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日銀が3年ぶりに決済システムレポート

日本銀行が3年ぶりに決済システムレポートを公表したとのこと。

■日本経済新聞:決済サービス「林立」 日銀リポート、にじむ警戒(2019.3.27)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42984930X20C19A3EE9000/


逆に言えば、Fintechうんぬんの旗振りをしていたはずなのに、3年間も同リポートは作成されていなかったということですね。なぜか。

■日本銀行:決済システムレポート(2019年3月)(2019.3.27)
http://www.boj.or.jp/research/brp/psr/psr190327.htm/


キチンと目を通せていないので、目に付いたところを少しだけ。
邦銀にとってリテールビジネスの問題は非常に深刻で、口座維持手数料の件はその典型。例えば、先のみずほ銀行の巨額な減損も、この流れで発生したものと思われます。
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オリエンタルランドが地震に備え融資枠増額(続)

昨日の、東京ディズニーランド(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)が、地震リスクに備えて融資枠を増額した、という記事の補足。

記事の「この融資枠の保全措置としてOLCは新株予約権を銀行に割当」と簡記した部分について。
銀行による新株予約権の取得はいわゆる担保権ではありませんが、以下のようなプロセスを経て貸付金の回収に充てられるため、広義の担保に相当するものとして「保全措置」と表現しました。「担保」でもよかったかもしれません。

新株予約権の行使→株式の取得→売却→貸付金に充当(回収)


ただ、このプロセスは第三者割当の無償増資で、既存株主にとっては「株式の希薄化」になります。株数の増加による1株当りの価値の低下ですね。
そのため、新株予約権の行使条件を地震発生が舞浜から70km圏内等の場合と厳格に条件付けし、銀行が簡単には行使出来ないようにして株式の希薄化を防ぎ、債権者と株主の利害調整しているようです。

オリエンタルランドが地震に備え融資枠増額

日本経済新聞の記事より。
東京ディズニーランド(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)が、地震リスクに備えて融資枠を増額した、という記事。

■ミッキーに3億円「保険」 オリエンタルランド、地震リスクに備え(2019.3.20)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42681210Z10C19A3DTA000/

見出しに「保険」とありますが正確には融資枠で、従来の1,000億円を1,500億円に増額。「3億円」はその融資枠にOLCが毎年支払うことになる手数料の金額です。いわば保険料相当額で、借入の有無に関わらず支払います。

融資枠 1,500億円
手数料率 0.2%(3億円)
返済期間 60年


OLCは1999年に地震債券(CAT債、CATボンド)を発行したこともあるそうですが、より条件の緩い融資枠の増額で対応することにしたようです。
返済期間は借入時点から60年と超長期。

この融資枠の保全措置としてOLCは新株予約権を銀行に割当しますが、行使条件を地震発生が舞浜から70km圏内等の場合と厳格にして、株式の希薄化を防ぐとのこと。債権者と株主の利害調整ですね。

DAPPS

DAPPS(ダップス)はDecentralized Applicationsの略語。直訳では非中央集権型アプリケーションで、中央管理者のいない分散型アプリケーションのこと。
表記はDAppsというのが多いようで、Dapps、dApps等とも。

以前に仮想通貨(暗号資産)について、パブリック型/プライベート型に区分して整理しましたが、分散型アプリケーションは前者のパブリック型に相当する概念かと。
つまり、ブロックチェーン技術を用いたパブリック型の仮想通貨(暗号資産)は、分散型アプリケーションの典型ですが、より広くEthereumを使ったスマートコントラクトなども含むようです。

決済システムとしての仮想通貨(暗号資産)には詐欺的ICO乱立した時点で見切りをつけたのですが、スマートコントラクトに関してはまだ僅かな希望を抱いております。

官民ファンドとインセンティブ

日本経済新聞の経済教室に、官民ファンドのインセンティブに関する興味深い記事が。

■官民ファンドのインセンティブ 投資回収促す報酬体系を(2019.2.11)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO4107539008022019KE8000/


著者は、産業投資革新機構(JIC)の報酬問題で社外取締役を辞任した、米国大学の御二人。
JICの報酬問題とは、JIC経営陣が経産省と報酬やインセンティブ等につき書面合意後、官邸から横槍が入り白紙化、迫られて民間出身の9人全員が辞任、とされる案件でした。
(辞任のコメントもこちらに書いておられます。3番目と4番目。)

VCではインセンティブとそのためのキャリー(成功報酬)の設計が極めて重要で、JICではファンド全体の元本返済原則がない、クローバック条項がない、高収益を狙うインセンティブがない等、大きな欠陥がいくつもあってダメダメだという主旨。これらはまったく頷ける指摘です。

ただ、このような米国VC流のやり方が、本邦の政治家や官庁のそれとマッチするかといえば、まったく疑問で、むしろ相反するように思います。つまり、官民ファンドに関して言えば、主張は所詮無いものねだりで、そのため政治家とその意を受けた経産省にバッサリ切り捨てられたのかと。

なお、官民ファンドについては、以前にこちらで書いたように、その存在意義自体を疑問視しております。

リスクアペタイト・フレームワーク

リスクアペタイト(Risk Appetite)とは、リスクテイクとリターンの関係を前提として、収益獲得のためにどのようなリスクをどれだけ取るかということ。リスク選好。アペタイト(Appetite)の原意は食欲や欲望。
リスクアペタイト・フレームワーク(Risk Appetite Framework、RAF)とは、金融機関等の経営においてリスクアペタイトを設定、運用、モニタリング等しておこなう経営管理(≒統合的収益リスク管理)の枠組み全体のこと。

大手銀行等をはじめとする金融機関で使われつつある、リスク管理関係の用語です。統合的収益管理というのは従来からおこなわれていたわけですが、リーマン・ショックの教訓はそれでも不十分だったと。

適切なリスクを取る(リスクテイク)ことで期待するリターンが得られる(適切にリスクテイクしなければ期待リターンは得られない)という、リスクテイクとリターンの構造を前提としながら、収益とリスクの一体管理、しかも計画~実施~モニタリングまで一体的・継続的に、経営トップ以下全組織で網羅的に、というあたりが、リスクアペタイト・フレームワークのポイントでしょうか。
リスク管理の対象も、定量化が比較的容易なリスクカテゴリー等からブラックスワン的なものにまで拡大しています。

[参考]
■名古屋で金融高度化セミナー「ガバナンス改革の実践」を開催(2018.9.12)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/rel180912a.htm/

投信顧客の5割弱は運用損益率がマイナス

金融庁が、証券会社や銀行など投信の販売会社に関するリストや分析資料を更新・公表しています。

■「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、取組方針・KPIを公表した金融事業者のリストの公表について(平成31年1月29日更新)
https://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170728/fd_kouhyou.html
(上記リンクは個別リンクではないため、都度更新により内容変更の可能性あり)


共通KPIとは、金融庁が2018年6月に「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」として示した以下の3つの指標のこと。

■運用損益別顧客比率
■投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン
■投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン


それらを分析したのが以下の資料。
■金融庁:販売会社における比較可能な共通KPIの傾向分析(2019.1.29)
https://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170728/bunseki2.pdf

原則を採択し、取組方針とKPIを公表したのですから、一般論として業界ではマシな方の会社のはずです。それでも上記資料p2、「運用損益別顧客比率は、数値を公表した96社合算ベースで、5割弱の顧客の運用損益率がマイナス。」と。
パッシブ運用に勝てないどころか、不況期でもない(好況というヒトもいる)のに投信の運用損益率がマイナスってどうよ?と思ってしまいました。金利が(ほぼ)付かなくても、預金・貯金のほうがまだマシだったという結果。

スコアリングモデル

1. スコアリングモデルとは
スコアリングモデル(Scoring Model)とは、ものごとを評価するために点数化するモデルのこと。クレジット・スコアリングモデル(Credit Scoring Model)は、信用力に関するスコアリングモデルで信用スコアを算出するもの。

信用スコアが偏差値だとすると、それを算出するための共通テストというイメージです。

2. 企業向けのスコアリングモデル
銀行などの金融機関は、融資先である企業の格付を決定するため、スコアリングモデルを使用します。評点化→格付という流れ。

かつては貸出業務の経験から人為的に項目や評点を決める仕組みでしたが、現在はほぼすべての金融機関が財務データ等を用いたロジステック回帰等の統計モデルが使われます。

3. 個人向けのスコアリングモデル
現在、注目されているのは、芝麻信用やJ.Scoreのような、個人向け信用スコアのためのスコアリングモデルです。

昨日のエントリのFICOスコアは統計モデルですが、流行りは「AIを用いた」と冠されるタイプ。これはまったく新しいものという訳ではなく、以前ニューロ(ニューラルネットワーク)と呼ばれていた手法やその発展形と思われます。企業向けを中心に研究&開発も相当おこなわれましたが、信用度の判別力は高いものの、「なぜ、そうなのか」という説明が不十分というような理由で、保守的な金融機関ではあまり実装されなかった、と聞きます。

ただ、主体がFintech企業になり、またより多種多様なデータを取得可能になったこともあり、個人向けとしてはこちらが主流になるのでしょう。
J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社ですね。
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「生涯一コンサルタント」として、ダウンシフトしながら、人生晩年を迷走中です。