ICOと金融商品取引法


金融庁のICO(Initial Coin Offering)に関する注意喚起文書に関するエントリ(こちらこちら)の続き。

■ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~(2017.10.27、PDF)
http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/06.pdf


上記文書では、「ICO が投資としての性格を持つ場合、仮想通貨による購入であっても、実質的に法定通貨での購入と同視されるスキームについては、金融商品取引法の規制対象となると考えられます。 」とあります。

このICO規制について(米国でいうところの投資契約を想定して)「当然ですね」と書いてしまったのですが、念の為に金融商品取引法を確認してみます。

金融商品取引法は、以前は証券取引法といい、主に証券会社の扱う商品である有価証券やその他の金融商品に関する規制を広く定める法律です。

有価証券は第2条第1項で具体的に定義(列挙)されていますが、ここにはICOが該当するものは無く、次の、同第2項第5号のいわゆる「みなし有価証券」でしょうか。
ここに「出資又は拠出した金銭を充てて行う事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利」とあり、注意喚起文書が「投資としての性格」と「法定通貨と同視されるスキーム」を規制対象の要件としていることとも整合します。

投資の性格を持たないICOというのはあまり考えにくいので、ICOは基本的に金融商品取引法の有価証券に関するスキームである、というのが当局の判断ですね。

[参考]
■NRI:仮想通貨は「有価証券」か? ~米国SECによるICOの規制~(2017.10.6)
http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/2017/20171006_2.html



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金融庁がICOに関して注意喚起(補足)

昨日アップした、金融庁のICO(Initial Coin Offering)に関する注意喚起の文書公表の件ですが、少し補足を。

■ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~(2017.10.27、PDF)
http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/06.pdf


文書には、ICO利用者(投資家)向けに2つ、
1. ICOの利用は非常にリスクが高い取引。
2. ICOや仮想通貨を語った詐欺に類するものが紛れている。

ICO事業者向けに2つ、
3. ICOスキームが仮想通貨に関する資金決済法に抵触する可能性。
4. ICOスキームが金融商品取引法に抵触する可能性。
合計4つほど注意喚起のポイントがあったのではないかと。

4の見解が興味深かったので、昨日はそれを中心としたエントリにしたのですが、文書全体の趣旨も記述すべきだったと思い返し、追記しました。

なお、
1は、ICOへの投資自体が極めて高リスクであること。
2は、ICOを装ったいわゆる投資詐欺への注意。
3は、ICOスキームが基本的に仮想通貨の払い込みによるトークン(←これも仮想通貨)の購入であることから、仮想通貨取引所(仮想通貨交換業者)の登録要件に抵触することの想定。
と、思われます。



tag : 仮想通貨

金融庁がICOに関して注意喚起

2017.10.27付で、金融庁がICO(Initial Coin Offering)に関する注意喚起の文書を公表しています。

■ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~(2017.10.27、PDF)
http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/06.pdf


ICOを「企業等が電子的にトークン(証票)を発行して、公衆から資金調達を行う行為の総称」と定義し、資金決済法及び金融商品取引法の対象となる場合があることが明記されています。
現時点では、仮想通貨は前者の資金決済法でのみ明示的に定義されていますが、ICOでは後者も重要です。

「ICO が投資としての性格を持つ場合、仮想通貨による購入であっても、実質的に法定通貨での購入と同視されるスキームについては、金融商品取引法の規制対象となる」とあります。
つまり、調達が仮想通貨によるかどうかは副次的なことで、一般的な円貨等による投資に準じたICOは金融商品取引法が適用され得るということです。

米国のSECなどと、ほぼ同様の見解と考えられます。当然ですね。

[参考]
■NRI:仮想通貨は「有価証券」か? ~米国SECによるICOの規制~(2017.10.6)
http://fis.nri.co.jp/ja-JP/knowledge/commentary/2017/20171006_2.html



tag : 仮想通貨

日経「仮想通貨のギモン④中銀、発行へ議論加速」

日本経済新聞の金融経済面のコラム「Beyond the Finance 金融を超えて」の新シリーズ「仮想通貨のギモン」、第4回目の2017.10.27は中銀などが発行する法定仮想通貨(法定デジタル通貨)について。

法定仮想通貨の構想には、スウェーデン(eクローナ)、中国(法定数字貨幣)、ロシア(CryptoRuble、クリプトルーブル)、英国(RSCoin)、オランダ(DNBCoin)、カナダ(CAD-Coin)等があるそうです。

記事では、中銀が直接全国民にデジタルマネーを発行する直接型と、銀行向けに発行しそれを元に銀行がデジタルマネーを発行する間接型の2つに区分。
間接型のイメージが湧かないのですが、ブロックチェーン技術を使う場合、取引が膨大な先進国では直接型は技術的に困難とのこと。

なお、中銀の発行するのは「仮想通貨」ではなく「デジタル通貨」(プライベート型?)とし、「電子マネー」ではなく「デジタルマネー」と、微妙に使い分けているのが興味深いです。



日経「仮想通貨のギモン③税制上は「雑所得」に」

日本経済新聞の金融経済面のコラム「Beyond the Finance 金融を超えて」の新シリーズ「仮想通貨のギモン」、第3回目の2017.10.26は税務上の扱いについて。

国税庁は8月に、原則として仮想通貨の使用により生じる損益を雑所得に区分する見解を出しています。

■タックスアンサー:No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm


対象が「仮想通貨」ではなく、固有名詞の「ビットコイン」になってますが、他の仮想通貨も同様です。

雑所得は、サラリーマンが副業で講演や執筆等をした場合と、同様の区分ですね。給与所得者の場合でも、20万円以上の雑所得があれば確定申告が必要です。
なお、FX取引と違い、損失の繰越控除(3年間)の適用は無いのですね。



日経「仮想通貨のギモン②会計、基本は時価評価 ルール整備で利用拡大後押し」


日本経済新聞の金融経済面のコラム「Beyond the Finance 金融を超えて」の新シリーズ「仮想通貨のギモン」、2017.10.25の第2回目は仮想通貨の会計上の扱いについて。

こちらも以前に記事にした企業会計基準委員会(ASBJ)の、「仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する指針」プロジェクトの件ですね。11月を目途に後悔草案が公表予定とのこと。

基本的に仮想通貨は時価評価し、ポイントは3つ。
1. 時価情報は取引実績の最も多い取引所。
2. 取引の少ない仮想通貨は取得価格で評価し強制評価減も。(←これはやや問題あり)
3. 取引所が顧客から預かる仮想通貨もB/Sに計上。

取引の少ない仮想通貨を取得価格で評価するのは、他に有効な方法が無いからなのでしょうが、おそらく問題ありですね。



日経「仮想通貨のギモン①独自の通貨単位 要件に 電子的に記録/誰とでも取引可」

日本経済新聞の金融経済面のコラム「Beyond the Finance 金融を超えて」が、2017.10.24から新シリーズ「仮想通貨のギモン」に。

第1回目は、仮想通貨とは何かという、先般、当ブログの一覧表でも検討した内容で、資金決済に関する法律(資金決済法)第2条5項の要件を引いて、似たような表が掲載されています。

この要件では、ブロックチェーン技術の利用自体は問われず、また本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産は除かれるので電子マネーは除外と。
なお、「不特定多数への代金の支払い~」のところは、仮想通貨が「〇」で電子マネーが「×」なのは、個人的には如何か?という気がします。

また、記事では三菱UFJフィナンシャル・グループが発行を予定と言われる仮想通貨、MUFGコインについて、法定通貨建てかどうかの要件はグレーとしています。



仮想通貨と強制通用力

金融アナリストの久保田博幸氏が、仮想通貨と法定通貨の違いについて書かれた以下の記事を拝見しました。

■ビットコインと円との大きな違い(2017.10.22)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20171022-00077237/


記事では、円などの法定通貨とビットコイン等の仮想通貨の大きな違いを、決済における強制通用力の有無としています。ゆえに、通貨として日本国内で利用が拡大することについては否定的。

先般アップした、仮想通貨等の比較一覧表では、法定通貨の決済の欄だけを「◎」にしていますが、これは強制通用力を示したものでした。
現在流通する仮想通貨の多くは、基本的に強制通用力はありません。
また、強制通用力の有無で区分すると、仮想通貨だけでなく電子マネー、ポイントも同じ「無し」のグループに入ります。

なお、例えば日銀のような中央銀行や政府がプライベート型の仮想通貨(PB)をつくり、法的に強制通用力を付与することも考えられます。つまり、「仮想通貨=強制通用力が無い」という訳ではなく、強制通用力を持つ仮想通貨というのも、理論的には有り得えます。
ロシア政府が発行すると言われる仮想通貨「CryptoRuble(クリプトルーブル)」は、その方向だと思います(←勝手な推測)。



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