NSFR(安定調達比率)



必要に迫られて、金融関係の極めて初歩的な復習を少々。

安定調達比率(NSFR、Net Stable Funding Ratio)とは、銀行の利用可能な安定調達額(資本+負債、分子)を所要安定調達額(資産、分母)で除した指標。なお、負債、資産は規制の要件に従って区分し算入率(掛目)を乗じた金額。つまり会計上の残高ではなく評価替え後の金額。

NSFR = 利用可能な安定調達額/所要安定調達額 ≧ 100%


バーゼルⅢの流動性規制として、流動性カバレッジ比率(LCR、Liquidity Coverage Ratio)と並び導入された。規制では、NSFRが100%以上であることを要求。
バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は2014年11月に最終規則文書を公表。翌2015年6月には開示基準の最終規則文書も公表。2018年1月からの施行を予定。

[参考]
■金融庁:安定調達比率 最終規則の概要(2015.2、PDF)
http://www.fsa.go.jp/inter/bis/20141105-1/02.pdf

■大和総研:安定調達比率(NSFR)(バーゼルⅢ)(2015.3.18)
https://www.dir.co.jp/research/report/law-research/financial/20150318_009563.htm

■金融庁:バーゼル銀行監督委員会による最終規則文書「バーゼルIII 安定調達比率」の公表について(2014.11.5)
http://www.fsa.go.jp/inter/bis/20141105-1.html

■金融庁:バーゼル銀行監督委員会による最終規則文書「安定調達比率の開示基準」の公表について(2015.6.24)
http://www.fsa.go.jp/inter/bis/20150624-1.html





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野口悠紀雄先生 特別講義「メガバンクが発行する仮想通貨」

昨日、早稲田大学大学院ファイナンス研究科でおこなわれる野口悠紀雄先生の特別講義を聴講してきました。第47回でテーマは「メガバンクが発行する仮想通貨について」。

■早稲田大学 大学院ファイナンス研究科 >> フォーラム・シンポジウム >> 野口悠紀雄 特別講義
http://www.waseda.jp/wnfs/forum/forum1.html


6月中旬にマスコミが報道した、三菱東京UFJ銀行独自の仮想通貨(MUFGコイン)構想がテーマです。
報道を見た限りでは正直あまり期待できないのではと思っていたのですが、野口先生はかなり評価している様子でした。

-メガバンクの仮想通貨は、管理主体が存在(クローズド、プライベート)、POW(Proof of Work)なし、リアルタイム、対円固定レート(一部想定含む)等の点でビットコインなどの仮想通貨と大きく異なる。

-業者側(クレジットカード加盟店)から見ると、従来のクレジットカード手数料はもちろん、これまで出ているフィンテック(FinTech)による決済(Paypal等)よりも更に、決済コストが下がる。特にマイクロペイメントへの効果は著しい。例:少額寄付、Webコンテンツ

-決済システム提供側(銀行等)のコストとしては、ビットコイン > メガバンクの仮想通貨、のはず。(メガバンクの仮想通貨の仕組みは現状では不明ながら)

-社会的には仮想通貨が複数出てきて競争状態になることが重要。また将来的には、日銀(中央銀行)自体が仮想通貨を発行することも考えられる。

クレジットカードという仕組みは、決済機能に関しては屋上屋でしかない(信用供与機能としては別ですが)ので、それらが滅びに向かうなら良いなと思いました。全銀とかホストとかもかなり役割を奪われることに。
なお、野口先生はブロックチェーンの維持に、メガバンク以外に数十の関与者を想定されているようでした。メガバンク又はその内部者による取引記録の書換えを防止する趣旨なのかもしれないですが、この点はちょっとよく理解できなかったです。

質疑で、講演趣旨とはあまり関係ないですが面白いと思ったことをいくつかメモ。
1. 若い方(学生さん?)からの、銀行の旧来のシステム(ホスト、勘定系)やクレジットカードが無くなるとその関係の仕事が無くなってしまうのではないか、という趣旨の発言。以前の講演でも確か似たような発言をたびたびを聞きましたが、そんなことを心配してどうするのか、かなり疑問。野口先生や会場のオッさんたちはかなり失笑。
2. 日本銀行の金融政策への影響に関して興味のある方が、かなりおられるようなこと。そういうことにまったく興味のない自分にとっては驚き。



仮想通貨 取引所は犯罪収益移転防止法の対象で本人確認義務付けへ

昨日の仮想通貨の通貨認定&法規制案の続き。
いつも拝見している、会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)さんのブログで教えて頂いた産経ニュースの記事。

■産経ニュース ビットコインなどの仮想通貨は「財産的価値」 政府が定義 法案を今国会に提出へ(2016.2.24)
http://www.sankei.com/politics/news/160224/plt1602240034-n1.html


仮想通貨の取引所に関しては、登録制のほか、

テロ組織に悪用されるのを防ぐために、取引所を、資金洗浄を取り締まる「犯罪収益移転防止法」の対象に加え、口座開設時に顧客の本人確認義務なども課す。
(上記より引用)

とのこと。

犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法、通称:犯収法)は、テロや組織犯罪のマネロンを防止する目的の法律で、国家公安委員会-警察庁の所管。
第2条(定義)の2項に定める特定事業者に、仮想通貨の取引所が加わるのでしょうか。時節柄、致し方ないのでしょうが、ビジネス的にはなかなか厳しいですね。

[参考]
■犯罪による収益の移転防止に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO022.html

仮想通貨 日本でも通貨の機能を認定へ

2016.2.24付、日本経済新聞の一面より。仮想通貨の法規制案の記事です。

■仮想通貨を「貨幣」認定 金融庁、法改正へ
モノ扱いから決済手段に(2016.2.24)


現時点ではあくまで案(資金決済法の改正案)で、そのスクープ(リーク?)ですが、従来の、法令の定めがなく仮想通貨はあくまで単なる「モノ」としていた当局見解を翻し、ビットコイン等の仮想通貨に貨幣の機能を認めて決済手段や法定通貨(円など)との交換に利用可能とする方向のようです。なお、監督官庁は金融庁となり、取引所は登録制になるとのこと。

仮想通貨が法的に裏付けられるという意味では前向きにとらえるべきでしょうが、同時に金融庁の監督下になるというのがなんとも。

[参考]
■資金決済に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO059.html

債券に付与される権利と条件 CoCo債と転換社債

CoCo債は偶発的転換社債又は強制転換社債とも呼ばれるようですが、いわゆる転換社債とは大きな違いがあります。それは転換のトリガー。

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)には新株予約権(旧転換権)があり、これは社債保有者の権利です。保有者が転換の是非を決める。

他方、CoCo債には転換の権利はなく、代わりに条件が付いていてそれに抵触すると強制的に転換する仕組み。

社債を株式等に「転換する」ギミックは同じですが、その原因が保有者の権利行使か、条件への抵触かの違い。法的には、権利と条件はまったく異なるので、両者を同じ転換社債という区分で説明するのは、少し違和感があります。別の区分の商品と考えるのがよいでしょう。「偶発+転換社債」ではなく、「偶発転換+社債」かと。
(証券ビジネス素人の単なる感想ですが)

転換社債と新株引受権付社債(2)新株予約権付社債

転換社債と新株引受権付社債に関する整理の続き。

2002.4.1商法改正に伴い新株予約権という概念が導入され、大きな変更がありました。
新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利(会社法第2条22号)。転換社債の転換権と新株引受権、ストックオプションの権利がこの新株予約権の概念に吸収。

従来の転換社債と新株引受権付社債(一体型)が、新株予約権付社債というひとつの区分となり、それぞれ、転換社債型新株予約権付社債、新株予約権付社債(狭義)という名称になりました。

転換社債 → 転換社債型新株予約権付社債

新株引受権付社債(一体型) → 新株予約権付社債(狭義)

新株引受権付社債(分離型) → <消滅>


新株引受権付社債(分離型)は商品としては消滅し、普通社債と新株予約権(証券)を単に同時に発行するものと位置付けられました。

ネット上には、商法改正後の新株予約権付社債の情報だけでなく、一部、商法改正前の情報も残って混在しています。また新株予約権も以前の新株引受権と同様にワラント(Warrant)と呼ぶので、ちょっと判りにくいですね。

転換社債と新株引受権付社債(1)商法改正前

先日のCoCo債に関連して、転換社債と新株引受権付社債について少し整理を。

転換社債(Convertible Bond、CB)とは、株式に転換する権利(転換権)の付いた社債。

商品イメージ
転換社債: [社債 + 転換権]


新株引受権付社債(Warrnt Bond、WB、ワラント債)とは、新たな株式を引き受けする権利(新株引受権、ワラント)の付いた社債。ワラントを社債と分離して各々流通できる分離型と一体型があり。

商品イメージ
新株引受権付社債(一体型):[ 社債 + 新株引受権]
新株引受権付社債(分離型): 社債 + 新株引受権


バブルの頃、こういった商品がいろいろと発行、流通されていました。懐かし。

両者とも基本的には社債で、発行会社の会計上は負債に区分。普通社債に株式オプションを付けることで社債の発行条件を有利にする(利回りを下げる)狙いの商品。あと、運用制限で株式を買うことを禁じられている投資家にはめ込んだりしていたかと。

主な違いである転換権と新株引受権も似た権利ですが、転換社債の転換権の方は社債を株式に転換するので新たな資金の払い込みが不要、その代わり社債と転換権は一体のもの。
新株引受権付社債の新株引受権の方は原則として新たな資金払い込みが前提なので、一体型だけでなく、分離型もあり。分離型ではワラントがメインで、社債の方を「ポンカス」と呼んでた記憶。

以上が、2002.4.1の商法改正前の基本的な建付けだったかと。

CoCo債(偶発転換社債)

ドイツ銀行の件で話題になっていたので、少し学習を。

CoCo債(Contingent Convertible Bond、偶発転換社債、強制転換社債)とは、株式等への強制転換条項(トリガー条項)の付いた転換社債。

一般的な転換社債では、転換は保有者の権利であり、保有者が権利を行使するかどうか、つまり株式へ転換するかを選択できます。しかし、CoCo債では保有者に転換権はなく、トリガー条項に定めるある条件に抵触すると、偶発的というか、強制的に株式等に転換されるのが特徴。
バーゼル規制への対応のため銀行が優先出資証券等として発行するものは、自己資本比率の基準値からの低下により強制的に株式に転換される条件が付与される。

Contingentとは偶発的な、という意味の形容詞で、コンティンジェンシー・プラン(Contingency Plan、緊急事態対応計画)のContingencyの名詞形ですね。

なお、転換社債(Convertible Bond、CB)とは、株式に転換する権利の付いた社債。ちょっとややこしいですが、本邦の法制では新株予約権付社債の一種に区分され、転換社債型新株予約権付社債とも言います。
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