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グレーリノ

グレーリノ(Gray Rhino、灰色の犀(サイ))とは、発生確率が高くその影響度が大きいにも関わらず、軽視されるものごとのたとえ。Rhinoは動物の犀(サイ)。
タレブの提唱したブラックスワン(Black Swan)は、影響度は大きいが発生確率がゼロ又は極めて低いと考えられているために軽視されるものごとですが、グレーリノは発生確率と影響度の両方が大であるのに、なぜか軽視されるというところがポイントです。

グレーリノは、リスク・ポジショニング・マップでは、右上の箱(ボックス)に位置するものごとの一部です。ここは、リスク・マネジメントでは最も管理上重要なエリアです。
(ちなみに、ブラックスワンは(あえて言えば)左上の箱の角ギリギリの位置かと。)

リスク・ポジショニング・マップ
発生確率少・影響度大発生確率多・影響度大
発生確率少・影響度小発生確率多・影響度小


それなのに「なぜ軽視されるのか」ですが、いわゆる認知バイアスのひとつなのでしょう。
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企業は「急に倒産する」か

IT系のゲーム会社が倒産したのでしょうか。Twitterのタイムラインに「会社が急に倒産して解雇された」というようなツイートやリツイートが、複数見られます。
おそらく本人にとっては予期せぬことで「急に」と言いたくなるのは判るのですが、実際に企業が「急に」倒産するのでしょうか。少しややこしいことを考えてみます。

倒産の定義は法的倒産(破産、民事再生の申立等)などいくつかありますが、いずれもある一時点のイベント(事象)で不連続的に発生するものであり、その意味では「急に」倒産します。というか「急に」しか、倒産しない。

他方、倒産に至る前には経営における一定の状況悪化があり、兆候は会社の内外(非上場では特に内部)から一部顕在化しているはず。つまり徐々に倒産に近付いているのであり、「急に」と思ったヒトは、それが見えていなかったとも。

「見たいものだけが見える」又は「同じものごとが今後も繰り返すと思う」という、いわゆる認知バイアスのせいなのかもしれません。

業務設計の根本的間違い事例 市立船橋高合否通知全誤送事件(下)

千葉県の市立船橋高校が、スポーツ科の受験生全員に合否通知を誤送した事件に関する続き。(上)のエントリはこちら

この事件の主な原因は「業務設計(作成マニュアル)自体」が完全に間違いだったためと書きましたが、ではどのような業務設計が望ましいのでしょうか。
市船高曰く「合否判定から通知まで時間が非常に少ない」とのことなので、業務量の大幅削減とリスクの低減の両立を目指します。

マスコミ報道をいろいろ総合すると、市船高の作業手順は以下の模様(一部推定あり)でした。

a.合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成。

b.各人毎に判定名簿と突き合わせ、合否の不要な方に×を付ける。

c.×なし(通知用)と×あり(廃棄用)に区分しそれぞれの箱に入れる。

d.×なし(通知用)を封入して送付する。

e.全85通をチェックする。

なお、このうち、bの一部「合否の不要な方に×を付ける。」と、eの「全85通をチェックする」は、まったく実施されなかったようです。

望ましい業務設計は、例えば以下です。

A.合格通知を80通、不合格通知を5通作成。

B.判定名簿の不合格者と突き合わせ、不合格通知5通を封入する。

C.合格通知80通を封入する。(名簿と突き合わせ不要)

D.不合格通知5通の封筒をチェックする。(合格通知はチェック不要)


ポイントはAで、合格者/不合格者のそれぞれと同数の通知のみ作成すること。
これで、合否入れ違いは最大でも10通(5通+5通)に限定されました。(リスク大幅減少)
Bの「判定名簿との突き合わせ」とDの「チェック」も85通→5通に減ります。(作業量大幅減少)
無駄な作業は削減され、同時にリスクも減ると。

市船高は「合否判定から通知まで時間が非常に少ないため」「合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成する手続にした」と言うのですが、まったく逆です。「合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成」する手続のため、事件が発生したのです。しかも作業量には無駄が多い。
同じマニュアルに沿って作業する限り、また同様の事件が今後も発生する可能性があり、関係者には改善を望みたいと思います(たぶん無理)。

業務設計の根本的間違い事例 市立船橋高合否通知全誤送事件(上)

1. 事件の概要と疑問
千葉県の市立船橋高校が、スポーツ科の受験生全員に合否通知を誤送した事件です。
定員80名に対して受験者85名で、合格80名、不合格5名の全員に間違った(それぞれ合否逆の)通知を誤送したとのこと。

■受験生に逆の合否通知郵送 市立船橋高、サッカー強豪(2019.2.21)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4154341021022019CC0000/


こちらを読んで頭に浮かんだのは、「いったいどうやれば全員に合否通知を逆に誤送するような業務が可能なのか?」という疑問でした。
不合格はわずか5名なので、例えば「全員に合格通知」を出すと間違いは5名。「合否が入れ違う」パターンだと5+5で10名の間違い。ずっと極端に考えて仮に「全員に不合格通知」でも間違いは80名が最大のはず。
それなのに、なぜ85名全員に??

これはいわゆる「全損」で、ほとんど有り得ない。リスク管理の世界でいうところの最大損失が実現したものといえるでしょう。ブラックスワン。

2. 市船高の作業手順
その後、マスコミ報道をいろいろ総合すると、市船高の作業手順は以下の模様(一部推定あり)。

a.合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成。

b.各人毎に判定名簿と突き合わせ、合否の不要な方に×を付ける。

c.×なし(通知用)と×あり(廃棄用)に区分しそれぞれの箱に入れる。

d.×なし(通知用)を封入して送付する。

e.全85通をチェックする。



{参考}
■平成31年度船橋市立船橋高等学校「前期選抜」結果通知に係る事故について(2019.2.21)
https://www.ichifuna.ed.jp/important/post-1800/

市船高が開示した上記文書では「作成マニュアルに記載されている箇所の周知の徹底が行われていなかったことが原因」とあり、マニュアル作業の不徹底が主因としているようですが、この原因分析は誤りです。

3. 事故原因は何か
この事故の原因は、主に以下の3つと想定しました。
①合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成する業務設計(作成マニュアル)自体。
②作業者が作成マニュアル通り作業しなかったこと。(bの不要分に×を付けず)
③チェックをまったく行わなかった。(eはまったく実施せず)

主な原因は上記①の「業務設計(作成マニュアル)自体」が完全に間違いだったためで、同じマニュアルに沿って作業する限り、同様の事件が今後も発生する可能性があります。
市船高は「合格通知と不合格通知をそれぞれ85通作成する手続にしたのは合否判定から通知まで時間が非常に少ないため」それぞれ85通作成したと言うのですが、まったく意味不明です。

ちなみに、②のように、作業者が手抜きをして、マニュアル通りに作業をしないことは、現場ではよくあります。いや、むしろ作業者にとり面倒で、かつ意味が無いと考える作業は、ほぼ省略される、というのが正しいでしょう。
マニュアルはそういう前提で作成しないと、本件のようなふつうは有り得ない全損事故を起こしたりします。作業者が無駄と思うような作業はさせないことが鉄則です。

また、③のチェックは今回まったく実施なかったのでしょう。(全部間違いなので)ひとつでもチェックはしていれば間違いが判ったはずなので。
ただ、a.の作業手順だと、全部正しいか確認するには、85通全部をチェックする必要があります。つまりチェックは作業量が多く、作業者には面倒→省略した可能性が高い。
仮に、作成した不合格通知が5通であれば、不合格分のチェックだけで完璧なので、作業量はごく少ないのですが。

太田和彦「おいしい旅 昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹」読了



休日的なネタにて。

太田和彦氏の「おいしい旅 昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹」を読了。

■「おいしい旅 昼の牡蠣そば、夜の渡り蟹」 太田和彦 集英社文庫 2019.2.25刊


元は「サンデー毎日」の「おいしい旅」連載(2016.12~2018.2)で、一部を選別したもののようです。
新刊書を買うことはめっきり少なくなったのですが、太田和彦氏のはつい買ってしまいます。

掲載地は、倉敷、岡山、神戸、松本、横浜、京都、鎌倉、ニューヨーク、東京。
巻末にお店のデータが25軒掲載されていますが、京都、東京を除きあまり個人的な地縁が無いためか、既訪は京都の「イノダコーヒ 三条支店」と「中華のサカイ 本店」だけでした。
(本文には、書名の一部になっている牡蠣そばの岡山「城見茶屋」のように、25軒以外のお店も出てきます。)


野口悠紀雄特別講義「毎月勤労統計問題について」聴講

早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問野口悠紀雄氏の講演を拝聴しました。

■第77回野口悠紀雄特別講義「毎月勤労統計のデータについて」


テーマは話題の毎勤統計問題で、ポイントを列記すると以下。
-2004年から東京都500人以上を抽出調査。補正措置(1/3抽出→3倍)せず。
-抽出が常に問題という訳ではないが、補正措置をしなかったのは問題。
-理由はおそらく単純ミス。「統計」の問題ですらない。
-サンプルの入れ替えは当然有り得る。野党はそんなことを問題にしている場合ではない。
-総雇用者所得=賃金×雇用者数で、総雇用者所得増加は雇用者数(主に女性パート)の増加によるもの。実質賃金は低下、首相答弁は詭弁で問題あり。
-最大の問題はなぜか2011年以前のデータが存在しないこと。今後、実質賃金の議論ができない。ex.公的年金の財政検証へ影響


Googleマップ 経路のプレビューの表示機能

少し前に、Googleマップで「経路のプレビューを表示する」機能が実装されたようです。

ある場所や施設を検索して、他の施設等にカーソルをポイントすると(クリックも不要で)そこまでのルートが表示されます。
機能自体は従前からあるルート検索と同様ですが、「ルート・乗換」からの入力操作が不要でルートが表示されるので、便利ではあります。

といっても、管理人の環境では特定のエリア等だけで、ほとんどの場所や施設では出てこず、出現する基準は不明。出てくると、他の施設にポイントするたびにルートがどんどん切り替わり次々と表示されるので、目がチカチカする。そして、チェックボックスをオフにしても、なぜか暫くするとまた出てくる、などと謎多き仕様なり。

検索しても、あまりこの経路のプレビューに言及する記述が出てこないのですが、もしかしてバグなんでしょうか?
(Twitterでは数件言及するツイートが)

Googleカレンダーの検索表示が改善

以前に、Googleカレンダーの検索表示が酷い件についてエントリを上げましたが、やっと改善された模様です。

GoogleカレンダーのUIアップデート後、最初は、

7 10」

みたいに2つの数字が並んでいただけで、月日の区別さえつかず。で、実はこれ日・月の順でした。
(日本では、月より日を前に表示する習慣は無いので外国仕様でしょうね)

その後、

7 10月, 水」

という表示になったものの、相変わらず年表示は無し。
検索するのは、ふつう昔のことなので、年表示がもっとも大切なんじゃないの?日付表示を大きくしてカッコ付けたりしてる場合じゃないよね、などと怒り心頭でした。

この検索表示が短期間に改善されたのは、それだけ多くの強い指摘があったのでしょう。
今は、

7 2017年10月, 土」

といった表示になっています。
(並び順に違和感はありますが、それはまあ…)

自己満足的なデザインを優先して、必要な(もっとも重要な)機能を削ってしまう。一般的には非常に優れた企業と言われるGoogle(アルファベット)社でも、このような考えられないほど無能なデザイナーが、そして、そのリリースを許可した管理者が、普通に存在するというのが、この世の真実。
ただ、遅ればせながらも、改善しただけ良い会社なのかもしれませんが。

Amazonおまかせリンクの提供終了

一昨日、ブログの右上に設置しているAmazonアフィリエイトが表示されていないことに気付きました。

なんと、「Amazonおまかせリンク」の提供が2018.1.31で終了していました。月に数回は自身のブログを見ていたはずなのに、遅ればせながらやっと気付いた模様。これが老化ですか。

ブログの「プラグインの設定」から当該プラグインを「削除」し、PC用公式プラグイン追加から拡張プラグインのフリーエリアを「追加」。

Amazonおまかせリンクと「同様の機能を持ったウィジェットは現在ございません」とのこと(トホホ…)なので、暫定的にAmazonアソシエイト・セントラルから、バナーリンクのイージーリンク、サイズ120×600を「選択する」→コピーして貼り付け。

久しぶりに作業した感ある。

アクティビティ・ベースド・ワーキング

アクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working、ABW)とは、おこなう仕事に見合った時間や場所・スペース等で仕事をすること。

ABWという略語を見て、コレはいったい何じゃろう?と。ABC(Activity Based Costing、活動基準原価計算)なら、とても詳しいのだけど…。
オフィスの自席→フリーアドレス、→社外:コワーキングスペースやカフェ、自宅勤務…といった流行?を経て、それらの最適な組合せ、みたいな話でしょうか。

営業職やフリーランス、そして自分のようなコンサルタントは、もともとそういう働き方なので、仕事に見合った時間や場所と言われても、当然のこととしか思えないです。
事務処理が主体のデスクワーカーには、オフィスの自席が効率的でしょう。フリーアドレスというのが無駄だっただけで。

ABWで検索してみても引っ掛かるのはごくわずかで、その多くは事務機器メーカーが作成したテキスト。なるほど。政府の働き方改革の旗降りに乗って、彼らがいろいろと跋扈&暗躍しているのでしょうな。

バイアス:選択バイアス、測定バイアス、交絡、認知バイアス

先日、生存バイアスのエントリ上げましたが、そもそも「バイアス」という用語について、よく判っていなかったことが判明(お恥ずかしい)したため、あらためて整理を。

バイアス(Bias)は、もともと統計学の用語で偏りのこと。偶然ではない誤差、系統誤差のこと。
選択バイアス(Selection Bias)と測定バイアス(Measurement Bias)に大別されます。偏りの原因を、データ等の選択それ自体と測定方法の2つに分けているのですね。判り易い。
先の生存バイアスは選択バイアスに分類されます。

なお、区分の後者である測定バイアス(Measurement Bias)を情報バイアス(Information Bias)としている記述もたくさんあるようです。
さらに、交絡(Confounding、交絡バイアス(Confounding bias)とも)が独立した3つ目のタイプとされていることも。こちらはいわゆる疑似相関に関するもの。
ここまでは、統計学の世界でした。

認知バイアス(Cognitive Bias)は、認知心理学や社会心理学など心理学の用語で、ヒトの思考の偏りや認知の歪み。つまり、思い違いや勘違いのこと。
昔エントリを書いた確証バイアスは、こちらのひとつ。
ポイントは、認知バイアスが統計学におけるバイアスとはまったく別物である、とされる場合が多いこと。(特に統計学やそれを使用する医療関係の方のテキストでは)

なので、表にすると以下のように。
分野種類
統計学選択バイアス
測定バイアス
交絡
心理学認知バイアス

ただ、個々のバイアスの事例を追ってみると、統計学におけるバイアスと認知バイアスが同様なケースを扱っていたりします。統計学側と心理学側の相互に。
認知バイアスの方がユルい(範囲が広い、定義が甘い?)のは間違いありませんが、完全に別物とするのも無理があるようです。

ルールとマナー

ルール(Rule)とは、人の行動を制約又は強制するもの。
典型的には法令によるものですが、それ以外にも契約や約款、組織の内規や慣習にもとづくルール等も存在します。ルールの対象は「行動」で、強制する以上は責任が伴います。

マナー(Manner)とは、常識、慣習、嗜好等で、他人を強制しないもの。特定の集団の中では比較的多くの支持を集める行動規範です。
マナーは多様で、対象も「行動」だけでなく「心情・信条」等の人の内面も含むなど広範囲。集団やその範囲・線引き等が変わると、まったく違ったりすることも。(食事の席で鼻をかむのはOKか?とか)

ルールとマナーは混同されることがよくあり、慣習や常識についてはどちらか判別が難しい場合も確かにあるのですが、「強制」するものは基本的にルールです。マナーはせいぜい「啓蒙」するだけで、「~せよ」、「~するな」等という言い回しなら、それはルールの範疇かと。

例えば、鉄道会社は優先席や女性専用車両、車中の携帯電話の利用法等を「マナー」と称していますが、非常に多頻度でうるさく強制しており、どう考えてもルールです。トラブル責任回避のためでしょうが、強制するのに責任は負わない「マナーの体をしたルール」は非常に問題だと思います。

生存バイアス

生存バイアス(Survivorship Bias)とは、生き残ったサンプルのみから(全サンプルを対象とした場合とは異なる)間違った結論を導き出してしまうバイアスのこと。成功バイアス。
世の中には、「成功者は~している」みたいな書籍やテキストが溢れていますが、生存バイアスではないか、と疑うべきものも多いです。

生存バイアスによる間違った結論にも、①ほぼ影響が無いもの(無益無害)、②むしろ悪影響が有るもの(無益有害)、という2種類があり、前者①は「成功者はXX色の財布を使っている」みたいな話です。財布の色は茶色でも黒色でも、成功/不成功とは関係なく、ニュートラルと。

後者②はこれと異なり、結論に従うと、思いとは逆に悪影響があるので、特に非常に問題。
これに類するものとして、爆撃機の被弾分析のケースがよく知られています。

戦闘から帰還した爆撃機(生存サンプル)について、機体のどこに対空砲火等の弾が当たったか分析して、今後の機体防護に反映する。
帰還した機体の「弾痕のあるところをより強く防弾する」というのが成功バイアスで、実は悪手。そこに被弾しても帰還可能で、むしろ弾痕の無い部分こそ、そこに被弾した機体は墜落した訳であり、より強固に防護する必要のある箇所ではないか、というのが正しい結論になります。

ニュー・モノポリー(続)

昨日アップした「ニュー・モノポリー」に関連する記事が日本経済新聞一面に。

■いつのまにか1強多弱 情報総取り、遠のく共存(2019.2.14)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41223410T10C19A2MM8000/


連載記事「データの世紀」の支配の実像③として、主にアマゾン(Amazon)に関する問題事例が挙げられています。ビジネスやITの素人である記者が書く(たかが)新聞記事なので仕方無いかもしれませんが、いろいろな論点がごちゃ混ぜにされ、とても判りにくい記事です。

記載からアマゾンへの出品・商品提供における問題点をあらためて整理すると、以下の3つかと。
①突然出品禁止になる。
②模倣製品を開発し販売される。
③データを独占される。

これらは、別の話なので、対策や対応もそれぞれ考える必要があります。それをごちゃ混ぜにしている記事は、「なんかアマゾン悪い奴」みたいな印象操作が狙いのように感じられますが。

ニュー・モノポリー

ニュー・モノポリー(New Monopoly)とは、GAFA等のIT大手による近年の情報やデータの独占やその状態のこと。
グローバルにビジネス展開するIT大手については課税が大きな問題ですが、こちらはまた別の、独占という観点からの大きな問題です。
国家が情報独占する某隣国よりは、まだマシだとは思いますが。

[参考]日本経済新聞:
■「新独占」IT7社で130億人 企業・個人・国家を翻弄(2019.2.11)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4113595010022019MM8000/

■ニュー・モノポリー 米ITビッグ5(上)(2017.7.14)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO18860860U7A710C1FF2000/

Monopolyとは、独占のこと。
大昔、モノポリーという同名のボードゲームがありました。(人生ゲームの親戚である)億万長者ゲームみたいな奴です(余計判りにくいかな)。
と、ここまで書いて、調べてみたらまだ売っていました。横道。


ニュー・モノポリーは「新たな寡占」と訳されることも多いようですが、寡占ならNew Oligopoly。「新たな独占」でよいのではないかと。


官民ファンドとインセンティブ

日本経済新聞の経済教室に、官民ファンドのインセンティブに関する興味深い記事が。

■官民ファンドのインセンティブ 投資回収促す報酬体系を(2019.2.11)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO4107539008022019KE8000/


著者は、産業投資革新機構(JIC)の報酬問題で社外取締役を辞任した、米国大学の御二人。
JICの報酬問題とは、JIC経営陣が経産省と報酬やインセンティブ等につき書面合意後、官邸から横槍が入り白紙化、迫られて民間出身の9人全員が辞任、とされる案件でした。
(辞任のコメントもこちらに書いておられます。3番目と4番目。)

VCではインセンティブとそのためのキャリー(成功報酬)の設計が極めて重要で、JICではファンド全体の元本返済原則がない、クローバック条項がない、高収益を狙うインセンティブがない等、大きな欠陥がいくつもあってダメダメだという主旨。これらはまったく頷ける指摘です。

ただ、このような米国VC流のやり方が、本邦の政治家や官庁のそれとマッチするかといえば、まったく疑問で、むしろ相反するように思います。つまり、官民ファンドに関して言えば、主張は所詮無いものねだりで、そのため政治家とその意を受けた経産省にバッサリ切り捨てられたのかと。

なお、官民ファンドについては、以前にこちらで書いたように、その存在意義自体を疑問視しております。

所有者不明土地対策(3)③遺産分割協議に期限へ

一昨日と昨日アップした「所有者不明土地対策(1)土地の相続登記義務化へ同(2)②所有権放棄の制度を創設へ」の続き。
所有者不明土地対策の次のポイントは、③遺産分割協議に期限、です。

①相続登記の義務化
②所有権放棄の制度を創設
③遺産分割協議に期限
④相続財産管理人を土地ごとに選任


相続手続は概ね、相続承認→遺産分割協議→名義書き換え等→相続税申告という流れです。
例えば、相続放棄や限定承認(3ヶ月、民法第915条)、相続税申告(10ヶ月、相続税法第27条1項)は期限が定められていますが、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成には現在特に期限がありません。実際には、遺産分割協議が整わず(合意できず)手続が長期間放置されることもあるようです。

所有者不明土地対策のため、この遺産分割協議に期限を設けるべく検討するということです。
これは手続論の範疇ですが、スケジュールを縛るため、実務への影響は大きいとも思われます。

[参考]
■一般財団法人国土計画協会:所有者不明土地問題研究会
http://www.kok.or.jp/project/fumei.html

■国土交通省:所有者不明土地問題に関する最近の取組について
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html

所有者不明土地対策(2)②所有権放棄の制度を創設へ

昨日アップした「所有者不明土地対策(1)土地の相続登記義務化へ」の続き。
所有者不明土地対策の次のポイントは、②所有権放棄の制度を創設、です。

①相続登記の義務化
②所有権放棄の制度を創設
③遺産分割協議に期限
④相続財産管理人を土地ごとに選任


土地の所有権放棄について、民法や不動産登記法には明文が無く、これまで一般に所有権放棄はできないと考えられていました。
これまで無かった制度なので、創設するという訳です。

と、書いたところで、念のためにググってみたら、土地の所有権放棄は現行法で可能というのが学説として多数説である、という論旨の論文が一番最初に出てきてビビりましたが。Web上の情報は、当ブログを含め、玉石混交ですね(爆
(土地に限らず、所有権は放棄できないと解するのが一般と思います。)

まあ、日本は(某隣国と違い)言論や表現の自由度が非常に高い国なので学説は好きに主張して頂ければよいのですが、土地の所有権放棄を認めると、実務上いろいろな問題が生じることは容易に想像できます。
例えば、現行、所有者のない不動産は、国庫に帰属(民法第239条2項)し、土地は不動産なのでこれに該当します。もし土地の所有権放棄が可能になると、放棄により権利義務が国に移ることになる。そう、所有権には権利だけでなく義務が伴いますので、権利 ≦ 義務の土地、つまり価値がマイナスの土地はどんどん放棄されて、国がそれを(税金で)負担することにもなりかねません。廃棄物(ゴミ)を街中に自由に投げ捨てることを認め、国がそれを処理する、というイメージです。これは、土地所有者が他の国民にコスト転嫁してることになるのでは?

上記は素人考えの一例ですが、②所有権放棄の制度を創設することは、手続論である①土地の相続登記義務化などとは比較できない、重大な法制度の変更であると考えられます。
注視したい。

[参考]
■一般財団法人国土計画協会:所有者不明土地問題研究会
http://www.kok.or.jp/project/fumei.html

■国土交通省:所有者不明土地問題に関する最近の取組について
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html

所有者不明土地対策(1)土地の相続登記義務化へ

1. 所有者不明土地対策で法改正検討
所有者不明土地が経済・社会的に非常に大きな問題となっており、こんな弥縫策がなされたりもしていましたが、やっと立法レベルで抜本的に対策するとの報道が。

■土地の相続登記を義務化 所有者不明問題で法改正へ(2019.2.8)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4105341008022019MM0000/
2020年秋の臨時国会に民法と不動産登記法の改正案を提出するというスケジュール感で、法制審議会に諮問されるようです。

2. 法改正の検討ポイント
記事によると、法改正の検討のポイントは以下の4つ。

①相続登記の義務化
②所有権放棄の制度を創設
③遺産分割協議に期限
④相続財産管理人を土地ごとに選任


なお、あくまで法制審に掛ける前の、公表された現時点の検討ポイントということだと思われ、これらがすべて法制化されるのか、またそれ以外にも重要な改正があるか等は、まだ判然としませんのでご留意を。

このうち「①相続登記の義務化」について、以下にコメントします。
(「②所有権放棄の制度を創設」については明日に、「③遺産分割協議に期限」は明後日に、という予定。④はたぶん省略。)

3. 相続登記の義務化
所有者不明土地問題研究会によると、所有者不明の土地は現在でも約410万ヘクタールで、このままでは2040年には720万ヘクタールに達すると見込んでいます。

日本の相続法では、遺言などで特に指定が無い場合には全相続人が法定する一定割合で相続するため、いわゆるネズミ算式に相続による土地の所有者は増えます。
相続した土地登記の、所有権の名義書き換えには費用と手間が掛かりますが、これは現在は義務ではなく、そのため相続人が登記しないケースも多い模様です。つまり、実際には相続しているのに、土地の登記簿上は旧所有者のまま、放置されるという。

相続登記の義務化とは、この土地の相続による名義書き換えを強制するものです。

[参考]
■一般財団法人国土計画協会:所有者不明土地問題研究会
http://www.kok.or.jp/project/fumei.html

■国土交通省:所有者不明土地問題に関する最近の取組について
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html

泊食分離

泊食分離とは、旅館等の宿泊業で宿泊と夕朝食(又は夕食のみ)を切り離し、別建てとして、宿泊施設外で外食すること。

旅館や民宿のような日本型宿泊業では、宿泊(室料)+夕朝食2食付きのいわゆる「泊2(パク二)」が標準でした。
いわゆる温泉旅館がその典型で、顧客が宿泊施設に入ったらもう外へは出さず、館内で飲食や宴会、温泉、アミューズメント、土産品等すべてを提供、旅行費用のうち極端に言えば足代(交通機関料金)以外すべての収益化を狙う、というビジネスモデルです。不動産賃貸業+飲食業+娯楽業+土産品等販売業の兼業という感じでしょうか。

ホテルは、もともと室料(ルームチャージ)のみが基本ですが、大型ホテルが施設内にレストランを擁するのは普通で、またリゾートホテル等では旅館型に近いところも多いような。

インバウンド対応などの観点から、観光庁も泊食分離の旗振りをしているようですが、ビジネスモデルの根底からの変更となるので、既存の業者としてはなかなか難しいですね。

[参考]
■観光庁:「宿泊施設の地域連携」について調査しました!(2018.4.2)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/topics06_000148.html

オモハラ

日本経済新聞で、まったく知らない「オモハラ」という用語に遭遇。特に解説も無く使われてるけど、みんな判ってるのでしょうか?

■渋谷 通過駅にするな 「オモハラ」の集客力活用(2019.2.4)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40810490R00C19A2L83000/

オモハラとは、パワハラ等のXXハラスメントの略語ではなく、(たぶん)表参道と原宿エリアのこと。
Googleで検索しても3万件ほどしかヒットしませんが…。

採取した用語 2019.1

自己学習用に採取した経営関連用語を備忘録として。2019年1月分。

グループシンク、認識論的/偶発的不確実性、確率的/運命的思考、なぜ/どのように、スキラとカリブディス、フォアラー効果、判断への固執、後知恵バイアス、ディスラプション、スマイルカーブ、ミニマックス原理、OKR、データ流通圏、信用スコア、Jスコア、芝麻信用、総力戦、第三世界、マーシャル・プラン、EFTA、CEEC→EEC→EC→ EU、マースリヒト条約、デス・バイ・アマゾン、MiFID2、アノマリー取引、FIRE、GDPR、ダボス会議、サブスクリプション、製造リショアリング、死の谷、サード・パーティー・ファンディング(TPF)、マラプロピズム、HFT

統合報告書(補足)財務/非財務と定量/定性

昨日の統合報告書のエントリで「財務情報/非財務情報と定量情報/定性情報とは区別されるべき」と書いたのですが、少し補足を。
財務情報/非財務情報と定量情報/定性情報は、以下の図のような関係にあります。


定量  定性  
財務
非財務××


ご承知の通り、現在の財務報告(財務諸表)でも、定量情報だけでなくそれらに関連する定性情報も一部開示されています。(○の部分)
統合報告書の話は、この財務報告に加えて、非財務についても定量情報と定性情報を開示するというものです。(×の部分)

つまり、財務情報と非財務情報という「縦軸」の議論なのですが、それを定量情報と定性情報という「横軸」の議論のように解説しているのは、ちょっと如何かな、ということ。判っていないのであれば無知であり、判っていて歪めているのであれば悪質だなと。

この件に限らず、このような、そもそも何の議論をしているのか、といった軸を認識することは、実はとても大切だと思っております。

統合報告書

1. 統合報告書とは
統合報告書とは、法定された財務報告(財務情報)と非財務情報を統合して作成した報告書のこと。
Web上では、定量情報と定性情報の統合という解説も見受けられますが、これは如何かと。財務報告には「財務情報の定性情報」もすでに開示されている訳で、財務情報/非財務情報と定量情報/定性情報とは区別されるべきと考えます。

2. なぜ統合報告書なのか
なぜ統合報告書を作成するのか、というと、背景に昨今のESG投資という流行があります。

■日本経済新聞:非財務情報 開示広がる(2019.2.4)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40778840R00C19A2TCJ000/


ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governanc)のこと。ESG投資とは、環境、社会、ガバナンスに配慮した投資のことです。
非財務情報として、特に環境、社会、ガバナンスに関する情報を加えるということですね。

3. 統合報告書の問題点
統合報告書の主な問題点は、財務報告のように法定されていないため、①作成はあくまで任意であり、②統一した作成や開示のルールが無い、という2つです。

任意は作成であるため、非財務情報の開示が自社にとって都合の良い企業のみ統合報告書作成のインセンティブがあります。都合が悪くなったら、辞めるのも自由。

また、多数の民間団体等により作成や開示のルール自体が乱立し、更に企業側はその一部だけを取り入れたり、勝手な自社ルールを定めたり。自社に都合の良い内容のみ開示し、都合の悪いことは隠す、いわゆるチェリー・ピッキングも、し放題かと。
上記の日経記事では国内で400社が統合報告書を開示とありますが、その基準はバラバラで、横並びでの比較はかなり困難です。いわゆるIR資料と大差ないのでは、とも考えられます。

リスクアペタイト・フレームワーク

リスクアペタイト(Risk Appetite)とは、リスクテイクとリターンの関係を前提として、収益獲得のためにどのようなリスクをどれだけ取るかということ。リスク選好。アペタイト(Appetite)の原意は食欲や欲望。
リスクアペタイト・フレームワーク(Risk Appetite Framework、RAF)とは、金融機関等の経営においてリスクアペタイトを設定、運用、モニタリング等しておこなう経営管理(≒統合的収益リスク管理)の枠組み全体のこと。

大手銀行等をはじめとする金融機関で使われつつある、リスク管理関係の用語です。統合的収益管理というのは従来からおこなわれていたわけですが、リーマン・ショックの教訓はそれでも不十分だったと。

適切なリスクを取る(リスクテイク)ことで期待するリターンが得られる(適切にリスクテイクしなければ期待リターンは得られない)という、リスクテイクとリターンの構造を前提としながら、収益とリスクの一体管理、しかも計画~実施~モニタリングまで一体的・継続的に、経営トップ以下全組織で網羅的に、というあたりが、リスクアペタイト・フレームワークのポイントでしょうか。
リスク管理の対象も、定量化が比較的容易なリスクカテゴリー等からブラックスワン的なものにまで拡大しています。

[参考]
■名古屋で金融高度化セミナー「ガバナンス改革の実践」を開催(2018.9.12)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180912a.htm/

マラプロピズム

マラプロピズム(Malapropism)とは、ことばの誤用全般のこと。

誤用が故意(わざと)であるかどうかは問わないため、修辞法やギャグ、言葉遊びなどによる誤用だけでなく、単なる言い間違いも、この範疇に含まれることになります。
(Web上の情報では、ギャグ等による故意の誤用だけを、又は逆に過失だけを、マラプロピズムとする解説もあるようですが、両方を含むと解しました。)

サード・パーティ・ファンディング

サード・パーティ・ファンディング(Third Party Funding、TPF)とは、弁護士費用などが高額になりがちな国際紛争の際に、費用を当事者以外の第三者から調達して、裁判や仲裁で勝った場合には成功報酬を支払うもの。
サード・パーティ(Third Party)は、第三者。ファンディング(Funding)は、クラウドファンディングのそれと同様で、資金調達のこと。

資金の出し手(第三者)側からみると、国際紛争の裁判や仲裁をひとつの「ビジネス」としてとらえて、それに出融資して成果報酬を狙うビジネスモデル、という構図でしょうか。

当然、どちらに正当性があるかではなく、どちらが勝ちそうかで資金を拠出する訳で。
デジタルや知財ビジネス等のキレイごとでは済まない、ダークな側面だと思います。

[参考]
■国際仲裁のサード・パーティー・ファンディング 弁護士費用を肩代わり(2019.1.28)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40466820V20C19A1TCJ000/
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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。