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講演会「企業の不正対策の制度設計と不正対応活動のポイント」備忘録

日本証券アナリスト協会の講演会「企業の不正対策の制度設計と不正対応活動のポイント」を聴講しました。講師は、公認会計士・公認内部監査人でボルボ監査役でもある藤井範彰氏。

金融機関等の一部業態を除き、不正対策の制度や活動に力を割いている企業はほとんどないでしょう。(金融機関はオペレーショナルリスクの一部として対応)

キーワードやポイント等をメモとして少々。

-ポテトチップ不正理論、低く垂れたフルーツの不正理論
-経営者の姿勢(Tone at the Top)とは、組織のリーダーにより醸し出される職場の倫理的(もしくは非倫理的)気風。
-Blame culture
-ガバナンス構造:日本型(監査役設置型)は実効性に問題。
-コントロール:ない、運用されない、無効化(override)、迂回
-不正対策:予防(Prevention)、発見・摘発(Detection)、抑制(Deterrence)
-不正リスク対応:不正リスク評価、不正監査、不正調査
-不正対策制度(ハード)整備と不正対策活動(ソフト)の両面が大切。
-不正リスク評価のステップ:要因特定→潜在的不正スキームを特定、優先順位付け→既存コントロールと潜在的不正スキームを関連付けしギャップを特定→記録・報告
-不正のレッドフラグ
-不正(fraud)は詐欺、隠匿または背任の性格を有する不法行為のすべて(IIA)。資産の不正流用、財務諸表不正、汚職(ACFE)。
-似て非なる不正監査と不正調査。
-内部監査には限界。通報制度が有効。

傾斜マンション問題のリスク・マネジメント的な観点(続)

昨日のエントリ、三井不動産グループの開発した横浜のマンションが杭工事の手抜きで傾斜した問題の続き。

もうひとつ、懸念事項を挙げておくと、デベロッパー等が過剰な補償をしたり、規制当局がデベロッパー等に過剰な行政処分などをすること。どうも、そのような憶測が出ているようですが。

三井不動産のような大手にとっては補償など微々たる金額、個別問題へのレピュテーション・リスク対策としてはアリなのかもしれませんし、処分により社会的に鬱憤が晴れるのかもしれませんが、過ぎたるは及ばざるが如し。これからもマンション建設に問題は必ず起きる(!)ので、補償や処分が過剰だと、次に問題が起きた時には、デベロッパーが問題を隠蔽し認めない可能性が非常に高まるだろうと危惧します。

合理性の無い正義感や要求、それに媚びるポピュリズムは社会的に有害無益と思います。

傾斜マンション問題のリスク・マネジメント的な観点

三井不動産グループの開発した横浜のマンションが、下請である旭化成建材の杭工事の手抜きで傾斜した問題。流行りものに乗っかる、というだけでなく(それもありますが)、経営におけるリスク・マネジメントの観点からも、とても興味深いです。

それはこの事例を、「大手企業でも不正」したと捉えるか、むしろ「大手企業だから不正」になったのか、というところ。

前者だと、建設業界は大手でさえ不正をするのだから、中堅、中小の企業では当然不正しているだろう、という類推思考になると思います。まあ、普通の考え方かもしれません。

逆に後者は、例えば大手ゆえに施工スケジュールを延伸できず不正に走った、という解釈。顧客との契約期限を(表面上)守るため、杭工事を基準通り実施せず施工データを偽造したというもの。(こういう行為はまったく肯定できませんが、サラリーマンの心情としては、よく理解できるものです。)

後者を、より一般化すると、ある厳格なルールや規制が存在することで別のルール等が守られなくなり、全体のリスクが必ずしも減らず又はかえって増加するケースがあるということ。通常、規制等の存在は秩序を維持・向上しリスクを減らします。それが規制等を制定する理由ですが、そうではない場合も有り得る。このあたりが、リスク・マネジメントが一筋縄ではいかないところであり、また面白いところでもあります。

不正の三要素(不正のトライアングル)

不正の三要素とは、米国の学者ドナルド・R・クレッシー(Donald Ray Cressey)氏が横領の研究等から導き出した不正行為の発生に関する仮説で、動機・プレッシャー、機会、正当化という3つの要素が揃った時に不正が発生する可能性が高まるというもの。不正のトライアングル(Triangle Of Fraud)とも。

クレッシー氏は犯罪学の研究者で、公認不正検査士の会員組織ACFE(Association of Certified Fraud Examiners)の前身である金融犯罪防止協会の共同設立者のひとり。

三要素の、
1. 動機・プレッシャーとは、抱えた問題を不正で解決できるというきっかけ。
2. 機会とは、不正が可能な環境のこと。
3. 正当化とは、不正が(むしろ)正当であるという理由付け。

このところも、東芝、VW、旭化成建材等と、企業における不正の話題には事欠きません。「組織のため」などと考えると、企業では、不正の三要素のうち、1の「動機・プレッシャー」と3の「正当化」は、比較的容易に充足されてしまうと思われます。
不正の発生を抑えるためには、2の不正の「機会」自体を減らすことが、まずは必要となります。

プライバシーフリークの会「マイナンバー導入でどうなる?ニッポンのセキュリティ、ニッポンの個人情報」

2015.9.7に翔泳社が主催したセキュリティカンファレンス「Security Online Day 2015」におけるプライバシーフリークの会(山本一郎(やまもといちろう)さん、高木浩光先生、鈴木正朝教授の三人)によるパネルディスカッションのテキスト化です。

■マイナンバー導入でどうなる?ニッポンのセキュリティ、ニッポンの個人情報(2015.10.9)
http://enterprisezine.jp/iti/detail/7270


とても長いですが、関係者にはご一読の価値ありかと。

マイナンバーのセキュリティについては、基礎年金番号との対比等も織り交ぜいろいろと解説されています。自己の認識(これとか)とあまり大きな齟齬はなさそうでした。
ただ、第三者提供の個人データの授受の変更については、そもそも認識しておりませんでした。勉強になりました。

あと、日本年金機構の情報漏洩に伴い明確化した年金ゾンビ問題は非常に根深そうですねぇ…。とても、とても恐ろしい社会保険庁時代からの置き土産。

なお、マイナーなIT系コンサル会社のひとが書いた記事が引用され、媒体識別番号の基礎的な技術に関する無知が盛大にdisられており、非常に面白い&恥ずかしいですね。

イアン・ブレマー氏「中国の長期リスクにヘッジ必要」

2015.9.28付、日本経済新聞の4(オピニオン)面より、米国のリサーチ会社ユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏の論考。

■[グローバル オピニオン]波乱の夏、長期リスクに警鐘(2015.9.28)


ブレマー氏は「「Gゼロ」後の世界」著者で、国際情勢やポリティカルリスク(Political Risk)分析の専門家です。
記事は中国の経済情勢について、短期及び長期の2つの観点からコメントしたものです。

管理人なりに整理すると、
[短期]
上海株式市場の大幅下落や人民元の切り下げ等があっても中国経済は安定しており、世の認識に反して短期的には問題は少ない。国際的影響力は今後も拡大。
[長期]
ただ、長期的にはリスクを無視できず、中国経済に依存し過ぎている政府や企業はヘッジが必要。中国経済の安定維持には経済改革が不可欠だが、市場介入や検閲・処罰の懸念があり、政変というより長期のリスクもあり。

不適切会計と不正会計と粉飾

いつも、ブログ「会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)」を拝見し勉強させて頂いております。

■「東芝会計問題、「不適切」が「粉飾」に変わるとき(日経ビジネスより)」
http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/8042.html


本日の記事で、日経ビジネス記事の、不適切会計、不正会計、粉飾という言葉の定義に触れておられるところが、特に刺さりました。

この定義だと、非上場会社も含めて、日本には「粉飾」はほとんど存在しないということになります。また、上場会社では、過年度決算訂正を自ら公表する会社は増えていますが、会社ぐるみの不正があったので訂正すると公表している例はまれなので、「不正会計」もほとんどないということになります。
(上記より引用)


先日アップした「東芝の会計事件(粉飾です)」エントリで言いたかったのは、まさにこういうこと。

ちなみに、日経ビジネスのネタは以下。

7月21日に発表が予定されている東芝の第三者委員会の調査報告書で「不適切な会計」が経営陣の指示による会社ぐるみの行為であったことが明らかとなれば、「不適切な会計」は「不正会計」に変わる。当局がその不正を立件すれば「粉飾事件」となり、オリンパス事件やライブドア事件と同列になる。
(下記より引用)

■日経ビジネス ONLINE/東芝会計問題、「不適切」が「粉飾」に変わるとき
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/071600034/?P=5


なんでしょうかね、この定義は。当局が立件しないと粉飾じゃないのか?会社ぐるみじゃないと、不正会計ではないのか?マスコミが勝手に、実務で使われてもいない、不適切会計、不正会計、粉飾の定義をでっち上げている。ある種の言葉狩りですね。
繰り延べ税金資産とか、のれん代とか、メーンバンクは、まだ字ズラだけですが(それでも許しがたいですが)、不適切会計~粉飾の定義は、もうじゅうぶん捏造と言えるレベルですね。

マスコミは、反権力とか、権力の監視とか、無用なことをグダグダやり、勝手に権威があるような気になって独善性を高め、でっち上げや捏造を頻繁におこなう体質になってるんじゃないかと疑っています。実務を判ってもいないマスコミの独自の見解や視点なんてまったく必要なく、単に、事実を右から左に流してもらえばよいだけなのですがね。

ちなみに管理人の認識は、不適切会計という用語は(マスコミ以外には)そもそも存在しない、公正なる会計慣行に背けば不正会計、事実と異なる記述はすべて粉飾、です。



青森公立大学で数千円の本を5億円強と資産計上(続)

先日アップした青森公立大学における本の資産額の計上ミスの件、推測される原因について柴田ススムさんからコメント欄で教えて頂きました。ありがとうございます。

この事件(?)について、某SNSで興味深い分析をしている人がいました。

その人は、「価格算定不能な本の場合、価格を入力する欄に"空白"を入れる運用だったのではないか?」と推測しています。
「空白」の文字コードを10進数の値に直すと、今回問題となった「約5億3897万」になるんだそうです。

つまり、人間が入力した「空白」文字を、システムが「数値」として解釈してしまったことが真相のようです。


なるほど、そういうことか、と腑に落ちました。

1. 数値を入れるべき項目に空白の文字コード入力

2. 出力表示上は空白→チェックできず

3. 価格の計算上は文字コードを数値扱いし書籍の総合計を算出→16億円ほど過大

という感じでしょうか。これを、大学側は「システム変更時の障害」と表現したのですね。
(このあたり、システム開発の素養のない人間の勝手な推測です)

この仮定では、2と3は処理としては間違っていないので、バグは1の部分。書籍の金額という「数値」のみ入力可と制御すべきところ、空白という「文字」の入力を許容したところかと。

なお、2の出力表示で空白を許してる仕様もマズいのかもしれません。書籍の金額なので(0を含む)数値が必ず入り、入力のない場合はエラーと出力すべきか?空白だと、0円(無償とか、償却済とか?)と入力エラー(入力なし)の違いも判らない。

いずれにしても、柴田さんもご指摘通り、システム変更の前後で、書籍の金額の総合計を比べていれば、容易に判るミスではあります。いや、もしかして、変更前のシステムも同じ仕様で同様のバグがあったのかも… - ((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル

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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。