ASBJが「概念フレームワークにおける認識規準」を公表

もう、ずいぶん前ですが、ASBJがIFRSの概念フレームワークにおける認識に関する蓋然性規準について、ドキュメントを公表しています。

■ASBJショート・ペーパー・シリーズ第2号「概念フレームワークにおける認識規準」の公表(2015.11.15)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/iasb/discussion/comments20151112.shtml


概念フレームワークにおける蓋然性規準について、ASBJは権利又は義務が何から生じるかにより要否を決めるべきと主張しているようです。具体的には、「取引」から生じる場合は不要で、「その他の事象」から生じる認識については堅牢な蓋然性規準が必要と。

このペーパーは、2015年12月の会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)での討議で使用する予定だそうです。

ショート・ペーパー・シリーズというドキュメントの括りがあるのは、意識していませんでした。ちなみに、第1号は「「OCI は不要か?」(2014.5.23)です。

この文脈では、「基準」ではなく「規準」なのも面白いですね。

東芝 のれん減損損失の不正開示

東芝が、米国ウエスチングハウス社(WHC)の原発事業に絡む減損損失を開示しなかったという件です。

■当社子会社のウェスチングハウス社に係るのれんの減損について(2015.11.17、PDF)
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20151117_1.pdf


内部告発で金額が漏れたようで、マスコミが報道。2015.11.13に一度リリースを出し(2013年度分について)否定しましたが、それの補足で、実は2012年度には不正開示をやってましたというもの。東証から指摘されシブシブ公表。

東芝は2017年3月期からIFRSへの移行を表明していますが、現在はまだ米国基準ですね。
米国基準はまったくうといのですが、手続はおおむね日本基準と同じ(というか日本基準がマネした?)で、東芝の開示によると、

1. 減損テストは、事業ベースの帳簿価格と公正価値をまず比較。事業の帳簿価格 > 事業の公正価値の場合は、次に進む。

2. のれんの公正価値を測定。のれんの帳簿価格と公正価値を比較し、差分を減損と認識。

という流れかと。

ポイントは事業レベルでまず簿価と公正価値(時価)を比較し、次に資産(のれん)レベルで簿価と公正価値(時価)を比較し差額を出す、2段階アプローチであること。
なので、資産の帳簿価額と公正価値の差分、具体的にはWHC買収に際して計上したのれんの簿価と公正価値の差額が減損損失になります。

減損損失 = のれんの簿価 - のれんの公正価値


これが、単体決算で2012年度約762億円と2013年度約394億円発生(認識)しており、かつ「2012年度は適時開示基準に該当」していたのに、連結では発生しなかったのをよいことに、あえて開示しなかった(故意)、ということでしょうか。2013年度は、適時開示基準(金額の重要性?)には該当しなかった、という理解でOK?

なんか、判りにくいですねぇ。まともに説明する気がない、悪い開示例の見本です。
しかも、ミスなどの軽微な過失ではなく明らかに故意にやっており、また11/13にも一度事実を隠蔽し、嘘をついている。「不適切」ではなく「不正」。非常に悪質です。

なお、いつも勉強されて頂いている山口利昭先生のブログで、さっそく本件を取り上げておられましたので、参考までにリンクを。
[参考]
■適時開示義務違反は東芝だけの問題ではない(2015.11.18)
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2015/11/post-1acd.html


会計川柳 第7回 審査結果

引き続き、Google ドライブが不調です。昨日は、何事もなかっように復活していたのですが、本日はまた…。なので、軽い話題にて(←言い訳)。

XX川柳というと、第一生命さんのサラリーマン川柳が有名ですが、会計川柳なんてのもあったのですね。知りませんでした。

■第七回 会計川柳 審査結果発表
http://www.zeikenjc.co.jp/senryu/kaikei07.html


主催の税研情報センターさんは、「税務通信」、「経営財務」の税務研究会からスピンオフした会社のようです。税金川柳というのも、やっておられるのですね。

第7回の最優秀作品は、

「粉飾で 会社倒産 もうしわけ(もう仕訳)ない」
(上記より引用)


下の句が字余りですが、某東芝社の会計不正のことでしょうか。いや、まだあちらは倒産してませんでしたか。早く、キチンと処理して頂きたいものです。「日本のモノづくり~」みたいな文脈であれば、MRJなんかでどうこう騒ぐより、よほど国際的に影響が大きいと思いますが。

なお、(トンデモな水素水で話題沸騰中の)伊藤園さんのは、お~いお茶新俳句大賞でした。サラリーマン川柳と、混同してました…orz

日経「国際会計基準IFRSが変える(下)」

2015.10.10付、日本経済新聞の投資情報(17)面より。

■「国際会計基準IFRSが変える(下)」(2015.10.10)
のれんや資産の「時価」重視 リスク管理の精度高める


IFRSに関する連続もののコラム、昨日の(上)の続き。

IFRSが時価重視であるとして、オートバックスの原価管理、日本たばこ産業(JT)ののれん評価、三井物産の減損評価の3つケースを取り上げています。

オートバックスは3~4万品目を扱うそうで、

2年前、フランチャイズを含む全店で個別の商品にコードを付け、仕入れから販売までのデータを蓄積する在庫管理システムに更新
(上記より引用)

しており、この仕組みで原価算出をおこなうそうです。
これまで、すべての商品に商品コードが無かったことの方が驚きですが、小売業はそんなものなのかもしれません。それで儲けることが出来ていたのですから、何をか言わんや。

日本たばこ産業は、英ガラハーや米レイノルズ・アメリカンの事業買収等M&Aを進めていますが、

会計コンサルティング会社と助言契約を結び、毎期のれんの価値を評価する態勢
(上記より引用)

とのこと。IFRSでは、のれんの定期償却がなく、一方で減損はきっちり評価する必要があるためでしょう。

三井物産は、資源関連の投資について、

減損が必要かどうか四半期に一度チェック(中略)。移行前には約600ページにも及ぶ会計マニュアルを作り、国内外の拠点と擦り合わせた。
(上記より引用)

資源・エネルギーは、いまや商社の中核ビジネス。反面、リスクも巨大になっており、リスク・マネジメントは重要に。前期の、住友商事や丸紅のシェール関係の減損も記憶に新しいかと。

日経「国際会計基準IFRSが変える(上)」

2015.10.9付、日本経済新聞の投資情報(17)面より。

■「国際会計基準IFRSが変える(上)」(2015.10.9)
グループ経営のインフラに 共通のモノサシ、内需企業も


IFRSに関する連続もののコラム。
<上>では、IFRS導入に伴い経営や会計の仕組みを変えた、花王、日立、不動産中堅トーセイの3つのケースを取り上げています。

花王は、メーカーながら、日本企業の中では非常に会計や財務を重視していて、いろいろ新しい取組みをされています。生産設備の耐用年数も海外子会社を含め統一と。

コストの基準を一つにして各地の投資リターンを正確に測り、適切な経営判断につなげる。
(上記より引用)


工場や生産設備を多数保有するメーカーでは、耐用年数が異なれば各年の利益やCFがまったく変わり、大きな影響がありますので、経営の観点からは当然の措置と思います。が、それを海外子会社まで本当に実施するとなると、誠に大変なことだったかと。

日立は、

グループ内の決算工程を共通化。原材料の調達や製品仕様もまとめて年1000億円以上のコスト削減を目指す構造改革「スマトラ」の土台として使う。
(上記より引用)


決算だけでなく、会計や経営管理の仕組みは、簡易化やサイジングは有り得るものの、基本的にグループ企業全体で共通であるべきです。しかし、ほとんどの企業で出来ていません。そのため、経営判断に時間がかかったり施策を誤ったりする、それでまた売上が減りコストが増加する等、という悪循環。

磯山友幸氏「東芝問題は、少なくとも「不正会計」ではないか」

いつも拝見している磯山友幸さんのブログより。

■東芝問題を「不適切会計」で片づけていいのか? 「粉飾決算」とは言えない大新聞の呆れた事情(2015.9.23)
http://d.hatena.ne.jp/isoyant/20150923/1442982940


まことに、もっともなご見解かと。

当ブログは、比較的早い時期から、この点に関してマスコミサイドを問題視しておりました。(これとか、これとか、これとか。かなりしつこい。)

本記事では、先般、日本経済新聞に掲載された千代田邦夫公認会計士・監査業務審査会 会長の発言も取り上げられており、つけ足すことも何もありません。





公認会計士・監査審査会千代田邦夫会長「東芝は粉飾決算」

2015.9.18付、日本経済新聞企業(15)面より。金融庁傘下の公認会計士・監査審査会の千代田邦夫会長のご発言。

■監査審査会会長、東芝は「粉飾決算」 担当の監査法人を検査へ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC17H1F_X10C15A9916M00/
(上記は電子版へのリンク)


以前エントリを上げましたが、「粉飾決算」と言うのは極めて当然かと。ずっと、もやもやしてたのが、スッキリしました。

「事実を虚偽表示するのが粉飾。意図的にやったかどうかが問題で(東芝の件は)明確に不正と結びついている」と説明した。
(上記より引用)


明快。
まさに虚偽表示、つまり意図的(故意)かどうかがポイントな訳で。(重過失は故意と同視)

まあ「不正会計」でもよいですが、日経等が使う新たな新聞用語「不適切会計」だと過失をふつうに含んでしまい、かなり不適切な表現かと。不適切ジャーナリズム。いや、もしかしたら、意図的かも…

岩谷誠治先生「減価償却制計算の歴史 改定償却率や償却保証額は、どこから生まれて来たのか」

減価償却は、会計のキモのひとつ。経営の現実と会計帳簿を繋ぐ、重要な概念であると(勝手に)思っています。

岩谷先生がブログで、その減価償却制度について、歴史的な変遷を踏まえて詳細に解説して下さっています。これは必読なり。

■減価償却制計算の歴史 改定償却率や償却保証額は、どこから生まれてきたのか(2015.9.16)
http://iwatani-c.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-530f.html


250%定率法、保証率、償却保証額、改定償却率…。減価償却の基本は理解していた(と思っていた)のに、これらの用語を初めて見たときは、何が何やら、まったく判らなかった。

このように、難解な制度を簡潔かつ明瞭に解説頂けると、本当にありがたいなぁ。なんとか、自分も少しでも近づきたいものです。

なお、難解な制度は、現時の仕組みを見ただけでは理解が困難な場合が多々あります。歴史的に経緯を追うと理解が進むこともあるので、制度の変更前後の比較表や変更経緯を整理した年表等の作業ツールをよく作成します。

岩谷先生の著作、これまであまり会計に触れてこなかった経営者や初学者向けには以下をお薦め。



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