包括利益(334/365)

包括利益(Comprehensive Income)とは、公正価値で評価された資産と負債の差額から資本取引を除いたもの。
純資産。クリーン・サープラス関係が成立している場合は、当期純損益に、その他包括利益を加算した金額と一致します。

IFRSでは包括利益を重視しており、損益計算書に変わって、包括利益計算書の作成が求められます。

なお、日本基準でも、包括利益の導入が最終検討段階にあるようです。

■財務会計基準委員会:財務諸表の表示 ディスカッション・ポイント(2009.11.12)
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20091112/20091112_02.pdf
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クリーン・サープラス(333/365)

クリーン・サープラス(Clean Surplus)とは、資本変動と利益が一致していること。つまり、B/Sの帳尻とP/Lの利益の一致であり、極めて当たり前のような気がします。
例えば、IFRSでは財政状態計算書の純資産の増減(除く資本取引)と包括利益計算書の包括利益の増減が一致している状態。

これが一致しないのがダーティ・サープラス(Dirty Surplus)。日本基準では、その他有価証券の評価差額の資本直入処理等により、このダーティ・サープラスになっているようです。従来の収益・費用アプローチを捨てないまま、IFRSの資産・負債アプローチをも取り入れる(コンバージェンスする)という矛盾から来ているんでしょうか。

離脱規定(331/365)

離脱規定とは、IFRSの規定に従うことで、概念フレームワークで定める財務諸表を適切に表示すること(適正表示、Fair Presentation)ができない稀なケースが生じた場合に、IFRSに反する会計処理をおこなうことを定める規定(IAS1号)。
この場合、IFRSから離脱した会計処理とその理由、財務的な影響などを明示することになります。

ちなみに、当然ながら日本基準やUS-GAAPには、このような規定はありません。
これは、英国会社法の真実かつ公正な概観(True and Fair View、TFV)などが底流で、財務諸表は企業の財政状態、経営成績、CFを適正に表示しなければならない、という大原則に基づいているそうです。つまり、もっとも基本的な、企業の実態を表示するという目的に反する限界的な場合には、明記されたルール自体をも捨て去るという、原則主義の具現化のひとつと言えます。

ピュアIFRSとIFRSブランド問題(330/365)

IFRSの基準そのままを、あえて「ピュアIFRS(Pure IFRS)」と呼ぶことがあるようです。これは、つまりピュアではないIFRSが氾濫していることの裏返し。

例えば、EUでは未だにIAS39号ヘッジ会計の一部をカーブアウトしています。そのため、EUで使うIFRSはピュアIFRSではなく、あくまで「EU版IFRS」という訳です。このカーブアウトの論理を拡大していくと、その範囲が拡がり、やがてカーブインとなり、その先はIFRS的な会計基準、つまり「なんちゃってIFRS」になる(と思います)。

日本基準も、IFRSとのコンバージェンスを進めているので、超々拡大解釈すれば、IFRS的な会計基準と言えなくもない。
しかし、これは典型的な、なんちゃってIFRS?で、地銀協の某常務理事のように「本場のEUから、日本基準はIFRSと同等だというお墨付きを得ている」なんて寝言を言える代物じゃないのは、皆様ご存じの通りです。簡便法が多く、抜け道により穴だらけで経営実態を表さない。しかも、コンバージェンスされた日本基準に対応しても、IFRS対応にはならないので、むしろ、状況を更にややこしくしています。

ただ、どこに線引きをするのか、というのは難しくて、これら全体を、IFRSブランド問題と呼んでいます。

エンドースメント(329/365)

エンドースメント(Endorsement)とは、EUにおけるIFRSの承認手続のこと。具体的には、欧州財務報告アドバイザリーグループ(EFRAG)による技術的な助言を受けて、会計規制委員会(ARC)が承認します。

IASBが新しい基準を定めたからといって、それが、すぐに各国で適用される訳では必ずしもありません。IASB自体は民間団体であり、法的な強制力は基本的に持っていないからです。国内法制や慣行(公正なる会計慣行?)などとの関係で、どの時点で何を適用するのか、各国ごとに独自の手続きがある訳です。
これは例えば、バーゼルⅡ(新BIS規制)なども同じで、バーゼル銀行監督委員会での決定は、条約でもなんでもなく、あくまで紳士協定で、適用に際しては国内の法制で具現化することになります。

本邦の場合、IFRSの任意適用では、(いわゆる審議会による)中間報告を受けて、連結財務諸表規則、財務諸表等規則、会社計算規則等を改正し、関係する告示を発出する手続によるようです。
なお、これはあくまで任意適用の場合なので、強制適用にあたって、公正なる会計慣行との関係を含め、どのような建付けとするのか、似非ローヤーとしては興味のあるところです。

<追記>
IFRS9号に関して、エンドースメント延期のニュースが出ていたので追記しておきます。

■日本公認会計士協会:IFRS第9号「金融商品」をめぐる欧州の動向
http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/ifrs/information/europe/ifrs9.html

デュープロセス(328/365)

デュープロセス(Dueprocess)とは、IASBが会計基準(IFRS)を制定(基準化)する際の手続きのこと。討議資料(ディスカッション・ペーパー)、草案の発出やパブリック・コメントの募集、公聴会などを含めた一連の手続きがIASC財団(IASC Foundation)の定款で定められています。

基準化に際しては、基本的に、以下のペーパーが出ることになります。

討議資料(DP)→公開草案(ED)→IFRS


デュープロセスの進行状況(予定)は、IASBのサイトの「Projects」で見ることができます。
■IASB:Projects:the IASB
http://www.iasb.org/Current+Projects/IASB+Projects/

管理人は、英語がまったく読めないので、もっぱらこちらを利用。

■日本公認会計士協会:IFRS:IASBプロジェクト
http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/ifrs/project/

連結先行/連単分離(2)(327/365)

連結先行について、もうひとつ問題なのは、実は「連単分離」ではないのか?という点です。
連単分離とは、連結と単体(個別)は、(今後も)別の会計基準をベースにすること。連結財務諸表へのIFRSの適用という現在の状況では、連結先行も連単分離も同じなんですが、今後、単体(個別)財務諸表をどうするか(IFRSを適用するか)が異なる訳です。

連単分離論の背景には、税務の問題がひとつ大きいのでしょう。当局(財務省主税局)、税法学者、税理士などの関係者の発言などを見ると、税法会計がIFRSに近寄るとは思えないので。

ただ、連単分離だと、企業にとっては、日本基準とIFRSの並存という悪夢が永遠に続く訳で、コスト的には非常に迷惑な話。あと、ASBJなどという、IFRS導入後はほとんど意味の無くなる盲腸的な組織も、ますます焼け太りする可能性が高いし…
でも、なぜか、日本経団連のひとなどは、連単分離を支持するような発言なんですよね。

そもそも、例えば、EUレベルでは、連結財務諸表しか開示を要求していないようです(単体は各国の規制)。
さて、一体、どうなるんでしょうか(笑)

【関連サイト】
■企業会計審議会 第13回企画調整部会議事要旨(2008.10.23)
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/gijiyousi/kikaku/20081023.html

連結先行/連単分離(1)(326/365)

連結先行とは、IFRS導入にあたり、まず連結財務諸表から先行して導入すること。中間報告はこの立場を取っているといわれます。

本邦には、個別財務諸表準拠性原則というのがあり、単体(個別)財務諸表を元に、連結財務諸表を作成してきました。「連結」の意味からいっても、当然だと思います。ところが、今般の連結先行により、単体は日本基準、連結はIFRSにより、それぞれの財務諸表が作成されることになり、この原則が崩れる訳です。

概念的には以下の手順
1.単体(J-GAAP)
2.単体(IFRS)→連結(IFRS)
※ 実作業的には単体(J-GAAP)を組み替えて連結(IFRS)を作成するパターンもあり。


なお、連結先行ではなく、実は連単分離ではないのか、という議論もあります。

別記事業(325/365)

一応、毎日1件アップを目指している経営キーワードですが、年間365件の目標に対し、あと40件ほどになりました。
このところ、金融商品絡みで、ややマニアックでしたが、そろそろネタ切れなので、ここらで少し離れて、IFRS関係の雑事を整理します。

別記事業とは、財務諸表規則の別記に掲げる事業(銀行、信託業等)などのこと。これらの事業(業種)については、財務諸表規則ではなく、それぞれの業法(例えば銀行法)で開示等が定められています。

ここで問題となるのは、IFRSの開示(例えばIFRS7号)と個別の業法との関係です。
この点については、いわゆる中間報告(2009.6.30)では、課題として「別記事業等においては、各所管当局が、それぞれの立場からの対応の必要性の検討を早めに行っておく必要がある。」とし、強制適用時には「財務諸表等規則の別記に掲げる事業(別記事業)については、その公益性や事業の特殊性等から、一定の当局の監督を受けており、規制や当局の監督との関係、財務諸表の作成負担などの観点からの別途の検討も必要である。」としています。
つまり、何も決まっていない訳です。

■我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)(2009.6.30)
http://www.fsa.go.jp/news/20/20090630-4.html

IFRSの無料セミナーを聴講(辛口)

前半は、スリー・シー・コンサルティングの武田雄治先生。テーマは「IFRS適用への準備事項」。概論中心だったので内容的にはアレだが、いくつか私見を述べておられたのが印象的。そう、こういうことを聞きたいんです。
システム対応のところは、日本基準(コンバージェンス)対応とIFRS対応が混在して、ちょっと判りにくかったのではないか。まあ、両方とも必要だということなんでしょうね。

後半は、このセミナーを主催するイージフの野口由美子さん。IFRSの「調査計画フェーズの実務」だそうだが、プロジェクト管理の基礎の基礎(つまり「常識以前」みたいなこと)を延々話されても、ちょっと困るかな。ウエイト付けもなく平板で、また具体的な裏話がある訳でもなく…。聞いていて、苦痛を感じた。
しかも、発声の基本ができてないようで、話が異常に聞き取りにくい。語尾が不明瞭な講師はたまにいるが、語頭から不明瞭というのは致命的だろう。IFRSうんぬんの前に、まずは「話し方教室」に通うことをお薦め。

いや、「自分はどうか」といろいろ考えてしまったので、反面教師として意味があったのかもしれないです。

■スリー・シー・コンサルティング
http://www.3cc.co.jp/
※ IFRS関係のコンテンツがあり、会員登録(無料)するとメルマガも読めるようです。

■イージフ
http://aegif.jp/

公正なる会計慣行セミナー(山口利昭先生)を聴講

今週は、セミナーを2本、聴講。そのひとつ目。

日本証券アナリスト協会が主催する「ますます重要性を増す「公正なる会計慣行」の理解」。
内容をあまりよく理解せずに申し込んだのですが、会計制度監視機構が2009.7.7に公開した「「公正なる会計慣行」とは何か 報告書」をベースにした講演でした。

■一般社団法人会計制度監視機構
http://www.aob-jimu.jp/
※ 大仰な名称ですが、単なる民間団体です。

内容的には、IFRSを本邦で強制適用した場合に「IFRSに沿った処理をしたからといって公正なる会計慣行に合致するとは限らない」(趣旨)というあたりが、ちょっとよく理解できなかった。
ASBJ製だと良くて、IASB製だと、なぜダメなのか。会計基準の適用されている「範囲」と日本法のズレの問題なんだろうか?例えば、日本以外の世界の国がすべてIFRSを適用しても、本邦の「公正なる会計慣行」とは必ずしも言えないということか。(頭がグルグルしてきた)

講師は、弁護士の山口利昭先生(山口利昭法律事務所代表)。最後に、ご本人がブログの紹介をされ、やっと「アレっ?!」と。なんだ、よく拝見するブログ「ビジネス法務の部屋」の山口先生か。(←気づくの遅っ!)急に、親近感が湧く。これもネットのプラス面なんでしょうな。
珍しく質疑が活発で、予定時間を過ぎても退席者がごく少なかったのも印象的でした。

■ビジネス法務の部屋
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/

ヘッジ会計(324/365)

ヘッジ会計(Hedge Accounting)とは、ヘッジ対象とヘッジ手段との間の損益認識のタイミングのズレを調整する会計のこと。
つまり、原資産(ヘッジ対象)に対してヘッジ効果(相殺)を期待して、デリバティブなどのヘッジ手段で取引するのですが、これらを期間損益で扱う際に期ズレが発生して上手く相殺できない場合に先送りして調整する訳です。

現在のIFRS(IAS39号)では、以下の3つのタイプのヘッジ会計が認められています。

1.公正価値ヘッジ
2.キャッシュフロー・ヘッジ
3.在外営業活動体への純投資ヘッジ

ヘッジ会計は適用要件が厳格で、いわゆる金融実務でヘッジと認識しているものがすべて妥当する訳ではありません。ヘッジ取引は恣意性が高いうえに、本当にヘッジ効果があるか、また本来意図とは別の効果(他のリスク)を生じさせないか等も不明確な場合があるので、先送りに馴染まない性格があるためと思われます。

例えば、IASBのトウィーディー議長は、10月14日の日本での講演で「ヘッジ会計は損益の先送りであり、ヘッジ会計の適用範囲はできる限り狭めるのが適当と考えている」という趣旨の発言をしていました。

なお、ヘッジ会計は、IAS39号改定のフェーズ3として検討中であり、2010年1Qに公開草案が出される予定です。
公正価値ヘッジは、IFRS9号(IAS39号の部分的置き換え)の公正価値オプションで吸収される見込みのようです。

減損(323/365)

減損(Impairment)とは、資産の収益性が低下し、当初の投資回収が見込めなくなった場合に、現在価格をB/Sに表示し、差額を償却(減価)する処理のこと。

当初価格>現在価格→差額を償却(P/L)
現在価格を簿価に(B/S)

主に固定資産に適用される概念ですが、IFRSでは金融商品についても減損を想定します。基本的に、公正価値で測定する場合には減損の適用はないため、償却原価が対象となります。

具体的には、以下の場合に金融商品の減損を認識します。

1.減損の客観的証拠がある
2.損失事象が将来CFに影響し見積りが可能


なお、金融商品の減損は、IAS39号改定のフェーズ2として検討中であり、直近の2009.11.4に公開草案が出されています。プロシクリカリティ(Pro-cyclicality)などに絡み、期待損失アプローチの導入の是非が、大きな論点となっているようです。
リスク・マネジメントや管理会計の世界では当たり前のことで、それが今の時点で議論になっていること自体に、財務会計の限界を感じます。

組込デリバティブ(2)(322/365)

前のエントリで、組込デリバティブの独立性判定や分離処理について「IAS39号の改定(IFRS9号)により、主契約が金融商品である組込デリバティブについては、この手続を廃止」と書きました。

これは、金融資産の分類に関する手続変更と平仄を取ったものです。IFRS9号の金融資産の分類は、公正価値で評価するものと償却資産で評価するものという2つに、簡素化されています。これに合わせて、組込デリバティブも、全体として償却原価の要件を充足するか判定することになります。

なお、現時点では、対象を主契約が金融商品に限定していますが、今後のIFRS9号(IAS39号)の適用範囲の見直しによっては、主契約が金融商品以外の場合にも拡大するよう検討しているようです。

組込デリバティブ(1)(321/365)

組込デリバティブ(Embedded Derivatives)とは、デリバティブ以外の主契約を含んだ複合的な金融商品(複合金融商品、Hybrid Financial Asset)を構成するデリバティブのこと。
反語は、独立したデリバティブ(Freestanding Derivatives)。

従来の、IFRS(IAS39号)では、デリバティブについて、まず独立性を判定します。更に組込デリバティブについて要件を設けて、その一部は、独立したデリバティブと同様に分離処理するとしていました。

1.複合金融商品の独立性判定
2.組込デリバティブの分離要件判定
3.分離処理又は一体処理

なお、IAS39号の改定(IFRS9号)により、主契約が金融商品である組込デリバティブについては、この手続を廃止しています。

認識の中止(320/365)

認識の中止(Derecognition)とは、金融商品等について会計上の認識を中止することです。簿外化。
典型的には、債権の回収による認識中止などがありますが、問題となるのは、主に譲渡・売却のケースであり、証券化、流動化などに関連して発生する論点です。

認識の中止に関して、IFRSではリスク・経済価値アプローチと支配基準という、主従2段構えの建付けとしています。つまり、まずリスク・経済価値が本当に移転・切断されているのかを判断して、更に、支配基準でも問題ない場合に、認識の中止を認めています。支配のみを保持している場合は、継続的関与の範囲で認識を継続します。

本邦の会計基準では、認識の中止に関する法的要件が重視されます(財務構成要素アプローチ)。一見、明確な基準のようで、要は形式が整えばよいという、かなり尻抜けな状態にある訳です。

この規定は、そのような回避行為(Accounting Arbitrage)を簡単に容認しないことを意図した、原則主義の端的な例のひとつであると思われます。日本基準により証券化などを実施した金融商品の一部が、IFRSにおいては認識の中止として認容されないのではないかと危惧されています。

なお、認識の中止については、2009.3.31に公開草案が出ており、現在、再検討中です。2010年下期には基準化される予定です。

金融資産の再分類(319/365)

金融資産の再分類(Reclassification of Financial Assets)とは、当初認識時におこなった金融資産の分類を変更すること。
再分類を広く認容することは、恣意的な会計操作を許し、粉飾を助長すると考えられます。そのため、IFRSでは金融資産の再分類は、従来は非常に限定していました。

ただ、2008年10月のIAS39号の改定では、この金融資産の再分類について、以下のように許容範囲を拡大しました。

1.従来禁止されていた、損益を通じて公正価値で測定からの再分類(稀な状況下のみ)。
2.貸付金および債権に該当するであろう金融資産を損益を通じて公正価値で測定に分類していた場合、保有意思及び能力を条件として、貸付金及び債権への再分類。


これらは、金融危機に伴い、主として欧州の金融機関や当局の要求になびいた恣意的な措置と言われています。デュー・プロセスを経ずに、このような改定をおこなったことは、IASBの独立性に関して深刻な疑念を呼び起こしました。

なお、IAS39号の改定に伴い金融資産の分類は公正価値と償却原価という測定方法に則した2区分になります。両区分間における金融資産の再分類は、ビジネスモデルの変化による場合(強制)を除き、禁止されます。

<追記>
IAS39号改定の1フェーズ目である「金融商品:分類と測定」が終了し、IFRS9号が公表されたとのこと。(2009.11.12)
IASB completes first phase of financial instruments accounting reform

今回、置き換えの対象となったのは「金融資産」の部分。減損(2フェーズ)、ヘッジ会計(3フェーズ)に加え、金融負債に関する規定も2010年まで継続審議の予定。

新し目のIFRS本、お薦め3題

近頃発刊されたIFRS本のなかで、お薦めの3冊をご紹介。

1.「テキスト 国際会計基準」桜井久勝ほか 白桃書房 2009.10

B4版形300頁ほどで、IFRS全体を網羅しています。管理人のようなIFRS初学者には最適。

テキスト 国際会計基準テキスト 国際会計基準
(2009/10)
桜井 久勝

商品詳細を見る



2.「国際会計の実務 金融商品・保険契約」 アーンスト・アンド・ヤングLLP/新日本有限責任監査法人:監 レクシスネクシス・ジャパン/雄松堂出版 2009.11

IFRSでも、特に金融商品等に特化した1冊。(他の部分も分冊あり)内容は詳細にわたり、US-GAAPとの対比なども記述されています。
数百頁の大部、14,700円と高額なので、個人では手が出にくいかも。
amazonでは、なぜか旧版しかアップされていませんが、都内大手書店では取扱い中です。

■雄松堂出版:国際会計の実務 金融商品・保険契約
http://www.yushodo.co.jp/press/ln_gaap/2009ed/index.html


3.「国際会計基準が変える企業経営」 五十嵐則夫 日本経済新聞出版社 2009.10.20

数あるIFRS本とは、まったく違う造りなのが、個人的には気に入りました。。
誤植がかなり多い(特に図表部分がヒドい)のが、難です。あと、後半はちょっと、冗長かも。

国際会計基準が変える企業経営国際会計基準が変える企業経営
(2009/10/20)
五十嵐 則夫

商品詳細を見る

償却原価(318/365)

償却原価(Amortized Cost)とは、金融商品の測定方法のひとつで、償却原価法に基づいて測定(評価)された金額です。

償却原価法とは、額面(償還額)と当初認識時の価格との差額を、償却(戻入)していく方法です。具体的には、当初認識時に測定された金額から回収済みの元本相当額を控除し、当初金額と満期金額との差額について償却累計額を加減し、減損・回収不能額を控除したもの。

償却原価=当初価格-回収済元本相当額+償却累計額-減損・回収不能額


IFRS(IAS39号)では、公正価値で測定するもの以外は、この償却原価扱いとなり、実効金利法(利息法)に基づく償却原価法による測定が求められます。

ちなみに、本邦の金融商品会計も利息法を原則としていますが、実務上は(IFRSで認められない)定額法が多く利用されているようです。

公正価値(317/365)

公正価値(Fair Value)とは、市場取引の参加者間等における通常の取引で、資産の交換又は負債の決済をおこなう金額のこと(IAS39号)。
いわゆる時価のことであり、IFRSでは、会計上の測定は公正価値によるのが原則です。

市場価格は公正価値の典型例ですが、市場における取引でも強制的な清算時等の価格は非該当であり、また、市場価格がない場合でも公正価値は成立しうる点がポイントです。つまり、

公正価値≠市場価格

公正価値、時価という話になると、訳の判らないことを言い出して反対する亀井静香的なヒトが、たまにいますが、まったくピント外れです。資産を取得原価で隠蔽しておき、益出しで経営の失態を誤魔化そうとすることが、どうして日本的な営みなんだ!(と、つい興奮してしまう。失礼しました。)

なお、公正価値ガイダンスについては、現在、公開草案が出ており、2010年1Qには基準化(IFRS)される予定です。

公正価値オプション(316/365)

公正価値オプション(Fair Value Option)とは、金融商品(金融資産、金融負債)の当初認識時において、損益を通じて公正価値で測定することを選択するものです。
この公正価値オプションの選択は、「オプション」の名の通り企業側の任意(一定の要件あり)ですが、当初認識時のみに指定可能であり、また取消不能です。つまり、適用のタイミングは当初の1回のみで、事後的な取消ができないので、そのつもりで意思決定する必要があります。

公正価値オプションの適用要件は、以下のいずれかの場合です。

1.会計上のミスマッチを消去又は大幅に削減できる。
2.文書化された戦略のもと、公正価値に基づく業績評価や管理がなされ、経営に報告されている。
3.組込デリバティブによるCF変換が重要で、組込デリバティブの区分処理が認容され得る。


公正価値オプションにより、要件が厳格で適用の難しいヘッジ会計を使うことなく、測定・認識上の不整合を削減することが期待されているようです。

なお、現在進行中のIAS39号改定でも、公正価値オプションは維持される見込み。(2及び3のパターンは廃止の予定)

ちなみに、日本基準には、公正価値オプションに相当する概念はありません。

持分金融商品(315/365)

持分金融商品(Equity Instrument)とは、資本に相当するもので、IFRS(IAS39号)では原則として公正価値で測定します。
但し、活発な市場における価格形成がなく、公正価値を信頼性をもって測定できない場合には、取得原価で測定しなければならない、という特例があります。

1.持分金融商品(原則)→公正価値
2.持分金融商品(特例:信頼性ある公正価値で測定できない場合)→取得原価

なお、IAS39号の公開草案ではこの規定は削除され、廃止される見込みです。つまり、持分金融商品は、すべて公正価値で測定されることになります。(但し、何をもって公正価値とするかについては別途検討され、ガイダンスが出る模様)

金融負債の分類(314/365)

IFRS(IAS39号)では、金融負債(Financial Liability)は、以下のように分類(区分)されます。
1.損益を通じて公正価値で測定する金融負債
2.その他の金融負債

文字通り、測定において公正価値を用いるのが、1.損益を通じて公正価値で測定で、2.その他の金融負債には、償却原価を適用します。

1.損益を通じて公正価値で測定する金融負債→公正価値
2.その他の金融負債→償却原価

損益を通じて公正価値で測定には、金融資産と同様に、公正価値オプションが含まれます。

なお、金融負債を公正価値で評価すると、企業自身の信用リスクの扱いが問題となる場合があります。IAS39号の改定案でも論点だったのですが、なぜか、金融負債はフェーズ1の対象外とすることになったようです。当面、現行の扱いが継続される見込みです。

金融資産の分類(2)(313/365)

IFRSのIAS39号の公開草案では、金融資産は以下の2つに分類(区分)されます。

1.公正価値で測定するもの
2.償却原価で測定するもの

つまり、測定方法に合わせた2区分となり、大幅に簡略化されます。
従前の、1.損益を通じて公正価値で測定、2.満期保有投資、3.貸付金及び債権、4.売却可能金融資産という、極めて判りにくい分類は廃止される予定です(2009年4Qに基準化の予定)。

テインティング・ルール(312/365)

テインティング・ルール(Tainting Rule)とは、会計上の規定に抵触した場合に発動するペナルティ規定のこと。

例えば、IFRS(IAS39号)では、当期又は過去2事業年度中に、満期前の満期保有投資(僅少といえない金額の売却又は振替をした場合、すべての金融資産を満期保有投資として保有することを禁じています。これは、典型的なテインティング・ルールの適用です。ただ、IAS39号の改定に伴い、満期保有投資の区分自体がなくなるため、このルールも廃止される予定です。

売却可能金融資産(311/365)

売却可能金融資産(Available-for-sale Financial Assets)とは、IFRS(IAS39号)における金融資産の分類のひとつで、非デリバティブ資産で、他の3つの分類(損益を通じて公正価値で測定、満期保有投資、貸付金及び債権)のいずれにも該当しないもの。

損益を通じて公正価値で測定と同様に公正価値で測定しますが、損益には計上せず、その他包括損益に表示する点が異なります。

貸付金及び債権(310/365)

貸付金及び債権(Loans and Recevables)とは、IFRS(IAS39号)における金融資産の分類のひとつで、支払額が固定又は決定可能な非デリバティブ金融資産で、活発な市場での価格形成がなされていないもの。
償却原価で測定します。

満期保有投資(309/365)

満期保有投資(Held-to-maturity investments)とは、IFRS(IAS39号)における金融資産の分類のひとつで、固定の支払金額と満期を有する非デリバティブ金融資産で、満期まで保有する意思と能力があるもの。償却原価で測定します。

なお、この満期保有投資には、いわゆるテインティング・ルールが適用され、僅少ではない額を満期前に売却又は振替すると、この分類の使用自体が禁止されます。

損益を通じて公正価値で測定(308/365)

損益を通じて公正価値で測定(Fair Value Through Profit or Loss)とは、IFRS(IAS39号)における金融商品(金融資産、金融負債)の分類のひとつで、公正価値で測定し、文字通り(純)損益に反映するものです。
トレーディング目的の金融商品、デリバティブに加え、公正価値オプションを適用する金融商品が該当します。

金融資産の分類(1)(307/365)

現行のIFRS(IAS39号)では、金融資産は以下の4つに分類(区分)されます。

1.損益を通じて公正価値で測定(Fair Value Through Profit or Loss)
2.満期保有投資(Held-to-maturity Investments)
3.貸付金及び債権(Loans and Receivables)
4.売却可能金融資産(Available-for-sale Financial Assets)

資産額の測定方法として、公正価値を用いるのが、1.損益を通じて公正価値で測定と4.売却可能金融資産、償却原価を使うのが、2.満期保有投資、3.貸付金及び債権です。

4つの分類は各々の定義が細かく定められ、かつそれらに相互関係があり、非常に判りにくい状態となっています。フローや関係図を描こうとしても、なかなか上手く描けません。ただ、測定においては、結局、公正価値と償却原価の2方法に区分されるので、資産の4つの分類自体に意義は少ないかと。

IASBのデイビット議長によると、これらの多くはUS-GAAPとのコンバージェンスに際して、米国の基準をそのまま取り入れたことによる弊害とのこと。そのため、現在、IAS39号の改定(簡素化)を図っているということです。
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Author:xz400
「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。

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