投下資本利益率(ROIC)と自己資本利益率(ROE)

2015.3.25付、日本経済新聞の投資情報面の記事より。

■資本効率、事業ごと管理(2015.3.25)
今期 三菱電が新指標
資金投入にメリハリ


三菱電機が2015年3月期から三菱電機版ROICと呼ぶ新たな経営指標を導入し、資金を有効活用し継続的なROE改善を目指す、という内容。

投下資本利益率(ROIC)を、「税引き後の営業利益を自己資本と有利子負債の合計で割って算出することが多い。」と解説しています。
つまり算式は、以下となります。

投下資本利益率(ROIC)=税引き後の営業利益/自己資本と有利子負債の合計


なお、三菱電機さんの三菱電機版ROICは、
「部門別営業利益を、運転資本(売上債権と在庫から仕入債務を引いた値)と固定資産の合計額で割って求める。」
そうなので、一般的なROICとはかなり違う値になりそうですが、それは置いておいて。

問題は、この次のところ。
投下資本利益率(ROIC)は「自己資本利益率(ROE)と違い事業ごとの比較がしやすく、部門の収益管理に適している。」
となってますが、う~む、という感じです。

この文章を自己資本比率を主語にして裏返すと、
「自己資本比率(ROE)は、投下資本利益率(ROIC)と違い事業ごとの比較がしにくく、部門の収益管理に適していない。」
となります。

自己資本利益率(ROE)の算式は上記に準ずると、

自己資本利益率(ROE)=税引き後の営業利益/自己資本

であり、投下資本利益率との違いは「有利子負債」の有無だけです。有利子負債とは、借入金や社債のことで、要は有利子の負債を組み込むかどうか、が自己資本利益率と投下資本利益率の違いのはず。つまり、投下資本利益率の方が、有利子負債の分だけ情報量が増える。それで、どうして、事業ごとの比較がしやすくなるのか、直感的には意味不明です。

推定ですが、このロジックには、自己資本の適切な配分が難しい、という前提というか現実があるのかと思いました。自己資本は概念的にはビジネスリスクに対応するものなので、必要な自己資本の金額は事業ごとに大きく異なります。リスクに応じた資本を配分する必要がある訳です。
有利子負債の方も本来はリスクを反映するべきだとはいえ、元々が低率なためあまり厳密に考えても意味がありません。また、一般的に、有利子負債の方が自己資本より圧倒的に大きいので、投下資本利益率(ROIC)としてしまえば、あまり何も考えずに分母を設定できる、ということかなと。
三菱電機版ROICでは、分母を「運転資本と固定資産の合計額」に単純化しているので更に簡易ですが、ビジネスリスクの反映はまったくないのが判ります。これが部門間の収益性を適切に比較できる新指標である、というのには、強い違和感を感じますね。

管理人は、投下資本利益率(ROIC)の意義は、ビジネスの収益性は資金の調達方法には(税効果等を除き)依存しない、という点にあると考えております。つまり、カネに色はないので、調達側(企業)にとっては資本も負債もある意味関係ない、ということです。
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