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まぐれ

『まぐれ』 ナシーム・ニコラス・タレブ ダイヤモンド社 2008.1.31刊

数理系トレーダーで、不確実性の研究者である著者が、金融だけでなく、広く不確実性について論じています。

[目次]
プロローグ 雲に浮かんだモスク
第1部 ソロンの戒め
第1章 そんなに金持ちなら頭が悪いのはどうしてだ?
第2章 奇妙な会計方法
第3章 歴史を数学的に考える
第4章 たまたま、ナンセンス、理系のインテリ
第5章 不適者生存の法則
第6章 歪みと非対称性
第7章 機能の問題
第2部 タイプの前に座ったサル
第8章 あるいはとなりの億万長者でいっぱいの世界
第9章 卵を焼くより売り買いするほうが簡単
第10章 敗者総取りの法則-日常の非線形性
第11章 偶然と脳-確率をわかるのに不自由
第3部 耳には蝋を
第12章 ギャンブラーのゲンかつぎと箱の中のハト
第13章 カルネアデス、ローマへきたる-確率論と懐疑主義
第14章 バッカスがアントニウスを見捨てる
エピローグ ソロンの言うとおり

いま2月中旬なので、明らかに早すぎますが、「今年のベスト」に推したい一冊です。
世の事象をランダム性を切り口に論じており、管理人的には腑に落ちるものばかり。例えば、「私たちは成功すればそれは自分の能力のおかげ、失敗すればそれは運が悪かっただけだと考える」(p294)。決算説明で、この類の経営者をよく見ました。利益が出ている場合は自分のとった経営施策をいろいろ言うが、赤字の場合は日本や世界の経済や業界問題の話をする輩です。
主に槍玉に挙げられているのは、他のトレーダー、マスコミ、文系MBA、医者、リスク・マネジャー、そしてコンサルタントなど(笑)金融では、LTCM絡みで、マートン、ショールズもバッサリ。特に、その結果よりも「吹き飛んだ」後の言い訳に対して、「自分の喋っている対象についてまったく理解しておらず、かつ、それは宇宙の歴史を何度もやりなおせば歴史数回当たり一回を超える頻度で起きる事象である」と切っています。対して、ランダム性の小さい代表として、「歯医者」がなんども出てくるのが可笑しい(個人的には、歯医者の技量のボラティリティは極めて大きいと思っています)。

話が無闇に広がり過ぎたり、いろいろな文化や学問の話が脈絡なく出てきて、辟易するところもありますが、内容自体はそれほど難しい訳ではありません。モンテカルロ法のイメージが掴めれば、著者のいうランダム性の枠組みは容易に理解できるでしよう。ですが、おそらく自己の感覚と一致しない議論が展開されるため、315p(本体)を読み切ることが難しい、というタイプの本です。
投資やリスクマネジメント、経営管理などに関与されている方々はもちろんですが、この不確実性の考えは日常生活にも広く役立つ(?)と思われますので、皆様に広くお薦めします。

[私的INDEX]
黒い白鳥、バイアス、ランダム性、プロップ、モンテカルロ法、エルゴード性、反証主義、経路依存性

お薦め印:★★★★★(反証主義の先は?)

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのかまぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
(2008/02/01)
ナシーム・ニコラス・タレブ

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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。