グリーンウォッシュ債券

先般アップした環境債(グリーンボンド)に関するエントリに関連して。

グリーンウォッシュ債券(Green Wash Bond)とは、実際は環境改善効果がない、又は、調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず、グリーンボンドと称する債券。

■環境省 グリーンボンドガイドライン2017年版(PDF)
http://www.env.go.jp/press/files/jp/105353.pdf


つまり、このグリーンウォッシュ債券の定義には2つの類型が含まれています。
ひとつは、事業自体に環境対策の効果がもともと無い詐欺的なもの。環境対策の効果よりも環境破壊の影響の方がはるかに大きい事業なども含まれるでしょう。

もうひとつは、調達した資金が使途通り環境事業に充当されないもの。仮に環境事業を実施していたとしても、調達資金がそれに使われず他に転用等されるタイプ。カネに色は無いとはいえ、こちらも投資家に対する重大な背任行為です。

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環境債(グリーンボンド)

環境債(Green Bond、グリーンボンド)とは、資金使途を環境対策に限定して発行される債券。

債券には「XX債」という呼び方の商品がいろいろあり、非常にややこしいです。
以前にエントリを上げた大災害債等と異なり、環境債として発行されるのは一般的な債券です。ただ、債券で調達した資金の使い道を「環境」に限定しているところが特徴。
主な発行体は国際金融機関や国で、環境対策の事業としては、太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギー事業や廃棄物や水資源管理など。

■環境債発行、初の1000億ドル 欧州で活発 (日本経済新聞 2017.9.3)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGD31H4O_R00C17A9MM8000/

日経の記事では欧州投資銀行(2007)が初の環境債発行とされていますが、野村證券のサイトでは世界銀行(2008)が初となっています。おそらく「環境」の定義が異なるのでしょう。

環境省が、環境債の発行に関して、グリーンボンドガイドラインを作成しています。

■環境省 グリーンボンドガイドライン2017年版(PDF)
http://www.env.go.jp/press/files/jp/105353.pdf



日本総研 翁百合氏「転機迎える金融規制」聴講

日本総合研究所(日本総研)副理事長の翁百合氏の講演「転機迎える金融規制」を聴講してまいりましたのでメモを。
副題は「国際的な動向とフィンテックへの対応」で、後半のフィンテック(Fintech)に重点があった感じです。

-銀行規制であるバーゼル規制(バーゼルⅢ)は2017.1最終化を目指したリスクアセットのばらつき問題で合意できず。2017.6も不調。主にEU(独仏)の反対。
-欧州では規制強化へ疑問が台頭。成長への配慮優先?
-米国トランプ政権。ドッド・フランク法見直し、ポルカールール廃止等下院で可決。上院では修正避けられず?中小金融機関は規制緩和方向。
-国際金融規制は転機を迎え、規制強化一辺倒の流れを見直す機運。成長志向での見直し。他方、国際的な協調機運が維持できなくなる可能性。結果、バラバラな規制となりRegulatory Arbitrageや国際的金融機関の規制対応コストのアップ等発生。
-Regulatory Sandbox。英国→シンガポール、インドネシア…。日本もやっと成長戦略に。
-オープンAPIで金融機能はアンバンドルされ、BtoBtoCにリバンドル。
-ブロックチェーン。
-Fintechの進展で業態別縦割りの規制が限界に。例えばシンガポールMASはActivity Baseの規制へ。
-サイバーリスク、サードパーティー・プロバイダーのリスク。

氏の講演は以前にも何度か聴いておりますが、今回はあまりお上手な話しぶりではありませんでした。非常に聴き辛い。得手なテーマではなかったからなのでしょうか。
なお、翁氏は金融はご専門ながら、金融規制の具体論の専門家ではない模様。

Fintechについて力を入れてお話されていましたが、ここのところ、とてもラディカルな野口悠紀雄先生の講演を何度か聴いているので、あまりインパクトは感じず。むしろ、いろいろ違和感が。
オープンAPIは既存銀行にとって脅威とお考えのようだったが、そこまでかと少々疑問を持った。
他方、ブロックチェーンについては、潜在力あるが技術的には非常に未熟で当分は試行が続くというご見解。このあたりも疑問で、中央銀行が仮想通貨を発行しマイナンバー経由でやり取り可能になれば既存の銀行やクレジットカード等はもちろん、決済の新ビジネス(氏の持ち上げていたアリペイとか)も全部不要になる気もしますが。

金融庁絡みの質疑で「金融庁の地銀向け施策のフィロソフィーには同意だが「金融庁はコンサルではないですよね」とは何度か申し上げた」由。こちらには強く同意。

野口悠紀雄先生講演会「ビットコインの将来はどのような姿になるか」


2017.8.25に行われた早大大学院の野口悠紀雄先生の特別講義「ビットコインの将来はどのような姿になるか」を聴講して来ました。

ビットコインの将来とありますが、テーマはビットコイン(Bitcoin、BTC)に新しく導入されるSegwitという仕組みについてです。
マイクロペイメント・チャネルとライトニング・ネットワークの2つに分けて説明されました。
(以下、当方の浅薄な理解によるものなので間違いがあるかもです…)

マイクロペイメント・チャネル
マイクロペイメント・チャネル(Micropayment Channel)とは、BTCの取引の一部を、ブロックチェーン外(off BTC)で処理(記録)するもの。
例えば、AがBと継続的な取引をするケース。

A → B

1. AとB両者の署名がある場合のみ資金が動かせる口座を設定。
2. Aが上限を1BTCとして預託。
3. A→Bへ1仕事毎に0.1BTCずつ支払う(ここは事前には不確定で可)。
4. 例えば、A:0.3BTC、B:0.7BTCで確定。


1~4の処理の結果、A→Bへ0.7BTC送金したのと同様の効果が生じます。
上記の2と4、1BTCの上限の設定と最終残高の確定のみ、ブロックチェーンに記録。
1と3は、ブロックチェーン外で記録する(off BTC)。

ライトニング・ネットワーク
ライトニング・ネットワーク(Lightning Network)とは、マイクロペイメント・チャネルの仕組みに仲介者を介在させ、より汎用的な決済の仕組みとするもの。

↓-----------
A →<H>→ B →<H>→ C
___←<R>←____←<R>←

資金の受領にはRとHが必要という前提。
1. CはRからハッシュ計算でHを生成。
2. CはAにHを送付。
3. AはBに送金&Hを送付。
4. BはCに送金&Hを送付。
5. CはRとHで資金を受領。RをBに送付。
6. BはRとHで資金を受領。


ライトニング・ネットワークのポイントは、仲介者であるBが信用できなくてもよいということ。B→C間の時間制約をA→B間より短くする(例:A→B 24h、B→C 12h)ことでこれを実現。送金はA→B→Cとされるが、資金の受領はB→Cが先でA→Bが後になるため。

Segwitの目的と効果
いずれも膨大な取引量に対応する目的があり、マイクロペイメント(超少額取引)の決済における手数料問題を解決するものと期待されています。
BTC等仮想通貨における決済の手数料は、従来の銀行間送金ネットワーク等に比べれば著しく安価ですが、それでもごくごく少額な取引(1件5円とかのレベル)にとっては負担になります。それをoff BTCで限りなく無料に近づける訳です。

現在のWebコンテンツの収益モデルはその多くが広告モデルですが、それがコンテンツの質に影響する場合があります。マイクロペイメントの利用により有料配信が、より容易化します。また、混雑税徴収やスパムメール対策などにも有効と。



大災害債(CAT債)


大災害債とは
大災害債とは、地震等の自然災害が発生した場合には元利金の全部又は一部の償還をおこなわないタイプの債券。CAT債(CAT Bond、Catastrophe Bond)とも呼ばれます。

2017.8.19付の日本経済新聞の一面に、この大災害債に関して以下の記事が掲載。

■大災害債の発行最高 高め利回り、分散投資先に(2017.8.19)


2017年は半期で新規発行が81億ドル、発行残高は6月末時点で2兆1千億ドルとのこと。
大災害債は、債券ですが、ちょっと特殊な仕組債と言われるものの一種。ツリーで描くと、

債券

--仕組債
---大災害債


主に損害保険会社が、再保険の代わりに発行します。

債券と仕組債
簡単におさらいしておくと、債券は発行体にとっては会計上の借入等と同じく負債ですが、有価証券の一種であり売買容易なため一般的には借入より低コストでファイナンスが可能。
仕組債は、この債券にデリバティブ(派生商品)を組み合わせたものです。

仕組債 = 債券 + デリバティブ


なので、仕組債の基本的な性質は債券ですが、デリバティブの性質も併せ持っています。一般に、仕組債のリスクはデリバティブの分だけ通常の債券より高いため、それに応じて利回りも高く設定されます。

大災害債の仕組み
大災害債は、債券に地震デリバティブ等が組み合わされた仕組債です。
直観的イメージは、地震保険のちょうど反対。地震保険は地震が発生し損害が生じた場合にその損害(の一部)が補償されるものです。

大災害債は、地震による損害が生じなければ通常の債券より高い利回りで償還されますが、万一地震が発生し損害が一定額を超えると償還金相当の部分が保険金支払いに充当されて、投資家には償還されません。
これは発行体である損害保険会社が、地震保険等のリスクの一部を大災害債によって第三者である投資家に移しているのです。リスクマネジメントでいうところの、リスク移転という奴です。

債券は、一般的には株式に比べリスクが少ないというイメージがありますが、仕組債には当てはまりません。発生確率はごくごく低いものの、発生した場合には全損もあり得るタイプの、非常にリスクの高い金融商品も含まれます。





日銀 河合祐子FinTechセンター長 講演「FinTechが描く未来」


昨日、日本証券アナリスト協会が主催する講演、日本銀行決済機構局の河合祐子FinTechセンター長による「Fintechが描く未来」を聴講しましたのでメモを。

■日本銀行 FinTechセンター
http://www.boj.or.jp/paym/fintech/

今気づいたのでずか、日銀の「FinTech」は「T」が大文字なんですね(笑)

河合さんは、ケミカルバンク(東京)、チェース証券、アール・ピー・テックを経て中途で日銀へ。為替課長→高知支店長→現職というご経歴。
Fintechセンター長に就任するまでは、この分野の専門家という訳ではないそうです。

河合さん曰く、Fintechとはざっくり言えば「スマホ対応」とのこと。
(ちなみに、前センター長の岩下さんは講演でFintechは「インターネット対応」と確かおっしゃっていました。)
ポイントは、
1. スマホ(=コンピューター)を常時携帯。
2. 膨大で過去とは質の異なるデータの蓄積。
3. 金融機関以外のプレーヤー(Tech)の参入。

大切なのは、以下。(一部、表現を改変しています。)
-Tech→Fin。
-利用者満足(UX)からの発想。
-課題と目的の明確化。
-業務プロセスのゼロベース設計と自動化。
-スモール&クイックスタートでアジャイル。
-オープン・イノベーション、分散。
どれも、金融機関がとても苦手とする取組みで、進めるのは難しいだろうなという感想。

拝聴して考えたことは、儲からない小口決済等を金融機関以外のTechがやってくれるなら、金融機関はむしろありがたいのではないか?ということ。
また、金融+購買データの収集・分析でEコマースやアドに何ができるのかも、とても疑問。「実態が確認できる」以上に何かメリットがあるでしょうか?

お話はとても明快で判りやすく、質疑も活発でした。
なお、資料がテキストを箇条書きしたいわゆるレジュメ3頁のみ、というのは頂けないです。今時、こういうのは有り得ない、1980年代以前の大学みたいな感じ、と少し悪口。



クラウドファンディングの資金提供側の仕訳


クラウドファンディングについて、昨日は資金受領側の企業における会計上の扱いと仕訳を書いたのですが、本日は資金提供側です。
(割としつこい)

寄付は、資金の提供側としては、P/Lの販売費及び一般管理費の寄付金になり、仕訳は以下の通り。

クラウドファンディング 寄付型の仕訳
寄付金 XXX / 現預金 XXX


物品購入の場合は、まずB/Sの資産の前渡金(商品)として、商品・サービスの受領時に棚卸資産等の該当資産に振替します。サービスの場合は決算時にB/Sの資産の前払費用とし、提供時に費用に振り替え。

クラウドファンディング 購入型の仕訳(商品:例)
前渡金 XXX / 現預金 XXX
[商品等提供時]
棚卸資産 XXX / 前渡金 XXX


株式投資は、B/Sの資産の投資有価証券(又は有価証券)になります。

クラウドファンディング 株式投資型の仕訳
投資有価証券 XXX / 現預金 XXX


融資は、B/Sの資産の貸付金になります。貸付金には返済があります。

クラウドファンディング 融資型の仕訳
貸付金 XXX / 現預金 XXX
[返済時]
現預金 XXX / 貸付金 XXX



当然ながら、こちらも全く異なる扱いです。



クラウドファンディングの資金受領側の仕訳

一昨日のエントリで、クラウドファンディングについて、
「資金の提供側から見た寄付、物品・サービスの購入、株式投資、融資が、Web経由ならばすべて同じクラウドファンディングと呼ばれ、これが概念を非常に判りにくくしている原因のひとつかと思います。」
と書きました。
これについて少々補足を。

例えば、クラウドファンディングで資金を得た(受領した)企業における会計上の扱いや仕訳はどうなるでしょうか。

寄付は、資金の受領側としては、P/Lの特別利益の受贈益になり、仕訳は以下の通り。

クラウドファンディング 寄付型の仕訳
現預金 XXX / 受贈益 XXX


物品・サービス購入の場合は、まずB/Sの負債の前受金として、商品・サービスの提供時に売上高に振替します。ごくふつうの、前払い方式による販売ですね。

クラウドファンディング 購入型の仕訳
現預金 XXX / 前受金 XXX
[商品等提供時]
前受金 XXX / 売上高 XXX


株式投資は、B/Sの純資産の資本金になります。(簡略化しています)

クラウドファンディング 株式投資型の仕訳
現預金 XXX / 資本金 XXX


融資は、B/Sの負債の借入金になります。借入金には返済があります。

クラウドファンディング 融資型の仕訳
現預金 XXX / 借入金 XXX
[借入金返済時]
借入金 XXX / 現預金 XXX


このように、資金受領側の会計上の扱いは、4つで大きく異なります。つまり、まったく異なる事柄であると企業会計では認識される訳です。
もちろん、資金提供側の扱いも異なります。

これらが、同じ「クラウドファンディング」という括りで呼ばれているのは判りにくいなぁ、ということでした。



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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。

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