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ASBJがすべてのリースを資産計上する会計基準開発に着手すると公表

先日、マスコミ報道ベースで、リースの資産計上(オンバランス)扱いに関するエントリを上げましたが、企業会計基準委員会(ASBJ)から以下のリリースが出ています。

■「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂(2019.3.25、PDF)
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20190325.pdf


文中のリースに関する会計基準のところ、「すべてのリースについて資産及び負債を認識するリースに関する会計基準の開発に着手することを決定」とあり、やっとここまで来たのだなあと、ちょっとジーンとしてしまった情緒的な自分。
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すべてのリースが資産計上(オンバランス)扱いに

日本経済新聞によると、企業会計基準委員会(ASBJ)が、リース会計基準を改定しすべてのリースを資産計上(オンバランス化)する方針を決定したとのこと。

■全リースの資産計上、2~3年後めどに適用 ASBJ(2019.3.22)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42785150S9A320C1EA4000/


このブログでは、日本基準ではオフバランス扱いであるオペレーティングリースを含むすべてのリースをオンバランス化すべきと主張しておりましたが、やっと。IFRSを強く支持した理由のひとつも、このリースのオンバランス化でした。(逆に、本邦でIFRSのアドプションが阻まれた理由のひとつもリース基準であった、と言われます。)

現時のリースは、経済実体的に借入+設備等購入と差異がほぼ無いにも関わらず、オフバランス化が許容される、異常な事態が続いておりました。設備投資におけるリースの比重の大きい企業の場合は、財務分析に際してリース分の修正を余儀なくされていました。
ちなみに、IFRS及び米国会計基準では、すでに新リース基準によるオンバランス化の適用が始まっています。

収益認識の総額/純額と商社の売上高

1.収益認識の総額/純額の論点
少し前の、日本経済新聞の連載記事で、とても気になることがありました。

■変わる会計 ルール共通化の波紋3 収益 取引実態で増減(2018.10.24)


IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益、そしてそれに準じて制定された収益認識に関する会計基準に関する記事で、特に後段の「商社は突然倍増」のところ。収益認識の総額/純額(本人/代理人)という論点についてです。

2.商社の売上高は減少する?(以前のエントリ)
IFRSの収益認識について、以前に以下の記事をアップしていました。

■IFRSの落とし穴(4)本人当事者と代理人(2010.5.21)
http://mf2007.blog108.fc2.com/blog-entry-833.html

記事は2010.5.21アップで当時のIAS第18号 収益(IFRS第15号の前身)に関するものですが、この収益認識の総額/純額(本人/代理人)という論点自体は改定後のIFRS第15号 顧客との契約から生じる収益でも変わっていません。

このエントリでは、

商社、百貨店(消化仕入れ)、旅行代理店など、これまで総額で収益を計上していた企業では、売上高が大幅に減少することになります。

と、書いています。

3.商社の売上高はどうなった
ところが、先の日経記事では、

大手商社はIFRSの新基準で売上高が突然倍増した
(上記記事より引用)

とあり、三菱商事が2.2倍、伊藤忠商事が2.1倍(いずれも2018年4~6期)と書いています。商社の売上高は、(先の管理人のエントリとは逆に)大幅に増大したということです…。

なぜ、こんなことになってしまったのか。

これまで総額で収益を計上していた企業では、売上高が大幅に減少する

という後段の、ロジックが間違っていた訳ではないのですが、

商社、百貨店(消化仕入れ)、旅行代理店など、これまで総額で収益を計上していた企業

という前段の、事実認識のところが圧倒的に間違っていたようです。
商社では、総額→純額よりも、純額→総額の影響の方が実はずっと大きかったと。

具体的には、収益認識に関する会計基準の適用指針における42項に本人/代理人の判定についての定めの、同2号の支配力基準が適用されて、代理人として手数料分を純額計上していたのを総額として売上計上することになった模様。

一応、言い訳しておくと、この本人/代理人の論点については、会計界隈やマスコミでも「IFRSを導入・適用すると売上高が大幅に減少してしまう!」という論調が圧倒的で、「売上高が倍増する」などまったく思わず。(増えるのなら心配しないか…)

いや本当に、ただの言い訳です。申し訳ございません。





収益認識会計基準(公開草案)の学習(0):はじめに

企業会計基準委員会(ASBJ)の公表している企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識ED」と略)については、公表時に記事を書き、ASBJの方が講師の勉強会に参加しました。

IFRS15号(Revenue from Contracts with Customers、顧客との契約から生じる収益)は、当時は公開草案でしたが仕事で学習&分析した経緯があり、その復習を兼ねて、収益認識EDも少しキチンと学習するかということで、その成果を徐々にこちらに上げていこうかと。

なお、他の話題と入り混じりながら時々のエントリとなり、かつ遅々として進まず、という状況に至ることも容易に想像できるため、生暖かい目で見守って頂けると幸いです。
出来る限り記事間をリンクして読み易いように努め、テーマとしてまとまるようであれば、編集してまとめ記事にするようなことも考えます。まずは、そのための素材を細々と。

経理の詳細な実務等は(まったく得手ではないので)本職の会計士や会計実務家にお任せし、業務や業務を管理するシステム、経営情報等との兼ね合いなどを念頭に置いた判り易い記述にしたいと考えております。
よろしくお願いします。



日経「国際会計基準IPO企業に拡大」

2017.9.22日本経済新聞の投資情報面の記事。「国際会計基準IPO企業に拡大」、副題は「海外マネー調達も期待 M&Aの「のれん」突然の損失リスクも」。

企業側と投資家側の両方の視点で脈絡なく記事が書かれているので、ちょっと判りにくい記事ですね。

IFRSが新規株式公開企業にも広まり始め、その理由を投資家やファンドなど海外マネー取り込み狙いや海外子会社の会計処理容易化と、企業側視点から説明。

他方、「損失リスク」云々のところは投資家側の視点で、日本基準と異なりIFRSでは、のれんを定期償却せず減損が突然表面化する(こともある)のをリスクと言っている模様。
日本基準でものれん償却は20年以内なので、超長期で非償却とあまり変わらないことも有り得るし、東芝のような巨額の減損もあり。IFRS特有のリスクと言うべきなのかは、疑問ありです。




会計勉強会「「収益認識に関する会計基準(案)」について」

先日、日本証券アナリスト協会が主催する会計勉強会「企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」について」を聴講しましたのでメモを。

2017.7.20に公開された「収益認識に関する会計基準(案)」(収益認識ED)に関する説明。
講師は企業会計基準委員会(ASBJ)の小賀坂敦副委員長で、川西晶博ディレクターも陪席。とても明快な話しぶりで、非常に判りやすかったです。

資料はこれまでの講演で使用したものと同一の由。ただ、内容は対象に合わせて(細かい経理手続等ではなく)企業の収益を左右するところを中心にしたとのことでした。

基本的な建付け
まずポイントは、IFRS15号の定めを基本的にすべて取り入れていること。
その上で、適用上の課題に対応するため、国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で代替的な取扱いを追加的に定めた(適用指針案91~102項)。
つまり基本的にIFRS15号ベースで、一部の現行会計処理方法を追加的に容認している。
なお、EDには注記事項に関する記述がゴッソリ抜けているが、これは強制適用時までに補完の予定。(他に契約コストも削除)

収益認識EDとIFRS15号 170918

その他
-連結財務諸表及び個別財務諸表の両方が対象。(IFRSとは異なる)
-2019.3末決算から早期適用可能。2022.3末決算から強制適用。
-「顧客への支配の移転」で収益を認識。
-あくまで収益に関する基準、取引相手の会計処理は別。
-本人/代理人の判定。百貨店等の消化仕入は売上大幅減。
-自社ポイントの付与は引当金処理から履行義務として識別へ。
-出荷基準、引渡基準(着荷基準)も代替的に容認。(←この点は大きな問題)
-割賦基準は認めない。
-返品権付販売は返品調整引当金処理から売上控除し返金負債計上へ。

なお、出荷基準等を代替的取扱いで容認したことは大きな問題。出荷基準は不正取引の温床であり、撲滅すべきと考えます。

収益認識については、仕事でIFRS15号(ED)は学習しましたが、それっきりでした。すっかりサビついているので、IFRSの復習がてら、今後は収益認識EDの学習を少ししてみる予定。



野村證券 野村嘉浩氏「日本の会計・開示・監査制度を取り巻く環境変化」

証券アナリストジャーナル2017.8号(VOL.55 №8)に、野村證券エクイティ・リサーチ部野村嘉浩氏の「日本の会計・開示・監査制度を取り巻く環境変化」という論考が掲載されています。
副題は「時価総額2兆円超の企業はIFRS適用を」。

1. はじめに
2. 日本企業のIFRS適用状況
3. IFRSの開発状況
4. 日本会計基準の開発状況
5. 開示制度の改革
6. 監査基準の改革
7. 終わりに

(上記より)


以前に、野村氏のIFRSに関する講演を拝聴したことがあります。
数年前から年1回、同種・類似のテーマでほぼ定期的に寄稿されているようです。

会計、開示、監査に関する現時の動向がコンパクトに整理されていますので、ご興味のある方はご一読を。
特にIFRSについては、前半(1~3)に多くの記述が割かれています。





IASB DP「開示に関する取組み-開示原則の概要」聴講

会計勉強会「IASB ディスカッション・ペーパー「開示に関する取組み-開示原則の概要」」に参加してまいりましたのでメモを。

講師は、企業会計基準委員会(ASBJ)の常勤委員川西安喜氏、専門研究員小西健太郎氏。IASBが3月末に出した、以下の開示に関するディスカッション・ペーパー(開示原則DP)に関するものです。

■IASBが財務諸表における開示を改善するためのステップの概要を示す(2017.3.30)
https://www.asb.or.jp/jp/ifrs/press_release/y2017/2017-0330.html


ご承知のように、IFRSは原則として、DP→ED(公開草案)→基準という開発手続を踏みますので、DPは最初の叩き台ですね。
開示原則DPは、日本語訳で110ページほどと、なかなかのボリューム。
講演は80分ほどで、総論として開示の問題点とプロジェクトの目的。そして、各テーマごとの現状、論点、アプローチ(改善案)が簡潔に解説されました。
なお、開示といっても、基本財務諸表(本表)は別プロジェクトで扱うので、こちらの対象は主に注記の部分になります(第5章除く)。

質疑では、DPの書きぶりが抽象的なことに、かなり批判あり。
IFRSの文言、特にDPなどはいつもこんな感じだと思うのですが、ふだんIASBの議論を追っかけておらず、またIFRSにあまり接していない方々には違和感が大きいのかも。
例えば、情報を3つのカテゴリー(カテゴリーA~C)に分けて対処する案が出されているのですが、真ん中のカテゴリー(B)の定義が抽象的なため他のカテゴリー(AとC)との違いが判りにくく実効性に疑われるとか。
会計方針も、カテゴリー1~3に分ける案ですが同様。

また、このような内容を、強制力のある会計基準の一部とすることの是非も議論に。
まあ、この点は、IASBも[質問3]で「効果的なコミュニケーションの原則をにおいて一般開示基準において定めるべきか、強制力のないガイダンスにおいて記述すべきかについて、見解に至っていない」と正直に言ってるので、仕方ないと思うのですが。

[スケジュール]
2017.3.30 開示原則DPの公表。
2017.10.2 開示原則DPへのコメント期限。
2017中? 重要性の適用ガイダンス、重要性の定義の明確化EDの公表。<予定>
2018以降 開示原則の再審議。基本財務諸表DP又はEDの公表。<予定>





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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。