば独Slock.it社

ICOは、VCや投資銀行を介さないため資金調達に伴う高額な手数料(又はそれに相当するもの)が不要。IPOに比べて手続等が容易なため、PJ側だけでなく投資家にもメリットがあるそう。
これらを資金調達方法の「民主化」とみなす考え方もあるようです。

3. ICOの規制
ICOした仮想通貨(トークン)は後に(仮想通貨の)取引所へ上場され、ICOへの投資は上場による値上がりが目的。近年は明らかにバブルの様相が見られ、また詐欺的なものも多数現れているそう。
手掛かりはホワイトペーパーだけで、プロジェクトの実現性や収益性はもとより、実在性についても精査されていないのですから当然と言えます。

そのため、中国はICOを全面的に禁止韓国も2017.9.29に禁止を発表
金融庁が2017.9.29に仮想通貨交換業者登録一覧等を公表しましたが、ICOについては今のところ特段の情報はありません。

[参考]
■日経:仮想通貨、透明化へ一歩 金融庁が11社を取引所登録
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDF29H0X_29092017EA4000/

ICOに関する野口先生のご見解は、以下。
-ICOの全面禁止は愚か。中国はブロックチェーン関連分野で深刻な遅れに見舞われる可能性が大。
-但し、ホワイトペーパーの内容等のルールの確立、売り出し方法の工夫(オークション等)など改善は必要。
ホワイトペーパーは取引所が精査すべき。(←このご主張はちょっと無理があると思いました。仮想通貨の取引所にVCや投資銀行的なスキルは無いだろうし、もし仮にあるのであれば同じ程度のコスト(手数料)が必要になるかと…)
-なお、日本でICOをおこなうプロジェクトが出てこないことが大きな問題。

[参考]
■野口悠紀雄の「ブロックチェーン」講義(THE21 ONLINE)
第1回「ブロックチェーンとは何なのか」(2017.1.5)
http://shuchi.php.co.jp/the21/detail/3506
第2回「2つのブロックチェーン」(2017.2.27)
http://shuchi.php.co.jp/the21/detail/3588
第3回「DAO」は会社と仕事をどう変えるか?(2017.5.5)
http://shuchi.php.co.jp/the21/detail/3864



tag : 仮想通貨

収益認識会計基準(公開草案)の学習(0):はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)の公表している企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識ED」と略)については、公表時に記事を書き、ASBJの方が講師の勉強会に参加しました。

IFRS15号(Revenue from Contracts with Customers、顧客との契約から生じる収益)は、当時は公開草案でしたが仕事で学習&分析した経緯があり、その復習を兼ねて、収益認識EDも少しキチンと学習するかということで、その成果を徐々にこちらに上げていこうかと。

なお、他の話題と入り混じりながら時々のエントリとなり、かつ遅々として進まず、という状況に至ることも容易に想像できるため、生暖かい目で見守って頂けると幸いです。
出来る限り記事間をリンクして読み易いように努め、テーマとしてまとまるようであれば、編集してまとめ記事にするようなことも考えます。まずは、そのための素材を細々と。

経理の詳細な実務等は(まったく得手ではないので)本職の会計士や会計実務家にお任せし、業務や業務を管理するシステム、経営情報等との兼ね合いなどを念頭に置いた判り易い記述にしたいと考えております。
よろしくお願いします。



ピュアプレー

日本経済新聞投資情報面のコラム一目均衡「「ピュアプレー」の時代」(2017.9.26)で知った新語?

ピュアプレー(Pure Play)とは、シンプルに単一の事業(ビジネス)で勝負すること。

異業種による多角的経営によりビジネスのシナジー(相乗効果)を追求するコングロマリット(Conglomerate、複合企業)に対義する概念でしょうか。ビジネスで選択と集中を厳密に推し進めると、このピュアプレーという方向に向うと思われます。

個人的にはシナジーというのは誠に怪しい概念だと考えていますし、以前からコングロマリット・ディスカウント等とも言われていましたので、概念自体は目新しいことではありません。
ただ、超超巨大企業ダウ・ケミカルとデュポンの統合会社である「ダウ・デュポン」で、それが実践される意味は大きいのでしょうね。

LDRの互換(後継)サービスが検討されている模様

Live Dwango Reader(LDR)が2017.8末をもってサービスを終了すること等は、こちらこちらに書きました。
Googleリーダー亡き後、LDRを情報収集の要として利用しておりましたので、サービス終了はとても困ったこと。

そのLDRに関して、朗報が。
佐々木俊尚さんのツイートで知った、ogijunさんのブログ(ogijun's blog)によると、LDRの互換サービスの開発を進めるとのことであります。

■LDRが終了することについて(2017.9.26)
http://ogijun.hatenablog.com/entry/on-ldr


ありがとう。
ぜひ、上手くいって頂きたいものです。

日経「国際会計基準IPO企業に拡大」

2017.9.22日本経済新聞の投資情報面の記事。「国際会計基準IPO企業に拡大」、副題は「海外マネー調達も期待 M&Aの「のれん」突然の損失リスクも」。

企業側と投資家側の両方の視点で脈絡なく記事が書かれているので、ちょっと判りにくい記事ですね。

IFRSが新規株式公開企業にも広まり始め、その理由を投資家やファンドなど海外マネー取り込み狙いや海外子会社の会計処理容易化と、企業側視点から説明。

他方、「損失リスク」云々のところは投資家側の視点で、日本基準と異なりIFRSでは、のれんを定期償却せず減損が突然表面化する(こともある)のをリスクと言っている模様。
日本基準でものれん償却は20年以内なので、超長期で非償却とあまり変わらないことも有り得るし、東芝のような巨額の減損もあり。IFRS特有のリスクと言うべきなのかは、疑問ありです。




日経 経済教室 岡田仁志「存在感増す仮想通貨(下)」

2017.9.22付、日本経済新聞の経済教室面。前日に続き経済教室「存在感増す仮想通貨(下)」として岡田仁志国立情報学研究所准教授の論考が掲載されています。副題は「「分散型」問われる持続性 特定国標準握る可能性も」。

仮想通貨を中央型と分散型に分け、ビットコインを代表とする分散型仮想通貨について、その共同幻想の成立や、プロトコル決定やガバナンスの問題を論じています。
前日の京大岩下教授の論考と異なり、素人には少し難解でした。

貨幣の共同幻想を説明するのは化体説と合意説です。
化体説では、道教寺院の冥銭を引き合いに。

合意説は、2017.8.1のビットコイン分裂騒動をプロトコル変更の面から解説し、分散型の難しさを「ビットコインはデモクラシー(民主主義)を旨とするがゆえにガバナンス(統治)が紛糾する」と。中央型の課題や中央型への有り得る接近シナリオ?なども興味深い。

なお、最後の、仮想通貨の覇権に関して覇権競争に加わらず、技術とガバナンス云々というあたりは、正直、趣旨がよく判らなかったです。



日経 経済教室 岩下直行氏「存在感増す仮想通貨(上)」

2017.9.21付、日本経済新聞の経済教室面。経済教室「存在感増す仮想通貨(上)」として岩下直行京大教授の論考が掲載されています。
岩下氏は日銀の前FinTechセンター長ですね。

ビットコイン(BTC)の仕組みやコンセプト、開発及び利用の経緯等について、とても平易かつ判り易く、解説されています。
「仮想通貨はその名前に反して、価値尺度や交換手段としての機能を果たしてはいない」、「現時点では、ビットコインの取得目的は価格上昇を期待した投資がほとんど」とのこと。

ビットコインの課題としては、以下を指摘。
1. (理念とは裏腹な)不透明なガバナンスの仕組み
2. 分裂後の新旧コインの値上がりに見られる将来の希少性への疑念
3. ICO(Initial Coin Offering、新規仮想通貨公開)への規制強化

ビットコイン等仮想通貨の大きな効能として、国境を越えた金融取引(決済取引)の容易化を挙げて、中銀や証取を含む伝統的な金融業界にイノベーションを迫っているとまとめています。

なお、ビットコインについては、こちらの過去記事も。



日本預託証券(JDR)

日経に米国の半導体ベンチャーであるテックポイント社の記事があり、日本預託証券という用語が使われていて「なんじゃ、そりゃ?」と思いました。(←無知)

日本預託証券(JDR、Japanese Depositary Receipt)とは、海外の株式や上場投資信託(ETF)を裏付けにした信託受益権。日本株式と同じ口座で、円建てで取引できるメリットがあります。

JDRの発行は、テックポイントが初めてとのこと。

■日本証券業協会:JDR
http://www.jsda.or.jp/manabu/word/word70.html

■日本取引所グループ:JDRとは
http://www.jpx.co.jp/equities/products/etns/outline/01.html

■三菱UFJ信託銀行:JDRシリーズ
http://jdr.tr.mufg.jp/index.html

トヨタ自動車等も米国で発行している米国預託証券(ADR、American Depositary Receipt)の日本版とのことですが、信託法など法制の細部に相違があり、必ずしも米国とまったく同じ仕組みという訳ではないようです。

なお、ADRは検索すると、裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)の方が先に出て来たりして、実に鬱陶しい。
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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。

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