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文書作成過程を遡上して読解する 遡上法のすすめ

1.遡上法とは
ある文書(ドキュメント)や資料等を読んで、不明な点や疑問が生じた場合の対処法のひとつとして、その資料等の作成過程を遡ってみるという方法があります。
これを勝手に、「遡上法」と名付けました。

文書は一般に、

原案→討議→修正案→承認


という手続で作成されます。(討議→修正案を何度も繰り返すこともあり)

承認された文書が公示・適用されるのですが、それだけを読んでも不明な点や疑問がある場合は、修正案や討議の過程を調べて逆にたどり、文書を読み解く手掛かりを得るということです。

2.国の法令や会計基準の例
例えば、国の行政機関では先のパブリックコメントに関するエントリで示した行政手続法の定めがあり、確定した命令等だけでなく原案や討議過程の議事録、パブリックコメントとそれに対する回答等が開示されます。

命令等の案の作成→公示・意見募集→命令等の策定→結果の公示


会計分野のIFRSや日本基準なども、

DP(ディスカッション・ペーパー)→ED(公開草案)→会計基準

という文書の作成段階ごとに開示され、原則としてコメント募集をおこないます。
ASBJのコメントへの回答が会員限定公開であったりするのがちょっと不満ですが、前版との相違点や関係者のコメントが最終的な文書の解読の手掛かりとなる場合があります。

対照表が付与されていると、非常にありがたいです。

3.文書へ全般の応用
一般の文書では、国の行政機関の命令等のような手続は通常定められませんが、必要に応じて以前の文書や議事録や関係者のメモ等に当たり、似た手法を取ります。
最後は、関係者へのヒヤリングも。ヒトの記憶は時系列には強いため、時間を遡る形での質問は有効です。

ポイントは、①前版との差分と、②文書には書かれていない内容です。
①の差分は、ボリュームが多い場合は対照表を作成こともあります。いわゆるギャップ分析表ですね。
②の文書には書かれていない内容とは、細部(ディテール)や背景、例示など。文書のレベルや性格により、たとえ実務で重要なことでも文書本体には書かれない内容があります。それらを掘り起こす訳です。
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世代論 団塊、新人類、バブル、ゆとり他

1.世代と世代論
世代(Generation)とは、一定の生年層を基準としてグルーピングした人の集団のこと。

世代論とは、世代を基準として特徴的な社会生活や行動のパターン等を論ずるもの。マーケティング、広告やマスコミの世界で、よく使われます。
世代論では、個人間や他の要因による差異や逆に人間として共通性よりも、生年が社会生活や行動のパターン等を強く規定するという前提を置いていると思われます。または、生年の影響が強く出ているものごと(だけ)を取り上げて論じていると。

2.日経記事の世代論
日本の世代論については、少し前のものですが、日本経済新聞に見やすい記事がありました。

■日本経済新聞:「団塊」「バブル」「ロスジェネ」「ゆとり」… サラリーマン世代論
解を探しに・引き算の世界(1)(2016.4.12)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO98989500Z20C16A3I10000/

表に整理すると以下のようになります。

生年世代名
1947~1949団塊世代
1950~1955しらけ世代
1956~1964新人類世代
1965~1969バブル世代
1970~1984団塊ジュニア世代(氷河期、ロスジェネ)
1985~2004ゆとり世代(さとり世代)
(上記記事から作成、年次は一部解釈)

ただ、団塊世代とバブル世代等はわずか数年なのに、他はその数倍の期間だったりして一定せず、むしろ時代に世代を強引に合わせているのではないのかという印象も。時代に合わせて細分化すれば、特徴は切り出しやすい訳で。
世代論を安易に信じることが危険なのは、こういうところが理由です。

あと、ゆとり世代とさとり世代を一緒にしてよいのかは、ちょっと疑問です。

3.日本や世界の世代論
日本の世代論としては、他に、団塊世代以前の昭和一桁世代、焼跡世代や、ポスト団塊ジュニア世代などもあるようです。

世界の世代論としては、ミレニアル世代(ジェネレーション Y)が特に有名かと思います。

世代論にまったく意味がないとは言いませんが、その世代論において、人の集団を生年でグループ化することにどのような意味が纏わされているのかは、常に念頭に置くべきかと考えます。








物品貿易協定(TAG)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の関係

1.物品貿易協定(TAG)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の定義
一昨日、昨日と物品貿易協定(TAG)そして自由貿易協定(FTA)と経済連携協定(EPA)について、関連エントリを連投しましたが、本日はこの3つについて。
再度、物品貿易協定(TAG)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の3つにつき、各々の定義を確認しておきます。

物品貿易協定(Trade Agreement on goods、TAG)とは、関税、輸入制限の引下げや撤廃など物品(モノ)の貿易自由化に関する協定。

自由貿易協定(Free Trade Agreement、FTA)とは、関税、輸入制限の引下げや撤廃などの貿易自由化に関する協定。

経済連携協定(Economic Partnership Agreement、EPA)とは、貿易自由化だけでなく、更に幅広い経済関係の強化に関する協定。

2.物品貿易協定(TAG)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の関係
定義で明らかなように、3者は、基本的に、

物品貿易協定(TAG) ⊂ 自由貿易協定(FTA) ⊂ 経済連携協定(EPA)

という関係。

これら物品貿易協定(TAG)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)3者の関係を図にすると、以下のようになります。
TAGFTAEPA 181128

3.留意点すべきポイント
留意すべきは、物品貿易協定(TAG)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)といっても、それぞれの協定や相手国又は地域によって、内容が大きく異なる場合があることです。名称というより、何を対象にどのような内容になっているかが重要。

先日も書きましたが、政府が物品貿易協定(TAG)を強調する日米間の交渉対象は「物品」だけではないことは確かのようです。

[参考]
■外務省:経済外交
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/economy.html
■経済産業省:EPA/FTA/投資協定
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/

(3連投 終わり)


自由貿易協定(FTA)と経済連携協定(EPA)


1.自由貿易協定(FTA)とは
自由貿易協定(Free Trade Agreement、FTA)とは、関税、輸入制限の引下げや撤廃などの貿易自由化に関する協定。
昨日エントリを挙げた、物品貿易協定(TAG)は物品(モノ)の貿易だけが対象でしたが、こちらは貿易全般が対象でサービス貿易を含みます。

貿易を制限する措置は、関税障壁と非関税障壁に区分できます。物品(モノ)の貿易は両者、サービス貿易には後者が使用されますが、FTAでは関税障壁も非関税障壁もどちらの措置も含まれます。

2.経済連携協定(EPA)
経済連携協定(Economic Partnership Agreement、EPA)とは、貿易自由化だけでなく、更に幅広い経済関係の強化に関する協定。
つまり、EPAには貿易自由化に関する内容を含むと。

経済関係の強化の例として、他に、投資、知財保護、競争政策等も内容となります。
但し、必ずしもすべての内容を協定の対象とする訳ではないので、同じEPAと称されるものでも、それぞれ異なる内容に成り得ることに留意が必要。

[参考]
■外務省:経済外交
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/economy.html
■経済産業省:EPA/FTA/投資協定
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/

3.自由貿易協定(FTA)と経済連携協定(EPA)の関係
EPAの定義で明らかなように、自由貿易協定(FTA)と経済連携協定(EPA)は、

自由貿易協定(FTA) ⊂ 経済連携協定(EPA)

という関係です。
つまりEPAは基本的にFTAの内容を含み、FTAはEPAの部分。

ただ、この構図にはちょっと問題も。
外務省のサイトの開示では、日中韓及び日GCC(湾岸協力理事会)の2つだけが、FTAという表示になっています。TPP等も含め、他はEPAであるという理解。
しかし、これらEPAの内容も多様なので、それぞれの内容が異なるだけでなく、FTAの内容(=貿易の自由化)を含まないEPAというのも有り得そう、というのが少しややこしいです。


物品貿易協定(TAG)

少し前から、米国との貿易交渉絡みで、物品貿易協定(TAG)というあまり聞き慣れない用語を目にするようになりました。
疎い分野ですが、この機会に自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)、さらにTPP等との異同や関係を含めて、連投(予定)で整理します。

1.日米首脳会談の交渉合意
日本のマスコミでは、2018.9.26の日米共同声明において、日米物品貿易協定の交渉入りが日米首脳間で合意されたと報じています。
■日米共同声明全文 物品貿易協定の交渉入り明記(2018.9.27)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35806470X20C18A9000000/

ただ、先の日米共同声明の英語版ではTAGという略称の用語は無く、日本語版もその範囲を、

日米物品貿易協定(TAG)について,また,他の重要な分野(サービスを含む)
(外務省サイトから引用)

としています。

それなら貿易全般が対象では?、自由貿易協定(FTA)とはどう違うのだろうか、というのが素直な疑問かと。少なくとも、日米間の交渉対象は「物品」だけではないことは確かのようです。

■外務省:日米首脳会談(2018.9.26)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page4_004367.html

2.物品貿易協定とは
物品貿易協定(Trade Agreement on goods、TAG)とは、関税、輸入制限の引下げや撤廃など物品(モノ)の貿易自由化に関する協定。
広義の貿易には物品に加えてサービスも含むのが一般的なので、あえて「物品」と限定し、サービス貿易や、更に投資、知財等を含む包括的なものではない、というロジックでしょうかね。

[参考]
■外務省:経済外交
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/economy.html

3.関税とは
関税とは、輸入される物品(輸入品)に課される税金のこと。国境関税。(過去に又は理論的には内国関税というのもあり)
この関税の引下げ・撤廃が、日米間の交渉の主戦場と見られます。

関税は、財務省の外局である国税庁ではなく、財務省関税局及び財務省の地方支分部局である税関が所管。
税関として函館、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司及び長崎(8ヶ所)と、沖縄地区税関、他に税関支署68ヶ所、税関出張所及び税関支署出張所104ヶ所が存在。

■税関
http://www.customs.go.jp/


収益認識の総額/純額と商社の売上高

1.収益認識の総額/純額の論点
少し前の、日本経済新聞の連載記事で、とても気になることがありました。

■変わる会計 ルール共通化の波紋3 収益 取引実態で増減(2018.10.24)


IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益、そしてそれに準じて制定された収益認識に関する会計基準に関する記事で、特に後段の「商社は突然倍増」のところ。収益認識の総額/純額(本人/代理人)という論点についてです。

2.商社の売上高は減少する?(以前のエントリ)
IFRSの収益認識について、以前に以下の記事をアップしていました。

■IFRSの落とし穴(4)本人当事者と代理人(2010.5.21)
http://mf2007.blog108.fc2.com/blog-entry-833.html

記事は2010.5.21アップで当時のIAS第18号 収益(IFRS第15号の前身)に関するものですが、この収益認識の総額/純額(本人/代理人)という論点自体は改定後のIFRS第15号 顧客との契約から生じる収益でも変わっていません。

このエントリでは、

商社、百貨店(消化仕入れ)、旅行代理店など、これまで総額で収益を計上していた企業では、売上高が大幅に減少することになります。

と、書いています。

3.商社の売上高はどうなった
ところが、先の日経記事では、

大手商社はIFRSの新基準で売上高が突然倍増した
(上記記事より引用)

とあり、三菱商事が2.2倍、伊藤忠商事が2.1倍(いずれも2018年4~6期)と書いています。商社の売上高は、(先の管理人のエントリとは逆に)大幅に増大したということです…。

なぜ、こんなことになってしまったのか。

これまで総額で収益を計上していた企業では、売上高が大幅に減少する

という後段の、ロジックが間違っていた訳ではないのですが、

商社、百貨店(消化仕入れ)、旅行代理店など、これまで総額で収益を計上していた企業

という前段の、事実認識のところが圧倒的に間違っていたようです。
商社では、総額→純額よりも、純額→総額の影響の方が実はずっと大きかったと。

具体的には、収益認識に関する会計基準の適用指針における42項に本人/代理人の判定についての定めの、同2号の支配力基準が適用されて、代理人として手数料分を純額計上していたのを総額として売上計上することになった模様。

一応、言い訳しておくと、この本人/代理人の論点については、会計界隈やマスコミでも「IFRSを導入・適用すると売上高が大幅に減少してしまう!」という論調が圧倒的で、「売上高が倍増する」などまったく思わず。(増えるのなら心配しないか…)

いや本当に、ただの言い訳です。申し訳ございません。





パブリックコメント

1.パブリックコメントとは
パブリックコメント(Public Comment、パブコメ)とは、行政機関などが命令等の案を作成した段階で公表し、人々から意見や情報を募集する手続のこと。意見公募手続。
国レベルのパブリックコメント制度は、行政手続法で規定されています。

最終的に決定された命令等に明示されてはいない事柄についても、パブリックコメントの段階で行政機関の意向や考えが示唆されている場合があり、命令等の解釈に有効な場合があります。
資本コスト及び政策保有株式と資本コストのエントリで挙げたのは、このケースです。

2.パブリックコメント制度の概要
行政手続法によるパブリックコメント制度は、国の行政機関が政令や省令などの命令等を対象に実施します。

命令等の案の作成→公示・意見募集→命令等の策定→結果の公示

という流れです。

パブリックコメントは、以下の、e-Gov 電子政府の総合窓口のページで、一括して検索等することができます。

■e-Gov 電子政府の総合窓口:パブリックコメント
http://www.e-gov.go.jp/help/public_comment/

3.パブリックコメント制度の留意点
国のパブリックコメント制度における留意点を挙げておくと、①適用除外と、②任意のパブリックコメントです。

①のパブリックコメントの適用除外とは、命令等であってもパブリックコメント制度が適用されない例外があること。行政手続法第3条、第4条、第39条4項各号に該当する場合です。

②は、適用除外の対象であったり、そもそも命令等に該当しないものについて、(行政手続法によらず)行政機関が任意でパブリックコメントを求める場合があるということです。




機関投資家

1.機関投資家について
昨日のスチュアードシップ・コードのエントリでは、「機関投資家とは、他者から委託を受ける又は大口の投資家のこと。生損保、信託銀行、銀行・信金、年金基金、ファンド等。」と書きましたが、少し調べてみると世の中で使われる「機関投資家」の定義はかなり多義的のようです。
商業分野におけるホールセール/リテールの関係に近いのかもなどと思ったり。

2.機関投資家の定義に関する論点
機関投資家の定義で、特に気になったのは以下の4つの点です。

ひとつは、機関投資家の範囲。
Web上では、最も広いものだと「個人投資家以外」となっているものが検索上位(管理人の設定ですが)に来たり。個人/法人の区別しているようですが、これだと、法人すべて、例えば中小零細企業による株式投資まで含んでしまうと思われます。逆に「金融機関」だと、狭過ぎるかと。

次に、例えば「有価証券」で運用のように、手段を限定しているもの。
これも、例えば運用には例えば預金や不動産も含まれるので、ちょっとミスリーディングかと。広く「運用」全般を含めるののが無難。

もうひとつは、「大口投資家」のように、サイズにフォーカスするもの。
これは、おそらく実態には合致しているのでしょう。ただ「大口」か、どうかの判断基準や、その大口に至らないものはどうなるのか、といったところに少々疑問も。

最後に、投資が「長期」と期間に条件を付け、ヘッジファンドなどを除外するもの。
これも、長期/短期の判断基準や、実際の保有期間はどうなのかなど、違和感がたっぷり。

3.大口投資家とは
そのため、当ブログとしては、

機関投資家とは、他者から委託を受ける又は大口の投資家のこと


とした次第。一般投資家と対になる概念であり、いわゆる金融機関(生損保、信託銀行、銀行・信金、投資信託、投資顧問)やそれに準ずるもの(年金基金、ファンド)です。

区分対象
一般投資家個人、法人(金融機関等以外)
機関投資家金融機関、年金等



スチュアードシップ・コード

1.スチュアードシップ・コードとは
スチュアードの原意は、執事です。スチュアードシップ・コード(Stewardship Code)とは、リーマンショック後にその反省を踏まえて英国で導入された機関投資家の行動原則のこと。
機関投資家とは、他者から委託を受ける又は大口の投資家のこと。生損保、信託銀行、銀行・信金、年金基金、ファンド等。
日本版スチュアードシップ・コードは、「責任ある機関投資家」の諸原則として2014年9月2日に公表され、2017年5月29日には改訂版が公表されました。

■金融庁:スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会
https://www.fsa.go.jp/singi/stewardship/

2.「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュアードシップ・コード)
「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュアードシップ・コード)では、まずスチュアードシップ責任について定義し、方針策定等の7つの原則を定めます。

■「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫ (2017.5.29)
https://www.fsa.go.jp/news/29/singi/20170529/01.pdf

プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)で、またあくまで指針、ガイダンスであり、法的拘束力はありません。
「コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)」として、原則を実施するか又は実施しないならばその理由を示すことが求められています。
このあたりは、コーポレート・ガバナンス・コードと同様ですが、コードの適用自体も任意である点は異なっています。受入れ表明→ウェブサイトでの項目公表自体も任意ということです。

3.スチュアードシップ・コードとコーポレート・ガバナンス・コード
スチュアードシップ・コードの対象である機関投資家は、コーポレート・ガバナンス・コードにおける「株主」の代表的な類型のひとつ。
コーポレート・ガバナンス・コードのところでも書きましたが、コーポレート・ガバナンス・コードが(上場)企業側、スチュアードシップ・コードが(機関)投資家側と、対の関係になっているのがポイントです。健全な資本市場のためには、企業と投資家の双方が相まって良化する必要があると。

対象行動原則
上場企業コーポレート・ガバナンス・コード
機関投資家スチュアードシップ・コード


金融庁のフォローアップ会議も、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードの両方を一括して対象にする形です。
■金融庁:スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議
https://www.fsa.go.jp/singi/follow-up/





コーポレート・ガバナンス・コード

1.コーポレート・ガバナンスとは
コーポレート・ガバナンス(Corporate Governance)は、企業統治と訳され、社会における企業のあるべき姿や望ましいふるまいのこと。
株主をはじめとする利害関係者(ステークホルダー)との対応や取締役の役割、それらの情報開示等が主な内容になります。

2.コーポレート・ガバナンス・コードとは
コーポレート・ガバナンス・コード(Corporate Governance Code、CGコード)とは、企業統治に関する上場企業の行動原則のこと。企業統治指針。
金融庁の有識者会議が2015年3月5日に原案を公表し、東京証券取引所により6月1日施行。2018年6月には改訂版が公表されました。
コーポレート・ガバナンス・コードでは、コーポレート・ガバナンスを「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」と定義。①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会等の責務、⑤株主との対話という、5項目を定めます。
指針、ガイダンスであり法的拘束力はありませんが、「コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)」として、原則を実施するか又は実施しないならばその理由をコーポレート・ガバナンス報告書で示すことが求められます。

■東京証券取引所:コーポレート・ガバナンス
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/

3.コーポレート・ガバナンス・コードとスチュアードシップ・コード
スチュアードシップ・コード(Stewardship Code)とは、リーマンショック後にその反省を踏まえて英国で導入された機関投資家の行動原則のこと。
金融庁の取りまとめた「責任ある機関投資家」の諸原則は、副題が日本版スチュアードシップ・コードとなっています。
「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)は、2014年9月2日に公表され、2017年5月29日には改訂版が公表されました。

■金融庁:スチュアードシップ・コードに関する有識者検討会
https://www.fsa.go.jp/singi/stewardship/

コーポレート・ガバナンス・コードが(上場)企業側、スチュアードシップ・コードが(機関)投資家側と、対の関係になっているのがポイントです。企業と投資家の双方が相まって、健全な資本市場が育つと。
対象行動原則
上場企業コーポレート・ガバナンス・コード
機関投資家スチュアードシップ・コード






政策保有株式と資本コスト


昨日アップした資本コストに関するエントリで、資本コストの利用例として、東証のコーポレート・ガバナンス・コードにおける①政策保有株式の保有適否の検証と②経営戦略や経営計画の策定・公表の2点を挙げました。

1.政策保有株式とは
政策保有株式とは、(投資目的ではなく)相手先企業との長期的関係維持という経営政策上の必要性から保有する株式のこと。主に株主対策やM&Aからの防衛などを目的とする、いわゆる持合株式ですね。

2.コーポレート・ガバナンス・コードにおける政策保有株式
コーポレート・ガバナンス・コードでは、政策保有株式は基本的に縮減すべきとの方向性を示していますが、それでも保有する場合は「保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し」、①保有の適否を検証、②検証の内容について開示すべき、としています。

3.政策保有株式の精査と資本コスト
このように、例示ではありますが、便益とリスクの資本コストとの具体的な精査が求められています。資本コスト対比で、しかも具体的に、というからには数値による検討と捉えられ、保有による便益やリスクとともに、自社の資本コストがいくらなのか、算定する必要が生じます。
この資本コストについて、コーポレート・ガバナンス・コードでは明示がありませんが、改訂にかかるパブリックコメントでは「株主資本コストやWACC(加重平均資本コスト)」が例示されていました。

[参考]
■大和総研:CGコード改訂を踏まえたCG報告書①政策保有株式に関する記載例(2018.8.22)
https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/securities/20180822_020275.pdf


資本コスト

1.資本コストの定義(狭義)
資本コストとは、企業の資本に関するコストで、株式等の資本への投資家が要求する利益水準のこと。株主資本コスト。
かつては「資本は無コスト」とも言われ、また「資本コストは資本調達の際のコスト」と定義されることが今もあるようですが、これらは古い見解。単に資本の調達時にはより明示的になるだけで、調達後の維持・運用時にも資本コストは生じることに、特に留意が必要です。

2.資本コストの定義(広義)
広義には、負債コストを含めて資本コストと呼ぶことも。→WACC(Weighted Average Cost of Capital、加重平均資本コスト)
資本コスト(広義)資本コスト(狭義)
加重平均資本コスト株主資本コスト
<負債コスト>

論者や状況によっては、この広狭の資本コストの定義が錯綜していて、とても判りにくいことがあります。

ただ、こちらを考察する際にも、負債コストと負債と株主資本の割合は明示的なので、問題となるのは主に(株主)資本コストの方になります。

3.コーポレートガバナンス・コードと資本コスト
東京証券取引所の公表するコーポレートガバナンス・コード(2018.6.1改訂)において、①政策保有株式の保有適否の検証と②経営戦略や経営計画の策定・公表の2点において、自社の資本コストを把握することが前提とされています。
何を資本コストとするかここで明示はされていませんが、パブリックコメントでは「株主資本コストやWACC(加重平均資本コスト)」が例示されていました。

■改訂コーポレートガバナンス・コードの公表(2018.6.1)
https://www.jpx.co.jp/news/1020/20180601.html


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