IFRSに関する誤解(7/7)

引き続き「IFRSに関する誤解」について。これで最後です。

■金融庁:「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の公表について
http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20100423-2.html


4.企業年金の会計処理方法の変更により、企業の業績が悪化し、年金財政も悪化・崩壊するのではないか

[誤解]IFRSの見直しが行われると、企業年金の積立不足額を即時に費用処理しなければならないため、業績(当期純利益)が大幅に悪化する。また、年金の積立不足がすべて財務諸表に表れるため、年金財政が悪化・崩壊する。

[実際]現行のIFRSでは、企業年金の積立不足の増減に伴う数理計算上の差異(年金資産の期待収益と運用成果の差異など)については、一定額以上のみを平均残存勤務期間で均等償却する方法、「その他の包括利益」として即時に認識する方法などが選択可。

これは、この通り。
なお、年金財政うんぬんは、別問題。(「崩壊している」が正しいか。)

5.売上の計上にあたり、IFRSを導入すると出荷基準が使えなくなり、期末はすべての着荷や検収の確認をしなければならないのか。また工事進行基準は認められなくなるのか。

[誤解]IFRSでは、収益の認識基準が我が国とは異なり、我が国でこれまで広く使われていた出荷基準による売上の計上が認められなくなる。

[実際]現在の日本基準は実現主義であり、現在のIFRSの収益認識基準(リスクと便益の買主への移転)に照らし合わせても、ほぼ同様の結果となることが多い。例えば、取引の形態によっては、着荷や検収の事実を一々確認しなくても、出荷の事実をベースに、配送に要する期間等を考慮して、合理的にリスクと便益の移転が認められる場合、その時点で売上の計上ができる場合がある。いずれにせよ、プリンシプルに照らして、個々具体的な事例に即して適切に判断することになる。

微妙。現行の日本基準では「実現主義」が具体的に定義されておらず、循環取引とか押し込み販売など、かなりイカサマがまかり通っています。
なお、先行的に適用を検討されている企業に伺ったお話では、「配送に要する期間等」を把握すること自体が、なかなか困難な模様。

6.減価償却の償却方法は定率法が全く使えなくなるのではないか

[誤解]IFRSになると、有形固定資産の償却方法は、定率法は全く使えなくなり、見直しが必要。

[実際]IFRSは、減価償却は資産の償却可能価額を耐用年数にわたって規則的に配分するものであり、償却方法は、将来的な資産の経済的便益の消費パターンを反映したものを採用しなければならないとされている。定率法と定額法との間に優劣はない。

この見解は、机上と実態の差異という問題を、優劣の問題にスリ変えているようです。
実務では、単に税務で決められた定率法を適用しており、利用実態との間には大きな乖離があります。例えば、加速償却制度とか、大昔に流行ったレバレッジド・リースなどは、そのような効果を利用しているものです。
ASBJの加藤先生も、金融庁見解と同様のことを言っており違和感ありましたが、日本としては定率法の適用を主張する趣旨かと思います。ただ、実務上は、定額法となる前提で準備するべきでしょう。
また、会計が税務によって歪められるのは、本末転倒です。

以上、全7回。いゃ~、長かった。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

スポンサーリンク

最近のトラックバック
最近のコメント
検索フォーム
ユーザータグ

IFRS 簡単図解 

楽天トラベル
amazonからのお薦め

FC2カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
リンク
最近の記事
カテゴリー
月別アーカイブ
RSSフィード
プロフィール

xz400

Author:xz400
「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。

Firefox
Firefox ブラウザ無料ダウンロード