非流動化ディスカウントと収益還元法

先般「流動性リスク」というエントリで触れた、2015.3.27の最高裁決定(道東セイコーフレッシュフーズ事件)に関しては、Web上ではかなりの反対意見が散見されます。

収益還元法のそもそもの本質から、非流動化ディスカウントなるものが適用できないのは自明と思っていましたが、そのように考えない方が、けっこう存在するということ。

このような見解の方に多く見られるのは、企業価値の算定上、まず「非流動化ディスカウント」というものが存在する、という前提に立っているらしいこと。つまり、非上場企業の株価はつねに上場企業より低いとして、その要素を必ずディスカウントすべきと考えているのでしょう。
ここに問題があります。

上場と非上場を比較しているその構造からして、非流動化ディスカウントというのは、あくまで比較方式の範疇の概念であることは明らかです。企業価値を考えるのに、まず非流動化ディスカウントありき、というのは無理があります。方式に応じた要素を勘案するのが妥当でしょう。
これは実際に企業を経営することを考えても明白です。企業がビジネスをして「収益」を得るのに、そもそも上場と非上場の区別が大前提だ、などということはあり得ません。非上場の巨大企業や優良企業なんて、ご承知のようにごく普通に存在しますし、上場なんて、資本調達や株式取引のための便法に過ぎないのですから。
ファイナンス理論云々で上場と非上場の割引率の比較がどうとか、言ってる方もおられますが、万一そうだとすると、それも比較方式の範囲内で検討すべきですね。収益方式である収益還元法とは、非常に相性の悪い議論です。

なお、今次の内部統制や会計ルールの厳格適用による上場企業のガバナンス・コスト等を勘案すると、比較方式においては、非流動化ディスカウントだけでなく「流動化ディスカウント」の方ももっと心配すべきでは、とすら思います(笑)
ただ、当然ながら、こちらも収益還元法では勘案すべきではありません。


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