書店 芳林堂の破綻(3)取次から書店への与信:商社金融

芳林堂の破綻の件、最初のエントリに続き、前エントリでは、取次の破綻に伴う書店の連鎖破綻について理由を推定しました。そのひとつとして挙げたのは、取次が芳林堂に与信していたのではないかということ。今回は、その与信の方法についてです。

与信の方法として、貸付(融資)、出資、リース、債務保証等がすぐ思い浮かびますが、それら以外に、締日・支払日や手形期間等の支払条件を用いた支払の先送り(後払い)による実質的な金融機能があります。これらは、主に商社や卸等の仲介業者により提供され、商社金融などとも呼ばれます。

商社金融に関係する主な支払条件
1. 締日

2. 支払日(支払期間)

3. 手形期間


1の、締日は売買の基準となる日で、その日付までの金額で卸等の請求金額(=売上金額)と小売店の支払金額(=仕入金額)が決まります。個人のクレジットカードでもこの締日は有りますね。締日を後送りすると、小売店側からみると支払義務自体が生じないのでお金を借りているのと同様の効果になります。

2の、支払日は、文字通り小売店が支払する日で、締日からの支払期間等で定めます。「月末締め、翌月末払い」とか。クレジットカードだと決済日です。支払日を後送りすると、小売店側からみて支払が生じないのでこれもお金を借りているのと同様の効果になります。

3ですが、商売における支払方法には一般的に、現金払いと手形払いがあります。現金払いには、文字通り現ナマで払う方法だけでなく、振込や自動振替、小切手も含みます(というかこちらが通常です)。手形払いは、約束手形という有価証券を振り出す等の方法です(為替手形もある)。クレジットカードの決済日に、更にクレジットカードで支払う、みたいなイメージになります。
2で決めた支払日に現金で支払うのではなく、更に手形払いにすることで、小売店側は現金流出を更に先送りできます。これも手形を使っている以上、信用の供与そのものです。

書店の場合、これらに委託販売に伴う返品の精算が絡むため、そこにも調整の余地があったのではないかと推定します。書店(小売店)側からも請求があり、その相殺の額やタイミング等です。
(新刊本の返品率は60~70%とも言われるようで、出版業界の闇そのものです。)
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書店 芳林堂の破綻(2)仕入と与信の停止?

前回のエントリ、書店チェーンの芳林堂の破綻の件は、一般的に商流における典型的な連鎖倒産である売掛金等の回収困難とはちょっと違うだろう、という話でした。今回はその理由を。

本の流通は以下のような商流でした。

出版→取次(太洋社)→書店(芳林堂)→消費者


主要仕入先の取次が破綻した結果、書店も連鎖的に破綻した主な理由として、以下の2つが考えられます。
(あくまで推定です)

1. モノが仕入れられなくなった。

2. 取次から受けていた実質的な金融機能(与信)が受けられなくなった。


1は、卸である取次が破綻したのだから、モノ(本)が仕入れられなくなるのは当然だろう、とも思えますが、通常は他の取次から仕入が出来るはずです。取次も商売なので、新たな販売先を常に探している訳で。
前回エントリで引用した帝国データバンクの情報にも、太洋社は「主力」仕入先とあって、他にも仕入先はあったはずです。ところが、それはできなかった。つまり、芳林堂の信用がすでに極度に低下していて、他の取次は肩代わりしなかったということです。

2は、少しややこしいですが、取次である太洋社が芳林堂に何らかの形で実施的な金融機能を提供、つまり与信をおこなっていたという推測が前提。太洋社の債務整理の開始で、この与信が途絶えたため、芳林堂の資金繰りが破綻した、という見方です。
与信というと、金銭の直接的な貸付(融資)がすぐ思い浮かびますが、それだけではなく、支払期間の繰り延べ等の支払条件を調整する方法もいろいろとあり。書店は基本的に現金販売で、消費者から代金を現金回収するいわゆる日銭商売なので、取次が支払条件を調整してくれるなら、たとえ経営状態が悪化しても、なかなか倒産しづらい業態です。
しかし、取次自身が整理をはじめれば、それも困難になる訳です。

書店 芳林堂の破綻(1)商流と連鎖倒産のパターン

書店チェーンの芳林堂が経営破綻とのこと。

■書籍・雑誌小売「芳林堂書店」「コミックプラザ」を展開
株式会社芳林堂書店 破産手続き開始決定受ける 負債20億7500万円(2016.2.26)
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4143.html


従前から本店の閉店と自社ビルの売却、その他店舗の閉店等のリストラを進めていたようですが、資金繰りは厳しかったようです。

そこへ、

2月5日に主力仕入先である書籍取次の(株)太洋社(東京都千代田区)が自主廃業も想定し、会社の全資産の精査などを進める方針を明らかにしたことで動向が注目されていた。
(上記より引用)

とのこと。

つまり、取次の破綻に伴い、連鎖的に破綻したようです。
これ、一般的な商流からみると少しおかしくて、おそらく書店業界独特のパターンかと。

ビジネスの商流は、一般的に、

メーカー→卸→小売→消費者

となります。
ちなみに、お金の流れ(金流)は、これと逆になります。商製品とお金が交換されるのが商売ですから。
商製品を販売した取引先(販売先)が破綻して売掛金等を回収できなくなり、元々苦しかった資金繰りが行き詰まって自社も破綻するのが、いわゆる連鎖倒産の典型的なパターンです。
つまり、商流とは逆の方向(金流の方向)に連鎖していく訳です。

本の流通だと商流は、

出版→取次(太洋社)→書店(芳林堂)→消費者

なのですが、今回は主力仕入先である取次の破綻にともない(逆ではなく)商流の通りに、書店が連鎖しています。つまり、先のような連鎖倒産の典型的なパターンではないようです。

(少し長くなったので、以降は次回エントリにて)

国内出張の宿泊料の扱い

一般財団法人労務行政研究所のおこなった国内出張における宿泊料(宿泊費)に関するアンケート。

■訪日外国人増加に伴いホテル代高騰
国内出張時の宿泊料に関する緊急アンケート(2016.2.25、PDF)
http://www.rosei.or.jp/research/pdf/000067706.pdf


関西には、今でもたまに行くのですが、本当に宿が取れませんね。特に安宿。

アンケートでは、宿泊料を実費で支払うというのはごく少数です。
宿泊料の分布がずいぶん高い方へ偏ってるなと思ったら、宿泊料だけでなく朝夕食込の1泊2食(いわゆる「泊2」)の価格を含んでいるのですね。このあたりは宿のメインが「旅館」だった時代のなごりなんでしょうか。ずいぶんと古風に感じます。

過去に勤務した企業でも、国内出張における宿泊費の扱いは様々でした。
1. 宿泊費実費(上限なし)+日当
2. 宿泊費実費(上限あり)+日当
3. 宿泊費実費(朝食込み、上限なし)+日当
4. [宿泊費+日当]の定額

日当部分を含めると、趨勢としては、デフレ・不況に伴い徐々に厳しくなっていきました。また、「上限なし」だったパターンでもガイドラインみたいなのはあったので、シティホテルに泊まるのは、なかなか心情的に難しかったです(←気が弱い)。

仮想通貨 取引所は犯罪収益移転防止法の対象で本人確認義務付けへ

昨日の仮想通貨の通貨認定&法規制案の続き。
いつも拝見している、会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)さんのブログで教えて頂いた産経ニュースの記事。

■産経ニュース ビットコインなどの仮想通貨は「財産的価値」 政府が定義 法案を今国会に提出へ(2016.2.24)
http://www.sankei.com/politics/news/160224/plt1602240034-n1.html


仮想通貨の取引所に関しては、登録制のほか、

テロ組織に悪用されるのを防ぐために、取引所を、資金洗浄を取り締まる「犯罪収益移転防止法」の対象に加え、口座開設時に顧客の本人確認義務なども課す。
(上記より引用)

とのこと。

犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法、通称:犯収法)は、テロや組織犯罪のマネロンを防止する目的の法律で、国家公安委員会-警察庁の所管。
第2条(定義)の2項に定める特定事業者に、仮想通貨の取引所が加わるのでしょうか。時節柄、致し方ないのでしょうが、ビジネス的にはなかなか厳しいですね。

[参考]
■犯罪による収益の移転防止に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO022.html

仮想通貨 日本でも通貨の機能を認定へ

2016.2.24付、日本経済新聞の一面より。仮想通貨の法規制案の記事です。

■仮想通貨を「貨幣」認定 金融庁、法改正へ
モノ扱いから決済手段に(2016.2.24)


現時点ではあくまで案(資金決済法の改正案)で、そのスクープ(リーク?)ですが、従来の、法令の定めがなく仮想通貨はあくまで単なる「モノ」としていた当局見解を翻し、ビットコイン等の仮想通貨に貨幣の機能を認めて決済手段や法定通貨(円など)との交換に利用可能とする方向のようです。なお、監督官庁は金融庁となり、取引所は登録制になるとのこと。

仮想通貨が法的に裏付けられるという意味では前向きにとらえるべきでしょうが、同時に金融庁の監督下になるというのがなんとも。

[参考]
■資金決済に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO059.html

マイナンバーが重複 役所の付番ミス

TLに「男性2人のマイナンバーが重複」というのが出てきたので、「いったい、どういったシステムトラブルだろうか?」と思いました。

日経夕刊に詳細があり、システムの問題ではなく、役所の担当者の付番ミスのよう。
住民登録が無いままの方(←なのでマイナンバーもない)の転入手続の際に、役所の担当者がカナ同名、同生年月日の別人の住民票コードを紐付けたために、同じマイナンバーが2人に生成されたということのようです。

名前は漢字では異名のようなので、明らかに担当者のミスでしょうが、住民票が無いまま国内に住み続けてる人がいてなぜか急に転入手続をしたというのも異例なので、少し同情します。

青春18きっぷ北海道新幹線オプション券



JRグループでは3/20から、青春18きっぷ(11,850円/5回分)が発売されています。

青春18きっぷ(2016春)
発売期間:2016.2.20~3.31
利用期間:2016.3.1~4.10


なお、利用期間中である2016.3.26の北海道新幹線の一部開業に伴い、江差線の木古内~五稜郭間が「道南いさりび鉄道」に経営移管されJR在来線区間が変更となることから、利用区間が変更となり、また青春18きっぷ北海道新幹線オプション券による新たな取扱いが始まります。
(2016.3.25までは現行ルールです)

■北海道新幹線開業に伴う「青春18きっぷ」などのおトクなきっぷのお取扱いについて(2016.1.5、PDF)
https://www.jreast.co.jp/press/2015/20160103.pdf


2016.3.26以降は、北海道新幹線の新青森駅~新函館北斗駅間、道南いさりび鉄道となる木古内駅~五稜郭駅は青春18きっぷ(だけ)では乗車できません。

ただ、青春18きっぷと伴に利用できる青春18きっぷ北海道新幹線オプション券(2,300円/1回)が新しく発売され、これにより北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅~木古内駅間、道南いさりび鉄道の木古内駅~五稜郭駅間に乗車が可能になります。

青春18きっぷ北海道新幹線オプション券
発売期間:2016.2.20~3.31
利用期間:2016.3.26~4.10


これにより、青春18きっぷ利用者が(一部だけですが)北海道新幹線に乗車でき、青函トンネルを通って北海道に出入りできる道が残されたことになります。

なお、青春18きっぷは5回分一括(11,850円)の販売ですが、同オプション券(2,300円)は1回分です。つまり、オプション券は青春18きっぷの1回分とほぼ同額なので、けっこう割高なオプションです。
また、道南いさりび鉄道では、始終点の木古内駅、五稜郭駅以外では下車できません。ご注意を。

職人仕事が機械化できない理由はコストと時間

「XXの職人」といったドキュメンタリー、記事が好きで、エンターテインメントとして楽しんでいます。
ただ、よく出てくる台詞、「職人仕事は機械化できない」とか「XXという技は現在の技術では再現できない」等というのは、ほとんど脚色だと思います。

科学技術(←本来、科学と技術は別と思いますが、取りあえずご容赦下さい)は、再現性があることが前提のもの。過去に人の手でおこなわれた技術が、再現できないはずは基本的に無いのです。(似非科学、ブードゥー・サイエンス等を除く)
もちろん、技術が科学的に解明されず、また伝承されずに、途絶えてしまうことは有り得ます。そして、その再現が困難な主な理由は、神業を持つ職人がもういないからではなく、単に必要なコストと時間が捻出できないから。つまり、ビジネスとして成り立たないからです。
機械化も同じで、要するに「機械化する価値も無いからローコストな人間にやらせてる」のが大概の真相です。

もしも、コストと時間が無限に拠出可能ならば、地球の位置でさえも動かすことができます。しかし、現実にはコストも時間もまったく限られており、主にビジネスとして成り立つものごとしか世の中では実現しない、ということです。

北海道新幹線に関してのご注意 札幌は遠いです



北海道新幹線が、2016.3.26に一部開業します。

■HOKKAIDO SHINKANSEN(北海道新幹線スペシャルサイト)JR北海道
http://hokkaido-shinkansen.com/


開業直後の喧騒はご遠慮するものの、「やや鉄」であり、またかつて少しだけ道内に地縁があったこともあり、可及的速やかに(←死語)この北海道新幹線を完乗したい、と考えております。

ただ、北海道を訪れる道外の方に、ちょっとご注意しておきたいことが。
今回、北海道新幹線として開業するのは、新青森駅~新函館北斗駅の間だけ!本州北端の青森から、青函トンネルを通った函館の外れまで。札幌までは、まだまだ全然遠いので、本州から札幌への観光に北海道新幹線を利用するのはかなり困難、ということです。
札幌駅までは、新函館北斗駅から在来線の特急で更に3時間半ほどもかかります。これは東海道・山陽新幹線の東京駅~岡山駅の所要時間に相当。
ちなみに、東京駅から札幌駅の全行程では所要時間は約7時間半。鉄分の多い方は別として、一般のカタギの方々には、とてもお薦めできません。従来通り、空路のご利用をば。

また、新函館北斗駅も実は函館市内にはなく(北斗市)、前日まで渡島大野駅と呼ばれていた函館本線(本線)の駅。函館市街からは20km弱離れており、函館に行くには「はこだてライナー」等の在来線に更に20分弱ほど乗車する必要あり。なので、函館までは全行程約4時間半です。
ご注意を。

車の自動運転が嫌われる理由を推測

車の自動運転等がTVCMで見られるほど、かなり身近な話題になってきました。
「アクセルとブレーキを踏み間違えた」とか、「高速道路で逆走」などという誠にバカバカしい自動車事故報を見聞きするにつれ、自動運転&人間の運転禁止という時代が早く来てほしいなと思っています。

ただ、自動運転を嫌うというか、敵視する方も一部いまして。その理由を、ちょっと勝手に推測してみました。(偏見入ってます)

1. そもそも新しいものが嫌い
自動運転とかに限らず、とにかく新しいものが嫌いな人。自分がこれまでに見聞きした、ごく狭い範囲のものごと以外にあまり興味がなく、昔を懐かしむタイプ。3丁目の夕日的な懐古主義とか。

2. システム、AI等の人工的なものが嫌い
1と重なるところもあるかもしれませんが、新しいというより、特に人工的なものが嫌いな人。自然が何より大切と公言したり、天然XXとかに騙されるタイプ。アーチスト系というか。自動運転にトロッコ問題を持ち出して反対する人とかは、こちらかな。

3. 車を運転する仕事をしている
物流や運転手等の、車を運転する仕事を現にしている人。自動運転が普及すると仕事を失う可能性があるので自己防衛と。ある種のポジショントークですね。

4. 運転や車が好き
運転や車が特に好きな人。それゆえに、自動運転が許せないとか。2と少し重なりますかね。人間の運転禁止を議論すると、特に反対しそうです。

3はある意味仕方ないと思いますし、4も(昔は自分も好きだったので)判ります。しかし、1や2みたいな人が本当にいるとして、世の技術進歩に反対するのは如何かと。心の中で何を信仰しようと自由ですが、他人の邪魔はしないで頂きたいものですね。

ヤング「アイディアの作り方」類推による既存の要素の新しい組合せ

昨日のデボノ博士の「6つの帽子思考法」エントリから創造手法に関連して。

ジェームス・W・ヤング「アイデアの作り方」の非常に有名な一節、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」。この文章を読み直すと、いつもとても安心しますね。つまり「真に新しいアイデアなどこの世に無い」く、「既存の要素をバラして新たに再構築するしかない」ということなので、もしかしたら自分のようなものにも出来るかもしれないと思う訳です。

創造、クリエイティブというと、すぐに「ジョブズが~」どうだと言う方がいますが、そういう6シグマからも外れたような人のケースはエンターテインメントとしてしか、役に立ちません。もっと、地道なものだと。

上記の本ではもうひとつの原理も述べられており、それは、「新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す才能に依存する」と。つまり、アイデア作りの才能は類推だ、ということですかね。

デボノ博士の「6つの帽子思考法」

エドワード・デボノ博士の提唱した創造手法「6ハット」。思考パターンを6つに区分しそれぞれホワイト、グリーン等の色付けした帽子に見立て、帽子を取り換えるように思考パターンを切り替える手法です。

人間の思考パターンには特徴というか、偏向があります。強制的に思考パターンを変えるのがこの手法のメリット。グループ・ワークに際して紹介されることが多いようですが、個人でも有用な手法と思います。6つすべての手法を適用しなければならない訳でもありませんし。

原著「Six Thinking Hats」が、昨年末に「6つの帽子思考法」という書名で新訳され出版されているようです。
(過去に二訳あったが絶版と記憶)

ジェームス・W・ヤングの「アイデアの作り方」ほどではないにしろ、創造手法としては古典的と言ってよい部類の書籍なので、未読の方は一度目を通されるのもよいかと。



債券に付与される権利と条件 CoCo債と転換社債

CoCo債は偶発的転換社債又は強制転換社債とも呼ばれるようですが、いわゆる転換社債とは大きな違いがあります。それは転換のトリガー。

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)には新株予約権(旧転換権)があり、これは社債保有者の権利です。保有者が転換の是非を決める。

他方、CoCo債には転換の権利はなく、代わりに条件が付いていてそれに抵触すると強制的に転換する仕組み。

社債を株式等に「転換する」ギミックは同じですが、その原因が保有者の権利行使か、条件への抵触かの違い。法的には、権利と条件はまったく異なるので、両者を同じ転換社債という区分で説明するのは、少し違和感があります。別の区分の商品と考えるのがよいでしょう。「偶発+転換社債」ではなく、「偶発転換+社債」かと。
(証券ビジネス素人の単なる感想ですが)

転換社債と新株引受権付社債(2)新株予約権付社債

転換社債と新株引受権付社債に関する整理の続き。

2002.4.1商法改正に伴い新株予約権という概念が導入され、大きな変更がありました。
新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利(会社法第2条22号)。転換社債の転換権と新株引受権、ストックオプションの権利がこの新株予約権の概念に吸収。

従来の転換社債と新株引受権付社債(一体型)が、新株予約権付社債というひとつの区分となり、それぞれ、転換社債型新株予約権付社債、新株予約権付社債(狭義)という名称になりました。

転換社債 → 転換社債型新株予約権付社債

新株引受権付社債(一体型) → 新株予約権付社債(狭義)

新株引受権付社債(分離型) → <消滅>


新株引受権付社債(分離型)は商品としては消滅し、普通社債と新株予約権(証券)を単に同時に発行するものと位置付けられました。

ネット上には、商法改正後の新株予約権付社債の情報だけでなく、一部、商法改正前の情報も残って混在しています。また新株予約権も以前の新株引受権と同様にワラント(Warrant)と呼ぶので、ちょっと判りにくいですね。

転換社債と新株引受権付社債(1)商法改正前

先日のCoCo債に関連して、転換社債と新株引受権付社債について少し整理を。

転換社債(Convertible Bond、CB)とは、株式に転換する権利(転換権)の付いた社債。

商品イメージ
転換社債: [社債 + 転換権]


新株引受権付社債(Warrnt Bond、WB、ワラント債)とは、新たな株式を引き受けする権利(新株引受権、ワラント)の付いた社債。ワラントを社債と分離して各々流通できる分離型と一体型があり。

商品イメージ
新株引受権付社債(一体型):[ 社債 + 新株引受権]
新株引受権付社債(分離型): 社債 + 新株引受権


バブルの頃、こういった商品がいろいろと発行、流通されていました。懐かし。

両者とも基本的には社債で、発行会社の会計上は負債に区分。普通社債に株式オプションを付けることで社債の発行条件を有利にする(利回りを下げる)狙いの商品。あと、運用制限で株式を買うことを禁じられている投資家にはめ込んだりしていたかと。

主な違いである転換権と新株引受権も似た権利ですが、転換社債の転換権の方は社債を株式に転換するので新たな資金の払い込みが不要、その代わり社債と転換権は一体のもの。
新株引受権付社債の新株引受権の方は原則として新たな資金払い込みが前提なので、一体型だけでなく、分離型もあり。分離型ではワラントがメインで、社債の方を「ポンカス」と呼んでた記憶。

以上が、2002.4.1の商法改正前の基本的な建付けだったかと。

国税庁のサイトがダウン(2/10)

昨日、たまたま確定申告に関して国税庁のサイトを見ようとしたら、全然アクセスできませんでした。暫く、ダウンしていたようです。
本日みると、「国税庁ホームページの閲覧障害について」というお知らせがアップされていました。理由は書かれていていません。

ネットではアノニマスのDDoS攻撃との噂ですが、本当なら、財務省→金融庁→国税庁と、ちゃんと役所の格に合わせて順次攻撃しているようで、律儀なものですねぇ。

管理人のは細事でしたので、一日くらいどうでもよいのですが、国税庁が一番活躍する時期ですから、お困りの方も多かったのでは。その意味でも、攻撃側もタイミングをよく考えているのかな、と。

また、政府機関であっても攻撃を防げないのですから、もしも企業が狙われた場合は言わずもがなです。

CoCo債(偶発転換社債)

ドイツ銀行の件で話題になっていたので、少し学習を。

CoCo債(Contingent Convertible Bond、偶発転換社債、強制転換社債)とは、株式等への強制転換条項(トリガー条項)の付いた転換社債。

一般的な転換社債では、転換は保有者の権利であり、保有者が権利を行使するかどうか、つまり株式へ転換するかを選択できます。しかし、CoCo債では保有者に転換権はなく、トリガー条項に定めるある条件に抵触すると、偶発的というか、強制的に株式等に転換されるのが特徴。
バーゼル規制への対応のため銀行が優先出資証券等として発行するものは、自己資本比率の基準値からの低下により強制的に株式に転換される条件が付与される。

Contingentとは偶発的な、という意味の形容詞で、コンティンジェンシー・プラン(Contingency Plan、緊急事態対応計画)のContingencyの名詞形ですね。

なお、転換社債(Convertible Bond、CB)とは、株式に転換する権利の付いた社債。ちょっとややこしいですが、本邦の法制では新株予約権付社債の一種に区分され、転換社債型新株予約権付社債とも言います。

Google セキュリティ診断でドライブ容量2G増加

Googleが、セキュリティ診断のキャンペーンをやっています。昨年も同時期にやってた奴ですね。

セキュリティ診断をおこなうと、Google ドライブ容量が2G増加するそうです。
(日本語では特に記載はありませんが。このあたりも、昨年と同様です。)

やってみると、

1. アカウント→セキュリティ診断を「開始」。

2. アカウント復旧情報、端末の接続情報、アカウント権限、2段階認証プロセスの設定をそれぞれ確認して「完了」。


2で異常がある場合、例えば、知らない端末の接続情報がある時などは「削除」したりする必要がありますが、確認だけなら数分もかからず終了します。

多少の実利もありますが、何よりも自身のセキュリティのため、やっておいては如何でしょうか。

宇宙ロケットと弾道ミサイルの構造は同じ

某国の「衛星打ち上げ用宇宙ロケット」の件、マスコミが共通して「事実上の長距離弾道ミサイル」と表現していたのが興味深いです。ネットでいろいろと詳しい解説がなされていますが、宇宙ロケットと長距離弾道ミサイルは、構造的にはほぼ同じものです。
(このあたり、詳しく正確に知りたい方は、ミリタリー関係のサイト等で詳しく説明されていますので、そちらをお薦めします。)

主な違いは、目的とそのために積載するもの。前者は宇宙観測等のため衛星や宇宙船になり、後者は軍事用の弾頭(爆弾)になります。発酵と腐敗の異同と、少し似ているかもしれません。

なお、ミサイルとロケットという用語は位相が違うので、これらを並列して、どちらか?を論ずることは本来は適当ではありません。
といって、それで某国からの脅威が減る訳ではありませんが。

数学が何の役に立つか? 例えば宝くじを買わないために

「数学なんて、社会に出てから何の役にも立たない」などと、言う方がおられます。そういう方が宝くじを買っていたりするから、ちょっと面白い。

管理人は数学があまり出来ませんが、宝くじを買ってはいけない、という程度のことは理解しております。
日本の宝くじは、控除率が約55%。つまり、5割以上を賭博の胴元等が取り、残りを購入者への支払いに充てる仕組み。購入者へ還元されるのは約45%です。
「一等 X億円」などと言われると多く見えますが、要するに上位クラスに大きな金額傾斜を付けて(但し口数は少なく)配分しているだけのこと。購入金額の少なくとも半分以上はドブに捨てている計算になります。

宝くじの仕組みは単純で、購入者にできることはほとんどありません。例えば、購入金額をいつもの10倍にしたところで、期待される当選金額にはほとんど影響しません。
どこで購入するか等は、まったく意味がありません。「X等の当選が出ました!」という売り場のPOPは、単なる偶然か、多くの枚数が売れたことによるものです。

運試し、寺社へのお賽銭程度なら別ですが、騙されて、真剣に、宝くじを買ったりすることのないように。そのためには、少しだけ数学を学習する必要があるのです。

数Ⅰ、数ⅡB、数Ⅲ(←こんな区分だった)の全授業時間を睡眠に充てたりせず数学を学習しておけば、もう少し違ったビジネス人生があったかもしれないと時々思います。(それでもダメだったかもしれませんが)

ASBJが収益認識基準の開発に関して意見募集

先般、日経が取り上げていた、収益認識の基準に関する意見募集が企業会計基準委員会(ASBJ)から、出ています。

■ 「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」の公表(2016.2.4)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/shueki2016/


リリースと本文の2本建て。
現在、日本基準には収益認識に関する包括的な会計基準はありませんので、新たな基準になりますが、リリースには、

IFRS15号「顧客との契約から生じる収益」を踏まええた収益認識に関する包括的な会計基準の開発

とあり、IFRSとのコンバージェンスが前提であることが明確です。

本文「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」は全119ページあり、以下の3章立てになっています。

公表の経緯及び質問事項等

第1部 IFRS第15号に関して予備的に識別している適用上の課題

第2部 IFRS第15号の概要


「公表の経緯及び質問事項等」では、4つの具体的な質問事項を挙げており、それを中心としたコメントを求めています。
(質問は1~6までありますが、1は回答者のスタンス、6はその他なので実質4つ。)

要約すると、
質問2 IFRS15号を出発点とすること自体の是非

質問3 IFRS15号に関する17論点と取引例の適切性

質問4 ASBJの抽出した17論点以外の論点

質問5 IFRS15号の注記の有効性及び適切性
への回答を求めています。

第1部では、「IFRS第15号に関して予備的に識別している適用上の課題」として、17の論点を整理しています。
基本的に「契約の識別」から始まるIFRSの収益認識のフローに沿って論点が挙げられています。ポイント制度、知的財産ライセンス、変動対価など、ややこしかったり、影響の大きそうなのも、いろいろと。
後半には、表示、その他の論点もいくつかあり。

第2部は、「IFRS第15号の概要」で、IFRS15号の内容を30ページ弱にまとめています。

これら第1部、第2部は、日本基準及び日本の実務とIFRSとの差異を、ASBJの観点から整理したものです。ザッと見たところ、取引例のほか、図解等もあって、判りやすいです。これからIFRS15号を学習する方にも、役立つ資料だと思います。

シャープの件 なぜ産業革新機構ではなく鴻海なのか?

シャープの経営再建の件、まだ決定ではないものの、スポンサー候補として台湾企業の鴻海(ホンハイ)精密工業が優位になっているとの報道。7,000億円を超える出資を予定しているそうで、よい方向と思います。

そもそも、なんで産業革新機構という役所が無理やり関わろうとしているのか、よく判りません。
報道ベースですが、産業革新機構の案では、機構の出資額を上回る3,500億円の実質的な債務免除を金融機関に要求しているそうで、実態は私的整理でしょう。出資予定の3,000億円は借入又は社債で調達となりますが政府保証が付され、焦げ付いた場合は我々の税金で負担することになります。なんで、ポンコツな電機会社を、経営能力も持たない役所が税金を元手に国策支援するのか、まったく意味不明です。

鴻海だと技術や知的財産が国外流出する、とか騒ぐ方もおられるようですが、企業の技術や知的財産等は、製品化しその製品が売れて利益を上げられる、又はその見込があってこそ、始めて評価されるものです。シャープの場合、(どちらの案にしても)6,500~7,000億円超もの金融支援が必要でマーケットの望む製品開発がまったく出来ていない、そんな状況にある企業の技術力とか、知財に意味を見出すのは困難。産業革新機構という役所が、それを補えるはずもありません。

オールジャパンとか、日本勢…みたいな情緒的なことを言っても、企業経営においては百害あって一利なし。いや、産業革新機構なら少なくとも3,500億円(金融機関の負担)、そしておそらく再建はできないので追加で3,000億円税金で負担となる訳で、日本企業や日本人にとっても、大きなマイナスです。

万一、鴻海傘下で上手くいけば技術力のある国内の雇用が多少は維持されますし、失敗した場合には台湾企業が減損をくらうだけ。日本人や日本企業には、何も悪いことはないのです。

複数キーワードによる検索:AND検索、OR検索、NOT検索

Google等の検索エンジンで、効果的、効率的に検索するコツとして、複数のキーワードを使用する方法があります。

AND検索、OR検索、NOT検索が代表的なもので、この3つはセットで憶えるのが判りやすい。条件検索の部類で、Googleでは検索オプションの機能になっています。

AND検索は、キーワードXとYについて、「Xであり、Yでもある」ものを検索します。絞り込みですね。
OR検索は、同様に「XまたはYである」ものを検索します。こちらは範囲を広げるイメージです。
NOT検索は、「Xであるが、Yではない」ものを検索します。これも絞り込みの一種。

イメージと具体的な方法を含めて整理すると以下の通り。

AND、OR、NOT検索 160204

なお、Googleの場合、「OR」等と大文字にした方が良いようです。管理人の経験では、小文字だと上手く検索できないケースがありました。

逆線表でスケジューリングする<時間管理のコツ>

<時間管理のコツ シリーズ>
スケジューリングで重要なのは、基本的に、締切の期日から着手日の方へ向けて遡るように作成すること。このような作業の仕方を、逆線表を引くと言います。
プロジェクト・マネジメントの教科書的な説明では、着手日から順に線が引かれているかもしれませんが、実務的にスケジュールを作成する際には逆線表の方が原則的な作成方法です。

組立途中には不整合が生じるかもしれませんが、多くの場合に締切は動かせないので、その手前で調整するしかありません。着手日の前倒し等が可能ならばよいですが、そうでなければ、平行作業、追加人員投入、作業効率化、リスク対策の予備日程カット等々で調整します。
当然、品質やコストに影響することもありますので、バランスを取る必要があります。

リスクにはアップサイド、ダウンサイドの両面あり

昨日の時間管理にリスクを反映するというエントリで、

この場合に限りませんが、リスクはふつうプラス、マイナス両方向ある

と書きました。アップサイド、ダウンサイドと書いた方が、よかったかもしれません。

リスクとは、将来の不確実性のこと。
(リスクと不確実性は違う、という議論があることは承知していますが、一応ここでは上記の定義でご勘弁を。)

一般的には、将来、自己(ビジネスでは自社)が不利になったり、不利益をこうむる可能性のことをリスクと言うことが多いです。
しかし、自己の利益になるか、不利益かは、単に現在のポジション下で生じる将来の結果でしかなく、現時点ではどうなるのか判らない(=不確実)というのが、リスクの本質かと。

為替リスク(通貨間の交換比率に関するリスク)がこの典型ですが、現在の1ドル=120円が、例えば円安(1ドル=130円とか)になると、ドルベースなら増えて、円ベースなら目減りします。円高(1ドル=110円とか)になると、ドルベースなら目減りし、円ベースなら増加。プラス、マイナス、つまりアップサイド、ダウンサイド両面ありますが、不確実なのでどちらもリスクです。

なぜか予想外に上手くいったというのも、リスク顕在化の結果のひとつということです。
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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。

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