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東芝 のれん減損損失の不正開示

東芝が、米国ウエスチングハウス社(WHC)の原発事業に絡む減損損失を開示しなかったという件です。

■当社子会社のウェスチングハウス社に係るのれんの減損について(2015.11.17、PDF)
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20151117_1.pdf


内部告発で金額が漏れたようで、マスコミが報道。2015.11.13に一度リリースを出し(2013年度分について)否定しましたが、それの補足で、実は2012年度には不正開示をやってましたというもの。東証から指摘されシブシブ公表。

東芝は2017年3月期からIFRSへの移行を表明していますが、現在はまだ米国基準ですね。
米国基準はまったくうといのですが、手続はおおむね日本基準と同じ(というか日本基準がマネした?)で、東芝の開示によると、

1. 減損テストは、事業ベースの帳簿価格と公正価値をまず比較。事業の帳簿価格 > 事業の公正価値の場合は、次に進む。

2. のれんの公正価値を測定。のれんの帳簿価格と公正価値を比較し、差分を減損と認識。

という流れかと。

ポイントは事業レベルでまず簿価と公正価値(時価)を比較し、次に資産(のれん)レベルで簿価と公正価値(時価)を比較し差額を出す、2段階アプローチであること。
なので、資産の帳簿価額と公正価値の差分、具体的にはWHC買収に際して計上したのれんの簿価と公正価値の差額が減損損失になります。

減損損失 = のれんの簿価 - のれんの公正価値


これが、単体決算で2012年度約762億円と2013年度約394億円発生(認識)しており、かつ「2012年度は適時開示基準に該当」していたのに、連結では発生しなかったのをよいことに、あえて開示しなかった(故意)、ということでしょうか。2013年度は、適時開示基準(金額の重要性?)には該当しなかった、という理解でOK?

なんか、判りにくいですねぇ。まともに説明する気がない、悪い開示例の見本です。
しかも、ミスなどの軽微な過失ではなく明らかに故意にやっており、また11/13にも一度事実を隠蔽し、嘘をついている。「不適切」ではなく「不正」。非常に悪質です。

なお、いつも勉強されて頂いている山口利昭先生のブログで、さっそく本件を取り上げておられましたので、参考までにリンクを。
[参考]
■適時開示義務違反は東芝だけの問題ではない(2015.11.18)
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2015/11/post-1acd.html


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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。