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業務設計の根本的間違い事例 市立船橋高合否通知全誤送事件(上)

1. 事件の概要と疑問
千葉県の市立船橋高校が、スポーツ科の受験生全員に合否通知を誤送した事件です。
定員80名に対して受験者85名で、合格80名、不合格5名の全員に間違った(それぞれ合否逆の)通知を誤送したとのこと。

■受験生に逆の合否通知郵送 市立船橋高、サッカー強豪(2019.2.21)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4154341021022019CC0000/


こちらを読んで頭に浮かんだのは、「いったいどうやれば全員に合否通知を逆に誤送するような業務が可能なのか?」という疑問でした。
不合格はわずか5名なので、例えば「全員に合格通知」を出すと間違いは5名。「合否が入れ違う」パターンだと5+5で10名の間違い。ずっと極端に考えて仮に「全員に不合格通知」でも間違いは80名が最大のはず。
それなのに、なぜ85名全員に??

これはいわゆる「全損」で、ほとんど有り得ない。リスク管理の世界でいうところの最大損失が実現したものといえるでしょう。ブラックスワン。

2. 市船高の作業手順
その後、マスコミ報道をいろいろ総合すると、市船高の作業手順は以下の模様(一部推定あり)。

a.合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成。

b.各人毎に判定名簿と突き合わせ、合否の不要な方に×を付ける。

c.×なし(通知用)と×あり(廃棄用)に区分しそれぞれの箱に入れる。

d.×なし(通知用)を封入して送付する。

e.全85通をチェックする。



{参考}
■平成31年度船橋市立船橋高等学校「前期選抜」結果通知に係る事故について(2019.2.21)
https://www.ichifuna.ed.jp/important/post-1800/

市船高が開示した上記文書では「作成マニュアルに記載されている箇所の周知の徹底が行われていなかったことが原因」とあり、マニュアル作業の不徹底が主因としているようですが、この原因分析は誤りです。

3. 事故原因は何か
この事故の原因は、主に以下の3つと想定しました。
①合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成する業務設計(作成マニュアル)自体。
②作業者が作成マニュアル通り作業しなかったこと。(bの不要分に×を付けず)
③チェックをまったく行わなかった。(eはまったく実施せず)

主な原因は上記①の「業務設計(作成マニュアル)自体」が完全に間違いだったためで、同じマニュアルに沿って作業する限り、同様の事件が今後も発生する可能性があります。
市船高は「合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成する手続にしたのは合否判定から通知まで時間が非常に少ないため」それぞれ85通作成したと言うのですが、まったく意味不明です。

ちなみに、②のように、作業者が手抜きをして、マニュアル通りに作業をしないことは、現場ではよくあります。いや、むしろ作業者にとり面倒で、かつ意味が無いと考える作業は、ほぼ省略される、というのが正しいでしょう。
マニュアルはそういう前提で作成しないと、本件のようなふつうは有り得ない全損事故を起こしたりします。作業者が無駄と思うような作業はさせないことが鉄則です。

また、③のチェックは今回まったく実施なかったのでしょう。(全部間違いなので)ひとつでもチェックはしていれば間違いが判ったはずなので。
ただ、a.の作業手順だと、全部正しいか確認するには、85通全部をチェックする必要があります。つまりチェックは作業量が多く、作業者には面倒→省略した可能性が高い。
仮に、作成した不合格通知が5通であれば、不合格分のチェックだけで完璧なので、作業量はごく少ないのですが。
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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。