日経社説「IFRSのれん減損処理の批判」は超ピント外れ

2015.3.25付、日本経済新聞の総合1面の社説「日本は国際会計基準の改善にも尽力を」より。

■社説 日本は国際会計基準の改善にも尽力を(2015.3.25)


まず、「のれん代」と書かなかったことを評価しましょう(笑)過ちを改めるにしくは無い。他の悪習も改善して頂きたいものです。

また、のれんを定期償却する処理が望ましいとする意見が根強いというのも、まあ良いでしょう。

問題は、次の部分。

丸紅は買収した米穀物商社の事業が想定通りに拡大せず、多額の減損処理に迫られた。こうした例が相次ぐと、企業の財務内容に対する市場の懸念が高まりかねない。
(上記より引用)


丸紅の、米穀物大手ガビロン社買収に伴うのれんの減損処理に関するものです。
記事のこの例で執筆者が何を言いたいのか、正直、あまり理解できません。文脈からして、減損ではなく、定期償却すべき、ということの理由付け等のようなのですが。
ロジックは、丸紅の巨額&一時の減損処理→同様の例が相次ぐ→企業財務内容への市場の懸念が高まる、という関係のようですが、その理由も懸念もよく判らないのです。

日本基準では、のれんはまず20年以内に定期償却する扱いですが、例えば2013年にガビロン社を買収した丸紅の場合、定期償却の処理でも、それほど償却が進んでいたはずはありません。
また、日本基準でも、のれんの減損処理はありますので、(まったく同じレベルかどうかは別としても)減損処理が必要となった可能性は高いです。

もしかしたら、執筆者は日本基準は定期償却(のみ)と思い込んでいて、償却と減損の両方の処理が定められていることを知らなかったのかもしれません。それにしても、この丸紅の件は、たとえ定期償却(のみ)をしていてもほとんど解決しないので、いずれにしてもこの事例はIFRSの減損処理を批判する事例としては、まったく的外れです。

もうひとつ違和感があるのが、執筆者が巨額&一時の処理が相次ぐと企業財務内容への市場の懸念が高まる、というような関係を想定しているらしいこと。
市場が懸念を持つのは、実態に沿った財務が適時に開示されないことです。
望ましいのは「実態≒財務」であり、たとえどんなに巨額だろうが、一時だろうが、実態をできるかぎり即時に開示するのが望ましい、と考えている管理人には、理解できない思考です。

この記事は、この後にも、

国際会計基準を使う企業は(中略)想定しうる損失の額を開示するなどの手立てを講じる必要もある。
(上記より引用)

などと、またまた的外れな主張をしていて、どうも企業財務やリスク・マネジメントについてまったく疎い方が書いたのではないか、という疑念が高まってしまうのでありましたorz
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