金融庁がIFRSに基づく連結財務諸表の開示例を公表

久しぶりにIFRSの話題など。

2016.3.31に、金融庁がサイトで、IFRSに基づく連結財務諸表の開示例を公表しています。

■国際会計基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の開示例の公表について(2016.3.31)
http://www.fsa.go.jp/news/27/sonota/20160331-5.html


2009年末頃に出された開示例の更新版です。

IFRSで「明示的に開示を求め」られている&「多くの企業において必要になると考えられる項目」に絞っているそうなので、こちらを最低限として自社に最適な記載を検討するためのベースにするのがよろしいかと。

全137頁ありますが、表の占める割合が多く記載も判りやすいので、利用しやすいと思います。

ASBJが収益認識基準の開発に関して意見募集

先般、日経が取り上げていた、収益認識の基準に関する意見募集が企業会計基準委員会(ASBJ)から、出ています。

■ 「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」の公表(2016.2.4)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/shueki2016/


リリースと本文の2本建て。
現在、日本基準には収益認識に関する包括的な会計基準はありませんので、新たな基準になりますが、リリースには、

IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」を踏まええた収益認識に関する包括的な会計基準の開発

とあり、IFRSとのコンバージェンスが前提であることが明確です。

本文「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」は全119ページあり、以下の3章立てになっています。

公表の経緯及び質問事項等

第1部 IFRS第15号に関して予備的に識別している適用上の課題

第2部 IFRS第15号の概要


「公表の経緯及び質問事項等」では、4つの具体的な質問事項を挙げており、それを中心としたコメントを求めています。
(質問は1~6までありますが、1は回答者のスタンス、6はその他なので実質4つ。)

要約すると、
質問2 IFRS15号を出発点とすること自体の是非

質問3 IFRS15号に関する17論点と取引例の適切性

質問4 ASBJの抽出した17論点以外の論点

質問5 IFRS15号の注記の有効性及び適切性
への回答を求めています。

第1部では、「IFRS第15号に関して予備的に識別している適用上の課題」として、17の論点を整理しています。
基本的に「契約の識別」から始まるIFRSの収益認識のフローに沿って論点が挙げられています。ポイント制度、知的財産ライセンス、変動対価など、ややこしかったり、影響の大きそうなのも、いろいろと。
後半には、表示、その他の論点もいくつかあり。

第2部は、「IFRS第15号の概要」で、IFRS15号の内容を30ページ弱にまとめています。

これら第1部、第2部は、日本基準及び日本の実務とIFRSとの差異を、ASBJの観点から整理したものです。ザッと見たところ、取引例のほか、図解等もあって、判りやすいです。これからIFRS15号を学習する方にも、役立つ資料だと思います。

日経記事 「売上高計上」への意見公募

本日の日本経済新聞の投資情報(15)面より。ASBJが収益認識の公開草案策定に向けて意見公募する、という記事。

■「売上高計上」への意見公募(2016.1.26)
会計基準委 18年から新基準導入へ


収益認識については、IASBが2018年1月から従前の基準に変えて新たな基準のIFRS15号を適用開始。共同検討してきたFASBも米国基準を同様に改定する。ところが、日本基準には、そもそも収益認識に関する基準がまったくないというオソロシイ状態。なので(悪い意味で)適当な収益の計上方法が、そこかしこでまかり通っています。記事にある入会金や返品以外にも、総額主義とか、ポイントとか。

基準を策定するのは、当然のことですね。コンバージェンスの観点からIFRS等に近い基準が腹案になると思われ、またそれが良案と思います。
ただ、もう期限まで2年を切っているので適用が間に合うか、という問題が出てきそうです。ほぼすべての企業が対象になり、かつ現在の実務からは非常に大きな改定になる可能性が高いので。

記事では、5月末までに公開草案を取りまとめる予定となっています。

[参考]
■第327回企業会計基準委員会の概要(2016.1.19)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160112/20160112_index.shtml

IFRS16 リースがリリース

久しぶりに、IFRSの話題。

長年の懸案であったリース(IFRS16)が、遂に基準化されました。

■IASB shines light on leases by bringing them onto the balance sheet(2016.1.13)
http://www.ifrs.org/Alerts/PressRelease/Pages/IASB-shines-light-on-leases-by-bringing-them-onto-the-balance-sheet.aspx


IFRS16は、ほぼすべてのリースをオンバランスするもの。これまでオフバランス化により隠蔽され、投資家やアナリストが独自に修正するしかなかったのが、大きく改善されます。

業界等の大反対に抗して、リースのオンバランス化の議論を押し進めた、サー・デビッド・テゥイーディー(Sir David Tweedie)前IASB議長もお喜びになっているでしょう。

日本基準も、早々にコンバージェンスして頂きたいものです。

ASBJが「概念フレームワークにおける認識規準」を公表

もう、ずいぶん前ですが、ASBJがIFRSの概念フレームワークにおける認識に関する蓋然性規準について、ドキュメントを公表しています。

■ASBJショート・ペーパー・シリーズ第2号「概念フレームワークにおける認識規準」の公表(2015.11.15)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/iasb/discussion/comments20151112.shtml


概念フレームワークにおける蓋然性規準について、ASBJは権利又は義務が何から生じるかにより要否を決めるべきと主張しているようです。具体的には、「取引」から生じる場合は不要で、「その他の事象」から生じる認識については堅牢な蓋然性規準が必要と。

このペーパーは、2015年12月の会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)での討議で使用する予定だそうです。

ショート・ペーパー・シリーズというドキュメントの括りがあるのは、意識していませんでした。ちなみに、第1号は「「OCI は不要か?」(2014.5.23)です。

この文脈では、「基準」ではなく「規準」なのも面白いですね。

東芝 のれん減損損失の不正開示

東芝が、米国ウエスチングハウス社(WHC)の原発事業に絡む減損損失を開示しなかったという件です。

■当社子会社のウェスチングハウス社に係るのれんの減損について(2015.11.17、PDF)
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20151117_1.pdf


内部告発で金額が漏れたようで、マスコミが報道。2015.11.13に一度リリースを出し(2013年度分について)否定しましたが、それの補足で、実は2012年度には不正開示をやってましたというもの。東証から指摘されシブシブ公表。

東芝は2017年3月期からIFRSへの移行を表明していますが、現在はまだ米国基準ですね。
米国基準はまったくうといのですが、手続はおおむね日本基準と同じ(というか日本基準がマネした?)で、東芝の開示によると、

1. 減損テストは、事業ベースの帳簿価格と公正価値をまず比較。事業の帳簿価格 > 事業の公正価値の場合は、次に進む。

2. のれんの公正価値を測定。のれんの帳簿価格と公正価値を比較し、差分を減損と認識。

という流れかと。

ポイントは事業レベルでまず簿価と公正価値(時価)を比較し、次に資産(のれん)レベルで簿価と公正価値(時価)を比較し差額を出す、2段階アプローチであること。
なので、資産の帳簿価額と公正価値の差分、具体的にはWHC買収に際して計上したのれんの簿価と公正価値の差額が減損損失になります。

減損損失 = のれんの簿価 - のれんの公正価値


これが、単体決算で2012年度約762億円と2013年度約394億円発生(認識)しており、かつ「2012年度は適時開示基準に該当」していたのに、連結では発生しなかったのをよいことに、あえて開示しなかった(故意)、ということでしょうか。2013年度は、適時開示基準(金額の重要性?)には該当しなかった、という理解でOK?

なんか、判りにくいですねぇ。まともに説明する気がない、悪い開示例の見本です。
しかも、ミスなどの軽微な過失ではなく明らかに故意にやっており、また11/13にも一度事実を隠蔽し、嘘をついている。「不適切」ではなく「不正」。非常に悪質です。

なお、いつも勉強されて頂いている山口利昭先生のブログで、さっそく本件を取り上げておられましたので、参考までにリンクを。
[参考]
■適時開示義務違反は東芝だけの問題ではない(2015.11.18)
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2015/11/post-1acd.html


会計川柳 第7回 審査結果

引き続き、Google ドライブが不調です。昨日は、何事もなかっように復活していたのですが、本日はまた…。なので、軽い話題にて(←言い訳)。

XX川柳というと、第一生命さんのサラリーマン川柳が有名ですが、会計川柳なんてのもあったのですね。知りませんでした。

■第七回 会計川柳 審査結果発表
http://www.zeikenjc.co.jp/senryu/kaikei07.html


主催の税研情報センターさんは、「税務通信」、「経営財務」の税務研究会からスピンオフした会社のようです。税金川柳というのも、やっておられるのですね。

第7回の最優秀作品は、

「粉飾で 会社倒産 もうしわけ(もう仕訳)ない」
(上記より引用)


下の句が字余りですが、某東芝社の会計不正のことでしょうか。いや、まだあちらは倒産してませんでしたか。早く、キチンと処理して頂きたいものです。「日本のモノづくり~」みたいな文脈であれば、MRJなんかでどうこう騒ぐより、よほど国際的に影響が大きいと思いますが。

なお、(トンデモな水素水で話題沸騰中の)伊藤園さんのは、お~いお茶新俳句大賞でした。サラリーマン川柳と、混同してました…orz

日経「国際会計基準IFRSが変える(下)」

2015.10.10付、日本経済新聞の投資情報(17)面より。

■「国際会計基準IFRSが変える(下)」(2015.10.10)
のれんや資産の「時価」重視 リスク管理の精度高める


IFRSに関する連続もののコラム、昨日の(上)の続き。

IFRSが時価重視であるとして、オートバックスの原価管理、日本たばこ産業(JT)ののれん評価、三井物産の減損評価の3つケースを取り上げています。

オートバックスは3~4万品目を扱うそうで、

2年前、フランチャイズを含む全店で個別の商品にコードを付け、仕入れから販売までのデータを蓄積する在庫管理システムに更新
(上記より引用)

しており、この仕組みで原価算出をおこなうそうです。
これまで、すべての商品に商品コードが無かったことの方が驚きですが、小売業はそんなものなのかもしれません。それで儲けることが出来ていたのですから、何をか言わんや。

日本たばこ産業は、英ガラハーや米レイノルズ・アメリカンの事業買収等M&Aを進めていますが、

会計コンサルティング会社と助言契約を結び、毎期のれんの価値を評価する態勢
(上記より引用)

とのこと。IFRSでは、のれんの定期償却がなく、一方で減損はきっちり評価する必要があるためでしょう。

三井物産は、資源関連の投資について、

減損が必要かどうか四半期に一度チェック(中略)。移行前には約600ページにも及ぶ会計マニュアルを作り、国内外の拠点と擦り合わせた。
(上記より引用)

資源・エネルギーは、いまや商社の中核ビジネス。反面、リスクも巨大になっており、リスク・マネジメントは重要に。前期の、住友商事や丸紅のシェール関係の減損も記憶に新しいかと。

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