野口悠紀雄氏講演「データ駆動型サイエンス」、「データ駆動型経営」とは何か?聴講

久しぶりに、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問である野口悠紀雄氏の特別講演会「「データ駆動型サイエンス」、「データ駆動型経営」とは何か?」を聴講しました。

一般的な方法論である仮説駆動型(モデル駆動型、理論駆動型)では、仮説(モデル、理論)をデータで検証する、仮説→データという流れ。
データ駆動型は、この仮説駆動型に対応する概念で、逆にデータから仮説(モデル、理論)を構築するのでデータ→仮説。場合によっては、理論が不明でも可であると。

これについては、DIAMOND onlineに野口先生の記事が。

■これからの企業はデータサイエンスの「正しい理解」が必須だ(2018.4.12)
http://diamond.jp/articles/-/166886


極論すると、相関関係が判るならば因果関係(理論)が不明でもかまわないので、その施策を実行することかと。囲碁や将棋で、AIが専門家である棋士の理解外の手を打ち、勝ってしまうようなことです。

対象の主要なデータがすべて入手できるような場合は、そういうことも有り得なくもないとは思いますが、そもそもそんな物事は(ゲームや金融マーケット等など以外)あまりないのでは。ビッグデータといっても、ものごとのごくごく一部のデータでしかなく、そのデータを集めていること自体が、ひとつの仮説でしかないように思います。

もうひとつ、因果関係が不明な施策をヒトが責任を負って実行できるか、という問題もあります。経営の意思決定には責任がつきものですが、理由不明でそれが可能かということで、データ駆動型経営のためには経営者はAIである必要がありそう。

なお、合わせてベイズ統計学についても簡単に解説がありました。ベイズ統計学は、現在一般的な統計学(ネイマン・ピアソン統計学)とは基本的な考え方が大きく異なり、いわば異端。ちなみに、野口先生の経済学の師は、ベインジアンだったそうです。
必ずしも、データ駆動型=ベイズ統計学ではないでしょうが、事前確率→事後確率の考え方等をデータ駆動型と合わせて使うと実務的に強力ということでしょうか。

[参考]
■DIAMOND online:標準的な統計学と比較すると浮き彫りになる!ビジネスに向いているベイズ統計学の特徴 小島寛之(2015.12.4)
http://diamond.jp/articles/-/82715



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アーンアウト条項


以前のマネックスによるコインチェック買収に関するエントリで、ちょっと触れたアーンアウト条項について。

デロイト トーマツさんのサイトに、非常に参考になる資料がありましたのでお勉強を。

■M&A会計 実践編 第4回 条件付取得対価の会計処理 事例:アーンアウト条項を利用する買収契約(2017)
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/mergers-and-acquisitions/jp-ma-accounting-practice-04.pdf


アーンアウト条項(Earn out Clause))とは、M&Aの買収契約に付帯させる条項のひとつで、一定の期間に特定の財務目標等の条件が成就した場合、事前に合意した算定方法によって買い手が売り手に対する追加的な支払いをおこなうもの。
定額の給与にプラスする歩合給、みたいなイメージになりますかね。
条件は、必ずしも財務目標に限られるものではないようです。

会計的には企業結合会計における条件付取得対価、法的には停止条件付の給付(支払い)でしょうか。これにより、企業や事業等の将来価値に関する売り手と買い手との評価の差異を、実績ベースで調整すると。

マネックス(買い手)は買収対価としてまずコインチェック株主(売り手)に36億円支払い、更に最大で3年間の利益の半額を追加で支払うとのこと。マスコミ記事では追加支払いの条件がハッキリ判りませんが、利益が計算根拠ということは利益が出なければ追加支払いは無いのかと思います。

となると、買い手は追加支払いを逃れるため、条件未達となるように措置するのではないか、という疑念が当然のように浮かびますが。
ひとつは買い手が経営上回避できない、買い手の経営責任に直結する(売上や利益等の)指標等の達成を条件とすること。(コインチェックの場合は今後3年間の利益?)
もうひとつは、元の売り手が被買収企業の経営に引き続きタッチすること等により、条件の実効を担保するのかと。(株主でもあったコインチェックの前社長と取締役が、引き続き執行役員として経営に関与するそうです)



バイセル取引

東芝事件で知名度の上がったバイセル取引について。

メーカーに製造委託する際に、部品や原材料(部材)を委託側企業が支給するケースがあります。
部材の支給には、有償と無償の場合があり、有償支給取引及び無償支給取引と呼ばれます。

バイセル取引(Buy-Sell取引)とは、前者の有償支給取引のことで、製造委託に際して部材を有償で支給(=販売)し、製品の買い入れ時にはその部材費を含めた価格で購入する取引。
バイセル取引はPCやスマホなどのIT機器では一般的のようです。委託側の企業が(大量一括購買等により)受託側企業よりも安価に部材を調達できる場合には、一定の合理性があります。

バイセル取引(有償支給取引)では、委託/受託双方の企業で部材費に相当する部分が売上高と原価の両方に計上され、グロス取引になるところがポイントです。嵩上げというか、二重計上ですね。特に会計期間を跨ぐことで、これが会計政策、ひいては会計操作や不正に利用される余地が大いにあります。

他方、無償支給取引はネット取引で、加工費相当部分のみの計上です。

特許、許可、認可、登録、届出の違い

行政法関係で、特許、許可、認可、登録、届出…等、似ている法律用語があります。

Web上で検索してみると、(Q&Aサイトを別にして)専門の士業の方が、これらの違いを解説しているページがたくさんヒットしますが、検索上位の内容をいくつか確認すると、相互に整合性が無いものが多々あります。というか、真逆なものも多い。

ただ、これはいた仕方ない面もあり、それは、
1. 法令におけるこれらの用語が、実は必ずしも統一的に使用されていない。
2. 士業の方はそれぞれ専門の法令群に詳しく、それらから帰納的に解説する。
からではないか、と推測します。実務家ですから。

例えば金融庁は、金融機関情報として、

■免許・許可・登録等を受けている業者一覧
http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html

というのを公表しています。
免許・許可・登録とあり、この「免許」は、銀行法に基づく銀行免許等でおそらく特許に相当しますが、例えば運転免許は許可に当たります。混乱。

行政法の基本から遡らないとキチンとした解説はおそらく困難であることは明らかですが、あえて特許、許可、認可、登録、届出の用語を私見で概説すると以下です。
(あくまで概ねで例外も多数あることはご容赦下さい。)

特許、許可、認可・登録、届出は、この順序でユルくなる。

特許は、行政がある特別な権利を付与すること。(知財の特許とは関係ありません。)行政裁量そのもの。
許可は、一般的に法令が禁止する事項を、行政が解除し許すこと。行政裁量有り。
認可は、行政が一定の要件を示し、それに合致した場合に確認すること。行政裁量は無い。
登録は、認可と同様。リストの公表を想定。行政裁量は無い。
届出は、行政の定めた形式で一定の項目や内容を届けるもの。行政裁量は無い。

ちなみに、某CC社は仮想通貨交換業者登録の審査中と主張していましたが、要件に合致しない場合は当然に登録されない訳で、それは必ずしも行政裁量ではありません。
なお、実務的には、届出を受理しない、登録の審査結果を明らかにしない等の事実上の行政裁量が存在するようにも思います…。

ブラックリストとホワイトリスト

ブラックリスト(Blacklist)とは、否定的(ネガティブ)な条件に合致する人や企業、ものごと等のリスト。ネガティブリスト(Negative List)も、ほぼ同義です。
犯罪者リスト、反社リストが典型ですが、金融業界における信用事故情報等も、一般的にブラックリストと呼ばれます。

逆が、ホワイトリスト(Whitelist)、ポジティブリスト(Positive List)で、肯定的又は許容、推奨される人や企業、ものごとのリスト。
例えば、金融庁に登録された仮想通貨交換業者のリストなどがこれに相当するかと。話題の、コインチェック社の名前は見当たりませんので、よく出来たリストなのかもしれません。

■仮想通貨交換業者登録一覧
http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/


なお、業界や組織によっては、より限定的な定義としている場合もありますので、念の為ご留意を。

量子コンピューター

量子コンピューター(Quantum Computer)とは、量子力学的な原理を利用するコンピューター。0/1ではなく重ね合わせ状態によりビットを表現する等の特徴あり。
従来の電子式コンピューターとは桁違いの性能を発揮するものとして実用化が期待されますが、同時に現在ITセキュリティの基礎となっている暗号技術を無力化する脅威とも捉えられています。いろいろと話題の仮想通貨にも影響。

量子コンピューターの実現方式として、量子ゲート方式と量子アニーリング方式という大きく異なる2つの方式が存在します(他にもある)。
量子ゲート方式は、従来のコンピューターのビットや論理ゲートによる演算を、量子ビットや量子ゲートで代替するイメージ。汎用的な機能を志向するが、実装には大規模化に大きな課題があるそう。
量子アニーリング方式は、最適化問題に特化した限定的なアルゴリズムが特徴。D-Wave社の「D-Wave One」はこちら。

なお、NTTが国立情報学研究所等と共同開発し、先般クラウドで一般利用向けに公開した量子ニューラルネットワークについて日経記事では量子コンピューターに一応含めているようでずか、世間では量子コンピューターとは認め難いという見解が一般的でしょうか。

[参考]
■量子コンピューターとは何か? 実用化進む次世代コンピューターの基礎と仕組みを解説(2018.1.22)
https://www.sbbit.jp/article/cont1/34458



ユニコーン企業



ユニコーン(Unicorn)企業とは、非上場で評価額10億ドル以上のベンチャー企業のこと。
元々、ユニコーンはギリシャ神話の幻獣である一角獣で、巨利を生む可能性のあるレアな企業をそれになぞらえたもの。

ポイントは「非上場」で、そのためユニコーン企業の基準とされる10億ドルという金額も市場価格ベースではなく、あくまである時点で誰かが見立てた評価額です。

スマートコントラクト

スマートコントラクト(Smart Contract)とは、契約(Contract)の内容をIT化してその執行を自動化する仕組み。契約の執行条件を定義しておくことで、イベントの発生により契約が自動執行され、コストの削減、不正やミスの防止に大きな効果が見込まれます。

具体的には、仮想通貨の主要機能であるブロックチェーンの分散型台帳技術(DLT、Distributed Ledger Technology)を用いて、このスマートコントラクトを実現。
仮想通貨のEthereumには、スマートコントラクトの機能も実装されているそうです。
仮想通貨に通貨以外の機能も含まれているというのは、少し判り辛いかもしれません。)

例えば、遺言による相続や遺産分割は、現在の実務では遺言の作成から実行までに多くの専門家が関与する複雑な作業ですが、機能としては単に遺言等の文書通りに資産を分配するだけですので、ブロックチェーンとスマートコントラクトの機能によって容易に実現可能と思われます。

[参考]
■ITpro:スマートコントラクトとはなんですか?(2017.8.25)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/080300328/080300005/?rt=nocnt



tag : 仮想通貨

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