日経の特集記事「揺れる監査法人」シリーズ


日本経済新聞(日経)の2017.7.5~7.8に、特集記事「揺れる監査法人 誕生半世紀の岐路」が全4回のシリーズとして連載されていました。

①東芝不正見抜けず逆風 会計ムラに第三者の目(2017.7.5)

②信頼失う市場の番人 新日本、終わらぬ東芝問題(2017.7.6)

③企業との蜜月に陰り 審査厳格化、増えるコスト(2017.7.7)

④社外委員に聞く 赤字の地域事務所再編を/会計士の公務員化も一考(2017.7.8)


実は読み流していたのですが、第4回に慶応大の池尾和人氏が大手監査法人の社外委員としてインタビューされていましたので、翻ってすべて読み直しました。

①東芝不正見抜けず逆風 会計ムラに第三者の目(2017.7.5)
監査、公認会計士、監査法人等の監査制度の基本的な仕組みや組織と2017.3に新たに導入された監査法人のガバナンス・コードについて。

②信頼失う市場の番人 新日本、終わらぬ東芝問題(2017.7.6)
新日本有限責任監査法人(新日本)につき、退職勧奨によるリストラと、東芝の粉飾決算絡みで東芝株主からの訴訟と元子会社WHの問題を取り上げ。

③企業との蜜月に陰り 審査厳格化、増えるコスト(2017.7.7)
審査厳格化でリソース不足が生じ、監査法人側のリスクや費用アップと企業側から見たコストのアップでアンマッチが顕在化。

④社外委員に聞く 赤字の地域事務所再編を/会計士の公務員化も一考(2017.7.8)
池尾和人氏
-47都道府県にある地域事務所で赤字続きのところは撤退を提言。
-監査法人の交代制は相反する問題。交代期間を長めに取る?
-問題の指摘も監査法人の役割。

阪田雅裕氏
-株主総会まで期間が短いという制度や仕組みの問題あり。
-監査法人の交代制は監査品質を向上するがコストが見合うか疑問。
-証券取引所が監査法人に報酬を支払う制度も一考。

[参考]
弁護士の山口利晴先生の論考。第4回の社外委員の阪田雅裕氏の「会計士の公務員化も一考」に関するものです。
■監査の品質向上と会計士の「公務員化」について考える
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2017/07/post-4a1d.html

金融庁の有識者検討会が「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)を2017.3.31付で公表しています。
■監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会
http://www.fsa.go.jp/singi/governance_code/

ASBJ審議資料 仮想通貨に関する会計処理

しばらく巡回をサボっていたところ、企業会計基準委員会(ASBJ)のサイトが新しいデザインになっておりました。

やっとhttps化してChromeから「安全ではないサイト」と言われなくなったのはよいとして、全体的に間延びしたデザイン。
あと、ホームから「プロジェクトの状況」等の中区分に行けないUIは、相変わらずイライラしますな。
ユーザビリティが低いのは、こちらのような実質的に半官半民の組織ではよく見られることですが。

さて、6月末の企業会計基準委員会で仮想通貨に関する審議がおこなわれたそうで、審議資料が公表されておりますが、大変興味深く拝読しました。

■審議(4)-3 会計上の論点の分析(顧客からの預かり資産(仮想通貨)に関する会計処理)
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20170630_15.pdf


ご承知の通り、銀行法の改正に関連して資金決済に関する法律(資金決済法)が改正され、仮想通貨に関する定めが出来ました。

ただ、この定めはあくまで公法上のものとされ、また主にビットコイン等の取引所のような仮想通貨交換業に関するものであり、私法上、税法上の扱いは必ずしも明らかではありません。

ASBJの審議資料は、資金決済法上の仮想通貨を対象に、顧客からの預かり資産としての仮想通貨をどのように会計処理するかを分析の目的として作成したとのこと。

少々ハードルが高いですが、仮想通貨に関しては会計処理を含めて継続的に学習してみたいと考えております。



収益認識に関する会計基準の動向(まとめ)

収益認識については、IASBとFASBがIFRS第15号/Topic606を公表、一部トピックについても明確化に関する文書を作成済で、2018.1.1から適用開始の見込み。
本邦のASBJも、同日(平成30年1月1日)から(IFRS第15号とコンバージェンスされた)収益認識に関する会計基準を適用する意向であり、6月までに公開草案を提示予定とのこと。果たして間に合うでしょうか。

[動向]
2014.5.28
IASBが「顧客との契約から生じる収益」(IFRS第15号(FASBのTopic606と実質的に同等))公表。

2016.2.4
ASBJが「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」公表。(但し、2016.4.22一部改訂)

2016.4.12
IASBが一部トピックに関する「IFRS第15号『顧客との契約から生じる収益』の明確化」(最終版)公表。

2017.6
ASBJ「収益認識に関する会計基準 公開草案」公表(予定)。

2018.1.1
IASB「顧客との契約から生じる収益」(IFRS第15号)、同明確化の適用開始(予定)。但し、早期適用は可能。
ASBJ「収益認識に関する会計基準」適用開始(予定)。

[参考]
■企業会計基準委員会  「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂(2017.3.16)

東証 IFRS等「会計基準の選択」の開示内容の分析

久しぶりにIFRSの話題。

東京証券取引所(東証)が「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容についておこなった分析を公表しています。

■「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析について(2016.7.20)
http://www.jpx.co.jp/news/1020/20160720-01.html


IFRSの適用等の開示の分析ですね。
対象は2016年3月決算会社までで、IFRS適用済会社、IFRS適用決定会社、IFRS適用予定会社の合計は141社。前回公表比+13社。

区分社数前回比
IFRS適用済会社85+11
IFRS適用決定会社30-2
IFRS適用予定会社26+4
合計141+13
※ 上記より作成

以前に上げたエントリの、野村證券野村嘉浩氏の分析とほぼ同じですね。

141社の時価総額の合計は139兆円(2016年6月末時点)東証上場会社の時価総額(481兆円)に占める割合は29%(前回公表比+2%)とのこと。
なお、IFRS適用に関する検討を実施しているのは233社(前回公表比+20社)です。総合計だと374社になりますね。





野村證券 野村嘉浩氏「日本企業を取り巻く会計・開示制度変革」

すっかり縁遠くなってしまいましたが、たまにはIFRSの話題でも。

証券アナリストジャーナル2016.7 VOL.54に掲載の野村證券エクイティ・リサーチ部の野村嘉浩さんの論文「日本企業を取り巻く会計・開示制度変革」より。副題は「時価総額2兆円超の企業はIFRS適用を」。

2017.3末期の有価証券報告書提出時点では、IFRS任意適用企業は百社を超え、113社となる見込み。
なお、筆者の認識では広義のIFRS適用企業は144社になるとのことです。内訳は以下。
2016.3末期 IFRS適用済み企業82社
2017.3末期 IFRS適用決定企業24社
2017.3末期 IFRS適用予定企業7社
2017.4以降 IFRS適用決定又は予定企業31社
(上記論文より)

この論文では副題で明らかなように、時価総額1兆円超でIFRS未採用の66社、うち特に時価総額2兆円超の20社について、アナリストは早急にIFRSを適用するように働きかけるべきと主張されています。賛成。

これ以降、IFRS、JMIS、日本基準の開発状況と金融審議会の動きを外観しています。鉄鋼に属する企業がIFRS又はJMISの適用を検討している旨を表明しているとのこと。新日鉄住金さんでしょうかね。

なお「証券アナリストジャーナル」は、論文一本単位からWebで購入もできるようなので、ご興味のある方はぜひ。
■日本証券アナリスト協会 証券アナリストジャーナル
https://www.saa.or.jp/learning/journal/

初めてIFRSに触れる方の基本的なテキストとして、以下の3冊のいずれかを(勝手に)推奨しております。いずれも版を重ねており、定番の教科書と思います。




証券アナリストジャーナル 特集「のれんの会計をめぐる諸問題」

日本証券アナリスト協会の発行する雑誌「証券アナリストジャーナル」。ふだんはキチンと目を通すことも少ないのですが、2016年5月号(VOL.54 №5)の特集として「のれんの会計をめぐる諸問題」がテーマになっておりまして。

■証券アナリストジャーナル(日本証券アナリスト協会)
https://www.saa.or.jp/learning/journal/index.html


ご承知の通り、のれんの償却/非償却は日本基準とIFRSの極めて大きな差異で、もうひとつの日本基準である修正国際基準(JMIS)がわざわざ作成される原因となった論点のひとつです(もうひとつは「その他の包括利益の会計処理」)。

IFRSの定番教科書(基本書)も書かれている秋葉賢一先生(早大大学院)が、特集の解題を担当されておりまして興味津々。



のれんに関する主な論点として、上記ののれんの償却/非償却を含めた10論点が挙げられています。

(買入)のれんに関する主な論点
1. どの企業結合にパーチェス法を用いるか。
2. 自社の株式による場合、取得原価をいつの時価で算定するか(合意日か取得日か)。
3. 100%未満の取得の場合に、被支配株主持分(NCI)を時価で算定するかどうか(部分のれんか全部のれんか)。
4. 識別可能資産・負債をいかに把握し、取得原価を配分するか。
5. のれんは、資産(または、負ののれんは負債)かどうか。
6. のれんに、税効果を適用するかどうか。
7. のれんを償却するかどうか。
8. のれんを償却する場合、何年以内で償却するか。
9. のれんの減損処理をどのように行うか。
10. のれんに関する注記として何を開示するか。
(上記より引用)


掲載されている4つの論文は、論点7(のれん償却/非償却)を中心に、4、5、8~10に関連するものとのこと。


- のれん会計の動向と日本基準の課題 -会計学の視点から- 梅原秀継(明治大学会計大学院)

- のれんをめぐる会計実務について 大迫孝史(トーマツ)

- のれんをめぐる実証研究の新動向 永田京子(東工大工学院)

- のれん情報の価値関連性及び将来業績との関連性 石井孝和(福山大学)


管理人スキルではこれらの内容を完全に理解することはかないませんが、減損に関する点など多くが参考になりました。
ご興味のある方は、ぜひご一読を。
日本証券アナリスト協会のサイトでバックナンバーの購入及び論文1本単位からダウンロード購入もできる模様です)

なお、のれんは広義には自己創設のれんと買入のれんの両方を含む概念ですが、特集は主に後者に関するものです。
自己創設のれん(Intermally Generated Goodwill)とは、当該資産によって市場平均を超過すると期待される将来利益の現在価値。
買入のれん(買収のれん、Acquired Goodwill)とは、当該資産の買収価額と識別可能純資産額との差額。

あと、「のれん代」は日経新聞の偏愛する造語&特殊用語で、実務で言うとバカにされるから、よい子のみんなは使わないでね~。





金融庁がIFRSに基づく連結財務諸表の開示例を公表

久しぶりにIFRSの話題など。

2016.3.31に、金融庁がサイトで、IFRSに基づく連結財務諸表の開示例を公表しています。

■国際会計基準(IFRS)に基づく連結財務諸表の開示例の公表について(2016.3.31)
http://www.fsa.go.jp/news/27/sonota/20160331-5.html


2009年末頃に出された開示例の更新版です。

IFRSで「明示的に開示を求め」られている&「多くの企業において必要になると考えられる項目」に絞っているそうなので、こちらを最低限として自社に最適な記載を検討するためのベースにするのがよろしいかと。

全137頁ありますが、表の占める割合が多く記載も判りやすいので、利用しやすいと思います。

ASBJが収益認識基準の開発に関して意見募集

先般、日経が取り上げていた、収益認識の基準に関する意見募集が企業会計基準委員会(ASBJ)から、出ています。

■ 「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」の公表(2016.2.4)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/shueki2016/


リリースと本文の2本建て。
現在、日本基準には収益認識に関する包括的な会計基準はありませんので、新たな基準になりますが、リリースには、

IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」を踏まええた収益認識に関する包括的な会計基準の開発

とあり、IFRSとのコンバージェンスが前提であることが明確です。

本文「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」は全119ページあり、以下の3章立てになっています。

公表の経緯及び質問事項等

第1部 IFRS第15号に関して予備的に識別している適用上の課題

第2部 IFRS第15号の概要


「公表の経緯及び質問事項等」では、4つの具体的な質問事項を挙げており、それを中心としたコメントを求めています。
(質問は1~6までありますが、1は回答者のスタンス、6はその他なので実質4つ。)

要約すると、
質問2 IFRS15号を出発点とすること自体の是非

質問3 IFRS15号に関する17論点と取引例の適切性

質問4 ASBJの抽出した17論点以外の論点

質問5 IFRS15号の注記の有効性及び適切性
への回答を求めています。

第1部では、「IFRS第15号に関して予備的に識別している適用上の課題」として、17の論点を整理しています。
基本的に「契約の識別」から始まるIFRSの収益認識のフローに沿って論点が挙げられています。ポイント制度、知的財産ライセンス、変動対価など、ややこしかったり、影響の大きそうなのも、いろいろと。
後半には、表示、その他の論点もいくつかあり。

第2部は、「IFRS第15号の概要」で、IFRS15号の内容を30ページ弱にまとめています。

これら第1部、第2部は、日本基準及び日本の実務とIFRSとの差異を、ASBJの観点から整理したものです。ザッと見たところ、取引例のほか、図解等もあって、判りやすいです。これからIFRS15号を学習する方にも、役立つ資料だと思います。
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